きんいろの奇跡
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入間達とオリアスを含めたマジカルストリートの日から6日後、今日は朝からオペラとサリバンがウキウキとしている。
「今日は皆どうしたの?2人はずっとウキウキしてるし、入間くんはソワソワしてるしさ」
「えっとね、今日はその家庭訪問があるみたいなんだ」
「家庭訪問?へぇ〜こっちにもあるんだなぁ」
「僕、こういうの初めてだから緊張しちゃって」
頬をかきながら少し恥ずかしそうにする入間を見て、名無しさんは反射的に頭を撫でる。
「名無しさんさんっ?」
「は〜今日も入間くんは可愛いなぁ〜」
「かっ、可愛いくはないよ!」
「可愛いよ」
「可愛いです」
「かっわいいよ〜入間くーん」
拳をぎゅっと握って講義する入間にサリバンやオペラを含めた3人で対抗するのは最近よく見る光景で。鈴木入間という人物がどれほど溺愛されているのかが分かる一時でもある。
「それにしても明後日から終末日っていうのに、よく引き受けてくれたねカルエゴ先生も」
「大丈夫だよ〜!カルエゴくんは優秀な教師だからね」
笑顔で言い放った言葉に、突然押し付けられたのだろうなという姿がありありと浮かんで名無しさんは脳内で合唱しておく。
「それじゃあオペラさん、今日は自主練がメインになるのかな?」
「いえ。カルエゴくんの事ですし恐らく最後に訪問されると思いますので、いつも通り朝食が済んでからしごき倒します」
「よ、よろしくお願いします」
嬉しそうに尻尾を振りながら食器を片付けている姿を見て、名無しさんは冷や汗を流しながらも横から届いた声援でこわばっていた顔に笑顔が戻る。
「頑張ってね、名無しさんさん!僕も勉強が終わってれば一緒に出来たんだけど...」
「ふふっ、ありがとう入間くん。その気持ちだけで十分だ」
「ちょっ、あの、」
グリグリと頭を撫でられて恥ずかしそうにする入間と嬉しそうに撫でる名無しさんを見て、涙を流しながらカメラに収めるサリバン。
今日一日も、平和な時が流れそうである。
「.................と、思ってたんだけどな」
そう。あれから時は流れ鬼のような修行をこなし、外が暗くなってきてからカルエゴが訪問されたとの事で名無しさんの特訓は終了。
ひと足先に入浴して部屋で復習でもしようかなとまだ髪が濡れたまま自室に戻った先で名無しさんが見た光景は、何かに怯えながらも息をぜーぜーと荒くしたカルエゴ...もとい使い魔先生だったのだ。
「えーっと、あの...大丈夫ですか?」
「!!貴様は...」
「突然すみません、自室に戻ったら君が居たもので...」
「失礼した。ここは貴様の部屋だったのか、通りで追手が来ない訳だ」
ぺこりともふもふの頭を下げてビクビクと扉から外の様子を眺めるカルエゴに、名無しさんは頭を拭きながら何気なしに声をかける。
「良ければここで落ち着くまで居ますか?」
「..........は?」
「疲れてるようですし、きっと今頃入間くんの食事の準備をしてるだろうから2時間はゆっくり出来るかなと」
「貴様...........危機感は無いのか」
「危機感.............、危機感?いや、あります」
「どこがだ!意図せずとはいえこんな夜更けに、見ず知らずの男を部屋に招き入れるなど」
ビシっと爪を差しながら怒るカルエゴを見て、一瞬ポカンとした名無しさんだったが言葉の意図するところを理解して、おかしそうに笑った。
「はははっ見ず知らずじゃありませんよ、貴方はカルエゴ先生で入間くんの担任の先生です。知らない人じゃありません」
「そう言う意味ではっ」
「まーまーいいじゃないですか。私もちょうど復習したかったですし、カルエゴ先生も1日お疲れでしょう?少し羽を伸ばされては」
そう言って椅子の上に柔らかいタオルを敷いてカルエゴが座れる場所を作り始める。
その後空腹の有無なども問いただした後、あれよあれよと言う間に食事を済ませたカルエゴは、今はホカホカの柔らかいタオルの上で大人しくしていた。
「よし、身体も綺麗になったしいい感じかな。ここにストローさしておくので自由に飲んで下さいね〜。休みたかったら休んで下さい」
「................あぁ」
いい意味で押しの強さが理事長に似ているなと思いつつも途轍もなく疲労が溜まっていたカルエゴは途中から抗議するのを諦めてされるがままになっていたのだ。
そして今は、静かに音楽が流れる部屋でアロマのいい香りがする温かいタオルの上に座らされている。
