きんいろの奇跡
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ーピピピピッ、ピピピ
「ん〜〜〜ふぁあ........よし、起きるか」
目覚まし時計を止め伸びをしてからのそのそと起き上がりストレッチをする名無しさん。
初日から早6日、こんなに早く起きなくても良いのだが新人のうちは誰よりも先について準備をすると決めていたのだ。
「おはようございます、おじいちゃんにオペラさん」
「おはようございます名無しさん様」
「おはよう名無しさんちゃん、今日も早いね〜!」
「へへへ、楽しみでさ」
既に起きていたサリバンとオペラに挨拶をしてから楽しい朝食を済ませ身支度を終わらせてから部屋を出る。
「今日も馬車はよろしいので?」
「歩いていける距離だし筋トレ代わりに歩いてくよ」
「かしこまりました。どうぞお気をつけて」
「はーいいってきます!」
笑顔で手を降り悪魔学校へと向かう姿を見送るサリバンとオペラは、入間の時同様心配しつつも嬉しそうに見送った。
名無しさん含めて教師陣が向かう時間帯はそもそも生徒達がほぼいないので、いつもより静かな出勤。
すると頭上の方から声が響いて名無しさんは思わず上を見た。
「名無しさんちゃーん」
「ダリ先生?!」
「おはようさんっ!今日も早いね?」
「おはようございます、ダリ先生こそ早いですね」
「僕はいつもこのぐらいだよ〜!早めに行って向こうでゆっくりするのが好きなんだよねぇ〜〜」
人好き...悪魔好きのするにっこりとした笑顔で話しかけてきたのはまさかのダリで。わざわざ羽をしまって隣で歩いてくれている。
1対1で話すのが始めてだった名無しさんは少なからずその状況に緊張しながら会話を続けた。
「それにしてもこんなに早く集合なんです?」
「いえ、私はまだ新人なので仕事に慣れるまでは早めに着いて準備しておきたくて」
「そうなの?偉いなぁ〜〜!こないだもわざわざ挨拶に来てくれたし、他の先生達も驚いてたよ」
「えっ、挨拶って普通じゃないんですか?」
「ないない、勤めると行ってもほぼ会わない人も居ますからねぇ〜。職員室に入った事ない人の方が多いんじゃないかな」
サラリと言われた事実に名無しさんは冷や汗を流しながら顔色が悪くなる。
「そう...だったんですか。すみません私、そんな常識も知らず早朝からお騒がせを...!」
もしかしたらとんでもない迷惑をまたやらかしてしまったのではと頭を下げれば頭上から耐えきれないように笑い声が聞こえてくる。
「あはははっほんっと真面目だねぇ〜〜!迷惑なんかじゃありませんよ〜。礼儀正しい悪魔だねって皆褒めてましたから」
「褒め.....えっ?」
「ごめんごめん僕の言い方が悪かったね!本来望ましいのは最初だけでも全員が挨拶に来る事なんだけど、それは仕事では無いから決まってはいなくてね」
「そう、なんですね」
「そうだよ。だからこそ、その基本を大切にしてくれる職員さんは僕たち教師陣にとっても大切にすべき存在なんです」
どう?誤解はとけたかな?と首をかしげて見てくる姿に、何度も頷く名無しさんを見て面白そうにダリは笑う。
「あ!そうだ、差し入れのケーキご馳走様〜!めちゃくちゃ美味しかったよ」
「本当ですか?良かった〜...」
「うんうん。だからさ、また皆が疲れてきたなって時にたまに差し入れしてくれると嬉しいんだけど、どうかな?」
「私でいいんですか?」
「君が作ったものがいいんだよ〜!だからいつでも連絡取れるように魔イン教えてくれません?」
「全然どうぞ!」
「あははっ面白いなぁ〜ありがとね!」
そう言って流れるように魔インを交換していると気がつけば昇降口に辿り着いていた。
「あ、もう学校か。早いなぁ〜」
「ですね。ダリ先生のお陰であっという間でした」
「褒めても何も出ないよ〜?でもまぁとにかく、これからよろしくね!何かあったらいつでも連絡してくれていいですし」
「っはい、ありがとうございます!」
「いーのいーの、んじゃあ今日もお互い頑張ろー!」
「はい!」
じゃあね〜と校舎で別れた名無しさんは、軽くスキップをしながら更衣室へと向かう。
憧れのバビルスで仕事する上で、知り合いが増えていくのはやはり嬉しいからか、少し鼻歌を歌いながら着替えを終えて食材の過不足チェックにキッチンや食堂の掃除を始める。
「よしっ綺麗になったな」
ニコニコ笑顔のまま掃除をし終えて顔を上げると、入り口付近に目をキラキラさせながら名無しさんを見つめる姿が一つ。
「ロビン先生?どうしたんですか?まだ食堂の開く時間では...」
「見てましたよお姉さんっ!めちゃくちゃ手際がいいですね??凄い!はやーい!」
「えっ、あの」
「あ、僕はバルス・ロビンです!どうぞよろしくお願いしまっす!」
「あ、はい。ご丁寧にありがとうございます。私は名無しさんと言います」
「名無しさんさん!!うわぁあよろしくねぇー!!」
一気に距離を詰めてきたかと思うとブンブンと両手で握手をしてくる姿に呆気に取られる名無しさん。その勢いのまま話し続けていたロビンだったが、突然用事を思い出したかのように動きが止まった。
「そうだ!名無しさんさんっ、魔珈琲が切れちゃって貰いにきたんですけど在庫ってあったりしますか?」
「在庫...少しお待ち下さいね」
「はーーい!」
終始元気なロビンをおいてキッチン裏へと名無しさんはきたものの、在庫管理にある文字を見つけて料理長の判断無しにお渡しは出来ないなと自分の鞄からとある瓶を取り出した。
「お待たせしました。すみません、まだ責任者がいない関係で勝手に在庫をお渡し出来ないので代わりと言っては何ですが、こちら私がブレンドしたものでよければ」
「えっ名無しさんさんがブレンドしたの?!凄い凄い!」
「お口に合うか分かりませんが、お渡しする用に多く持ってきていたので今必要でしたら繋ぎぐらいにはなるかなと」
「わーっ!ありがとうございます!朝礼会議だったんで助かります!」
そう言って嵐のように立ち去っていくロビンを見送れば、そろそろ生徒がやってくる時間帯。ちょっと休憩しようかなと名無しさんが向かうのは美しい花の咲き誇る植物塔がある屋上。