きんいろの奇跡
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次の日も早く起きた名無しさんは、大丈夫だと心に言い聞かせバビルスへの道を力強く歩き始めたものの、何も言われず通り過ぎていくダリを見て、名無しさんは胸を静かに抑えるが気にしないようにと笑みを浮かべた。
「こう言う時は無心で掃除に限る!」
自分に言い聞かせるかのようにまだ誰も居ない食堂で励む名無しさんの顔にはいつしか笑顔が浮かんでおり、鼻歌を歌っていた。
没頭したせいか早く終わった清掃。就業まで気分転換でもするかと、名無しさんの足は自然と植物塔へと向かう。
「あれ....あの後ろ姿は」
そこには桜の花を見上げながらフェンスにもたれるオリアスの姿。こんな早くから居たりするんだなと名無しさんは思いながらも、ゆっくりとその背中に声をかけ頭を下げる。
「オリアス先生!昨日は不快な態度をとってしまってすみませんでした!」
「.................」
しかし返ってくるのは風が響かせる木々の音だけで、たまらず名無しさんはオリアスの肩を叩けば飛び上がるようにその場を離れられて唖然とする。
「うっわ何々何か居た?」
焦ってはいるが明らかに名無しさんの方を向いているのに合わない視線。気のせいだと思っていた真実が名無しさんの中で確かな気持ちを縁取っていく。
「(嫌われ、た.................?)」
触れる事は出来るのに会話は成立せず気味悪がられるって、それしか無いのではと再び開こうとした口を名無しさんは閉じオリアスへと再度頭を下げてからその場を後にする。
「今日はもう来ないのかな」
名無しさんが去った後、オリアスが1人呟いていた言葉は誰に知られる事もないまま桜が攫ってゆく。
その後名無しさんに起きた事と言えば、それからさらに6日経っても同職員にすら認識して貰えなかったが、紙に書いた文字は伝わるようなので変な薬液を被った影響にして少し苦労しながらも仕事をこなしていた。
ーピロリン
「あ。バラム先生...」
『お菓子を貰ったから、放課後時間があったら準備室においで』
と簡潔にかかれたス魔ホを、名無しさんは口元を震わせながら握り締める。久しぶりのバラムからの連絡だたった。
時刻は15時30分前、放課後にはまだまだ遠い。
行くかどうか食堂の椅子に座りながら迷っていると、先日クッキーをくれた女生徒が食堂に現れて笑顔をみせた。
「お疲れ様です、お姉さん」
「...君はあの時の!ありがとう、クッキー凄く美味しかったよ」
結局次の日以降中々会う事が叶わず感想が伝えられていなかったのだ。
覚えているがままに感想を伝えていると、名無しさんはある違和感に気がついた。
「そういえば...私の事見えて.................」
「あぁ、食べてくれたんですもんねクッキー」
「勿論食べたけど....え?どう言う事だ...?あれ」
本当は他の皆にも見えていたのかなと名無しさんがグルグルしていると、その様子を見ていた女生徒は嬉しそうに笑う。
「自覚、出来ました?周りの人にどう思われているか」
「.................へ?」
「もっと凹んでるかと思ったのに、お姉さん全然元気そうだったから真実を教えてあげなきゃって思っちゃって」
こないだ見せた純粋な笑顔とは違い、元祖返りのような歪な表情をして彼女は名無しさんに語りかける。
「お姉さんにあげたクッキーあるでしょう?あれはね、真実の粉末が入っていて自分を好きな人達だけにしか視認出来なくなるの」
「何を言ってるの、かな」
「だからぁ、本当はお姉さんを嫌っている人には見えないようになってる薬なんだってば。分かるかな〜」
「...そんな意味不明な粉末なんて存在するの...か?」
「お姉さん、今日も学校に来て誰かから挨拶ってされた?」
「!!」
「される訳がないよねぇ〜。好意がないと見える訳がないんだもん」
まるで悪魔の囁きかのように、名無しさんを陥れる言葉の羅列は先日の一件から名無しさん自身が感じていた疎外感と重なり言葉なく立ち尽くす。
「急に出てきたと思ったら勘違いしてそうだったので、教えてあげたんです。大丈夫ですか?」
「.................」
「私はお姉さんの事が大好きなので、見えてますけど他の人はどうなのかなぁ...そもそも会話も出来ないんじゃお姉さんの事とか忘れちゃいそうですね!」
「っ!」
無邪気な笑顔で、何の悪気もないように振り翳される言葉の刃。辛うじて保っていた名無しさんの心は降り積もる不安感と疎外感の連続で疲弊に疲弊を重ねていた。
「...........そっか〜!教えてくれてありがとう、理由が分からなかったからスッキリした」
「いいえ〜お気になさらず。では、失礼しますね」