「えーっと、掌を意識して壁があるようにイメージだったな...」
少し離れた部屋の隅では名無しさんがぶつぶつ言いながらノートを見比べつつも手をかざし魔術の練習をしていて。
「(全く...危機感の欠片所かこうもお人よしとは...)」
カルエゴは部屋をぐるりと見ながらもベッド横に積まれた魔術書や恐らくバラムが書いたのであろう絵本に、付箋が貼られ積み上げられた沢山のノートを見てそっとため息をつく。
「(身体の傷を見る限り今日ついたもので間違いは無いだろうに、こんな夜更けにまで練習か...)」
俺には休めと言っておきながら自分はどうなのだと言い返したかったカルエゴだったが、名無しさんの真っ直ぐでキラキラとした瞳を見てその言葉は飲み込んでいた。
この部屋に流れる静かな音色も、気持ちがほぐれるような香りも、暖かくふわふわとした温もりも、全て自分の為だけに作られた空間なのだと理解していたからだ。
「あっれー?おかしいな...オペラさんの話ではもっと頑丈にシールドがはれるはずなんだけどなぁ...」
「(入間の遠い従兄弟にあたると聞いていたが...こんなに悪魔らしくもない血筋がよく生き延びられたものだ)」
嬉しそうにしたり頭を悩ませる様子を眺めつつもふわふわとしていく思考回路に、カルエゴは精一杯抗いつつもいつの間にかその意識を手放していた。
「.................ふぅ〜よし、今日はここまで。カルエゴせんせ....っと。眠ってるのか...良かった」
額に滲んだ汗を軽く拭きながらも、スースーと寝息を立てながら深い眠りにつくカルエゴを見て、名無しさんは自然とその体を撫でていた。
「おわ、ふわっふわだ....へへ、お疲れ様ですカルエゴ先生」
役得だなと名無しさんは笑いながら、優しく毛並みを堪能した後に、静かにとある言葉を吐き出した。
「精神安定...身体回復...夢幻幸福.....................っし。出来た」
力や身体向上に関しては、元々一般的な筋力しかなく覚えるのに苦労している名無しさんだったが、回復魔術についてはハーブや人体、美容について知識があったからか群を抜いて覚えがよくまた効果も高い。
ブルシェンコの半永久が効きにくい体質と理解したからには、自分の身体は自分で回復させると名無しさんが意気込んでいたのもある。
「ふぅ〜さっすがに、疲れたか......魔力回復のチョコ食べてから寝よう」
起こさないようにタオルごとそっとカルエゴを抱えた名無しさんは、ゆっくりと歩みを進めて客室がある部屋へと連れていく。
するとそこには見計らったかのようにオペラさんが寝具を整えていて、その横にはお泊まりセット諸々が用意してあり用意周到すぎるその様に呆れた笑みをこぼした。
「おや、名無しさん様の所に居たんですか」
「...分かってたくせに」
「何の事でしょう」
無意識のうち静かに会話をしながら大きなベッドに寝かせれば、使い魔の状態ではぬいぐるみのように可愛いくて2人は笑顔で顔を見合わせた。
「では、おやすみなさいませ名無しさん様」
「うん今日も一日ありがとうオペラさん。おやすみなさい」
名無しさんが部屋を去った後、残された部屋に沈黙が流れたが次の瞬間入り口付近でぽふんと元の姿に戻ったカルエゴは、忌々しそうにオペラを見つめる。
「良かったですね、随分と顔色が良くなりましたよ」
「はぁ〜.................。彼女ですか、寮に飛ばされてきた奴と言うのは」
「えぇ、とても素直な頑張り屋さんですよ」
「そんな事は聞いてません。それに、転移されたのであれば、家族の元へ返さないんですか」
薄暗い部屋の影響かオペラを見据えるカルエゴの瞳はどこか鋭くその姿を捉える。
そんなカルエゴを見てオペラは一息吐いて言葉を吐き出す。
「彼女には、頼れる家族が居りません。両親の行方が分からず一人で生活していたようなのです」
「.................」
「ですから、いい機会ですし理事長が引き取ったんですよ。成人しているとはいえ、一人で生きるには余りにもこの魔界は過酷過ぎる」
「.....そうですか」
「魔術すら学べない環境に居たせいで、まだ一人では外に出せませんが彼女が外に出られた際は、よろしくお願いしますねカルエゴくん」
「何で私が....」
「まぁ、その時が来たらで大丈夫です。今はまだね」
意味深な言葉を残し立ち去ったオペラを無言で見送り、ボフンと柔らかいベッドへと倒れ込むカルエゴ。
「フン、俺の知った事か」
否定する言葉を小さく吐き捨てながらも、明らかに軽い身体にカルエゴは少し口元に笑みを残して再び瞳を閉じたのだった。
「今日は皆どうしたの?2人はずっとウキウキしてるし、入間くんはソワソワしてるしさ」
「えっとね、今日はその家庭訪問があるみたいなんだ」
「家庭訪問?へぇ〜こっちにもあるんだなぁ」
「僕、こういうの初めてだから緊張しちゃって」
頬をかきながら少し恥ずかしそうにする入間を見て、名無しさんは反射的に頭を撫でる。
「名無しさんさんっ?」
「は〜今日も入間くんは可愛いなぁ〜」
「かっ、可愛いくはないよ!」
「可愛いよ」
「可愛いです」
「かっわいいよ〜入間くーん」
拳をぎゅっと握って講義する入間にサリバンやオペラを含めた3人で対抗するのは最近よく見る光景で。鈴木入間という人物がどれほど溺愛されているのかが分かる一時でもある。
「それにしても明後日から終末日っていうのに、よく引き受けてくれたねカルエゴ先生も」
「大丈夫だよ〜!カルエゴくんは優秀な教師だからね」
笑顔で言い放った言葉に、突然押し付けられたのだろうなという姿がありありと浮かんで名無しさんは脳内で合唱しておく。
「それじゃあオペラさん、今日は自主練がメインになるのかな?」
「いえ。カルエゴくんの事ですし恐らく最後に訪問されると思いますので、いつも通り朝食が済んでからしごき倒します」
「よ、よろしくお願いします」
嬉しそうに尻尾を振りながら食器を片付けている姿を見て、名無しさんは冷や汗を流しながらも横から届いた声援でこわばっていた顔に笑顔が戻る。
「頑張ってね、名無しさんさん!僕も勉強が終わってれば一緒に出来たんだけど...」
「ふふっ、ありがとう入間くん。その気持ちだけで十分だ」
「ちょっ、あの、」
グリグリと頭を撫でられて恥ずかしそうにする入間と嬉しそうに撫でる名無しさんを見て、涙を流しながらカメラに収めるサリバン。
今日一日も、平和な時が流れそうである。
「.................と、思ってたんだけどな」
そう。あれから時は流れ鬼のような修行をこなし、外が暗くなってきてからカルエゴが訪問されたとの事で名無しさんの特訓は終了。
ひと足先に入浴して部屋で復習でもしようかなとまだ髪が濡れたまま自室に戻った先で名無しさんが見た光景は、何かに怯えながらも息をぜーぜーと荒くしたカルエゴ...もとい使い魔先生だったのだ。
「えーっと、あの...大丈夫ですか?」
「!!貴様は...」
「突然すみません、自室に戻ったら君が居たもので...」
「失礼した。ここは貴様の部屋だったのか、通りで追手が来ない訳だ」
ぺこりともふもふの頭を下げてビクビクと扉から外の様子を眺めるカルエゴに、名無しさんは頭を拭きながら何気なしに声をかける。
「良ければここで落ち着くまで居ますか?」
「..........は?」
「疲れてるようですし、きっと今頃入間くんの食事の準備をしてるだろうから2時間はゆっくり出来るかなと」
「貴様...........危機感は無いのか」
「危機感.............、危機感?いや、あります」
「どこがだ!意図せずとはいえこんな夜更けに、見ず知らずの男を部屋に招き入れるなど」
ビシっと爪を差しながら怒るカルエゴを見て、一瞬ポカンとした名無しさんだったが言葉の意図するところを理解して、おかしそうに笑った。
「はははっ見ず知らずじゃありませんよ、貴方はカルエゴ先生で入間くんの担任の先生です。知らない人じゃありません」
「そう言う意味ではっ」
「まーまーいいじゃないですか。私もちょうど復習したかったですし、カルエゴ先生も1日お疲れでしょう?少し羽を伸ばされては」
そう言って椅子の上に柔らかいタオルを敷いてカルエゴが座れる場所を作り始める。
その後空腹の有無なども問いただした後、あれよあれよと言う間に食事を済ませたカルエゴは、今はホカホカの柔らかいタオルの上で大人しくしていた。
「よし、身体も綺麗になったしいい感じかな。ここにストローさしておくので自由に飲んで下さいね〜。休みたかったら休んで下さい」
「................あぁ」
いい意味で押しの強さが理事長に似ているなと思いつつも途轍もなく疲労が溜まっていたカルエゴは途中から抗議するのを諦めてされるがままになっていたのだ。
そして今は、静かに音楽が流れる部屋でアロマのいい香りがする温かいタオルの上に座らされている。
「えーっと、掌を意識して壁があるようにイメージだったな...」