「...うん、気をつけて」
最後までにっこりと笑う女生徒を見送ると、食堂にはまた静寂が広がり、名無しさんからは貼り付けた笑顔が消えていた。
「こう言う時は無心で掃除に限る!」
自分に言い聞かせるかのようにまだ誰も居ない食堂で励む名無しさんの顔にはいつしか笑顔が浮かんでおり、鼻歌を歌っていた。
没頭したせいか早く終わった清掃。就業まで気分転換でもするかと、名無しさんの足は自然と植物塔へと向かう。
「あれ....あの後ろ姿は」
そこには桜の花を見上げながらフェンスにもたれるオリアスの姿。こんな早くから居たりするんだなと名無しさんは思いながらも、ゆっくりとその背中に声をかけ頭を下げる。
「オリアス先生!昨日は不快な態度をとってしまってすみませんでした!」
「.................」
しかし返ってくるのは風が響かせる木々の音だけで、たまらず名無しさんはオリアスの肩を叩けば飛び上がるようにその場を離れられて唖然とする。
「うっわ何々何か居た?」
焦ってはいるが明らかに名無しさんの方を向いているのに合わない視線。気のせいだと思っていた真実が名無しさんの中で確かな気持ちを縁取っていく。
「(嫌われ、た.................?)」
触れる事は出来るのに会話は成立せず気味悪がられるって、それしか無いのではと再び開こうとした口を名無しさんは閉じオリアスへと再度頭を下げてからその場を後にする。
「今日はもう来ないのかな」
名無しさんが去った後、オリアスが1人呟いていた言葉は誰に知られる事もないまま桜が攫ってゆく。
その後名無しさんに起きた事と言えば、それからさらに6日経っても同職員にすら認識して貰えなかったが、紙に書いた文字は伝わるようなので変な薬液を被った影響にして少し苦労しながらも仕事をこなしていた。
ーピロリン
「あ。バラム先生...」
『お菓子を貰ったから、放課後時間があったら準備室においで』
と簡潔にかかれたス魔ホを、名無しさんは口元を震わせながら握り締める。久しぶりのバラムからの連絡だたった。
時刻は15時30分前、放課後にはまだまだ遠い。
行くかどうか食堂の椅子に座りながら迷っていると、先日クッキーをくれた女生徒が食堂に現れて笑顔をみせた。
「お疲れ様です、お姉さん」
「...君はあの時の!ありがとう、クッキー凄く美味しかったよ」
結局次の日以降中々会う事が叶わず感想が伝えられていなかったのだ。
覚えているがままに感想を伝えていると、名無しさんはある違和感に気がついた。
「そういえば...私の事見えて.................」
「あぁ、食べてくれたんですもんねクッキー」
「勿論食べたけど....え?どう言う事だ...?あれ」
本当は他の皆にも見えていたのかなと名無しさんがグルグルしていると、その様子を見ていた女生徒は嬉しそうに笑う。
「自覚、出来ました?周りの人にどう思われているか」
「.................へ?」
「もっと凹んでるかと思ったのに、お姉さん全然元気そうだったから真実を教えてあげなきゃって思っちゃって」
こないだ見せた純粋な笑顔とは違い、元祖返りのような歪な表情をして彼女は名無しさんに語りかける。
「お姉さんにあげたクッキーあるでしょう?あれはね、真実の粉末が入っていて自分を好きな人達だけにしか視認出来なくなるの」
「何を言ってるの、かな」
「だからぁ、本当はお姉さんを嫌っている人には見えないようになってる薬なんだってば。分かるかな〜」
「...そんな意味不明な粉末なんて存在するの...か?」
「お姉さん、今日も学校に来て誰かから挨拶ってされた?」
「!!」
「される訳がないよねぇ〜。好意がないと見える訳がないんだもん」
まるで悪魔の囁きかのように、名無しさんを陥れる言葉の羅列は先日の一件から名無しさん自身が感じていた疎外感と重なり言葉なく立ち尽くす。
「急に出てきたと思ったら勘違いしてそうだったので、教えてあげたんです。大丈夫ですか?」
「.................」
「私はお姉さんの事が大好きなので、見えてますけど他の人はどうなのかなぁ...そもそも会話も出来ないんじゃお姉さんの事とか忘れちゃいそうですね!」
「っ!」
無邪気な笑顔で、何の悪気もないように振り翳される言葉の刃。辛うじて保っていた名無しさんの心は降り積もる不安感と疎外感の連続で疲弊に疲弊を重ねていた。
「...........そっか〜!教えてくれてありがとう、理由が分からなかったからスッキリした」
「いいえ〜お気になさらず。では、失礼しますね」
「...うん、気をつけて」
最後までにっこりと笑う女生徒を見送ると、食堂にはまた静寂が広がり、名無しさんからは貼り付けた笑顔が消えていた。