少し離れた部屋の隅では名無しさんがぶつぶつ言いながらノートを見比べつつも手をかざし魔術の練習をしていて。
「(全く...危機感の欠片所かこうもお人よしとは...)」
カルエゴは部屋をぐるりと見ながらもベッド横に積まれた魔術書や恐らくバラムが書いたのであろう絵本に、付箋が貼られ積み上げられた沢山のノートを見てそっとため息をつく。
「(身体の傷を見る限り今日ついたもので間違いは無いだろうに、こんな夜更けにまで練習か...)」
俺には休めと言っておきながら自分はどうなのだと言い返したかったカルエゴだったが、名無しさんの真っ直ぐでキラキラとした瞳を見てその言葉は飲み込んでいた。
この部屋に流れる静かな音色も、気持ちがほぐれるような香りも、暖かくふわふわとした温もりも、全て自分の為だけに作られた空間なのだと理解していたからだ。
「あっれー?おかしいな...オペラさんの話ではもっと頑丈にシールドがはれるはずなんだけどなぁ...」
「(入間の遠い従兄弟にあたると聞いていたが...こんなに悪魔らしくもない血筋がよく生き延びられたものだ)」
嬉しそうにしたり頭を悩ませる様子を眺めつつもふわふわとしていく思考回路に、カルエゴは精一杯抗いつつもいつの間にかその意識を手放していた。
「.................ふぅ〜よし、今日はここまで。カルエゴせんせ....っと。眠ってるのか...良かった」
額に滲んだ汗を軽く拭きながらも、スースーと寝息を立てながら深い眠りにつくカルエゴを見て、名無しさんは自然とその体を撫でていた。
「おわ、ふわっふわだ....へへ、お疲れ様ですカルエゴ先生」
役得だなと名無しさんは笑いながら、優しく毛並みを堪能した後に、静かにとある言葉を吐き出した。
「精神安定...身体回復...夢幻幸福.....................っし。出来た」
力や身体向上に関しては、元々一般的な筋力しかなく覚えるのに苦労している名無しさんだったが、回復魔術についてはハーブや人体、美容について知識があったからか群を抜いて覚えがよくまた効果も高い。
ブルシェンコの半永久が効きにくい体質と理解したからには、自分の身体は自分で回復させると名無しさんが意気込んでいたのもある。
「ふぅ〜さっすがに、疲れたか......魔力回復のチョコ食べてから寝よう」
起こさないようにタオルごとそっとカルエゴを抱えた名無しさんは、ゆっくりと歩みを進めて客室がある部屋へと連れていく。
するとそこには見計らったかのようにオペラさんが寝具を整えていて、その横にはお泊まりセット諸々が用意してあり用意周到すぎるその様に呆れた笑みをこぼした。
「おや、名無しさん様の所に居たんですか」
「...分かってたくせに」
「何の事でしょう」
無意識のうち静かに会話をしながら大きなベッドに寝かせれば、使い魔の状態ではぬいぐるみのように可愛いくて2人は笑顔で顔を見合わせた。
「では、おやすみなさいませ名無しさん様」
「うん今日も一日ありがとうオペラさん。おやすみなさい」
名無しさんが部屋を去った後、残された部屋に沈黙が流れたが次の瞬間入り口付近でぽふんと元の姿に戻ったカルエゴは、忌々しそうにオペラを見つめる。
「良かったですね、随分と顔色が良くなりましたよ」
「はぁ〜.................。彼女ですか、寮に飛ばされてきた奴と言うのは」
「えぇ、とても素直な頑張り屋さんですよ」
「そんな事は聞いてません。それに、転移されたのであれば、家族の元へ返さないんですか」
薄暗い部屋の影響かオペラを見据えるカルエゴの瞳はどこか鋭くその姿を捉える。
そんなカルエゴを見てオペラは一息吐いて言葉を吐き出す。
「彼女には、頼れる家族が居りません。両親の行方が分からず一人で生活していたようなのです」
「.................」
「ですから、いい機会ですし理事長が引き取ったんですよ。成人しているとはいえ、一人で生きるには余りにもこの魔界は過酷過ぎる」
「.....そうですか」
「魔術すら学べない環境に居たせいで、まだ一人では外に出せませんが彼女が外に出られた際は、よろしくお願いしますねカルエゴくん」
「何で私が....」
「まぁ、その時が来たらで大丈夫です。今はまだね」
意味深な言葉を残し立ち去ったオペラを無言で見送り、ボフンと柔らかいベッドへと倒れ込むカルエゴ。
「フン、俺の知った事か」
否定する言葉を小さく吐き捨てながらも、明らかに軽い身体にカルエゴは少し口元に笑みを残して再び瞳を閉じたのだった。