きんいろの奇跡
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ぽかぽかとした何かで頭を撫でられている感覚にふわふわとしていた意識が浮上していく。
「あ..............れ、ここは...」
「あぁ、目が覚めたかな」
「!バラム...先生、」
「...うん、やっと君の言葉が理解出来たよ」
小さく微笑みかけた後、魔通信を使ってどこかに連絡をとっていたのか少しの沈黙の後、再度バラムは話しかける。
「体調はどうかな?どこか痛む所は?」
「あ...そういえば、私は...」
そこまで言った所で一瞬怯えたように身体を震わせたもののまだ包帯が巻かれたままの手をぎゅっと握りしめバラムを見つめ返した彼女は、痛みで顔を歪めながらもゆっくりと上体を起こし口を開いた。
「状況は...よく分かりませんが、手当てをして頂いたようでありがとうございました」
「僕じゃなくて救護班の先生方だよ。後で容体も再確認して貰おうか」
「そう、なんですね。それでも、ありがとうございます」
そう言って頭を下げる彼女にバラムは少し驚きながらも、問いかける姿勢は変えないままに話を続ける。
「早速で悪いんだけどいくつか質問しても大丈夫かな」
「あ、はい。全然どうぞ」
「ありがとう、じゃあ遠慮なく。...君は何者で一体何処から来たんだい?正直にお願いするよ」
「.......。私は......私は、ただの人間です。仕事帰りに、不審者に襲われたと思ったら、何故か縛られてました」
「.......................人間.....ね」
低く響いたバラムの声に俯きがちに答えた彼女はビクリと体を揺らす。
「こちらに来た時の記憶はあるかい」
「目を開けた時には、宙に浮いたまま縛られていて...皆さんが何を言っているか分からないまま...暗い、部屋に連れていかれました」
「...そうか、怖い思いをさせてしまったようでごめんね」
「!...いえ。理由は分からないですが、言葉が通じなくて多分...そのせいだとは思ってるので大丈夫です」
震えながらも気丈な笑顔で大丈夫だと笑う彼女にバラムの眉がピクリと動くがそれも一瞬で消え去る。そして、ゆるりと大きな体躯を前に折り曲げたかと思うと、静かに口を開いた。
「じゃあ最後の質問だ。君は一体僕達の何を知っているんだい?」
確信を持って告げられた言葉に、彼女の背中には汗がつたう。
「居合わせた教師達の証言や、入間くんを見た時の反応...そして僕の名前も知っていた。以上を踏まえると初対面...と言うにはどうにも腑に落ちなくてね」
そこまで言い切ると、先程までは感じなかった威圧感が一気に部屋を包み込み彼女の額を冷や汗が流れる。
刺すような静寂に口を開けては閉じてを何度かした後、意を決したように拳を握りしめたまま彼女は言葉を吐き出した。
「とある、書籍で知りました」
「!...書籍、っていうのは?」
「.................その、」
「大丈夫だから正直に言ってごらん」
「...簡単に言うと、入間君を中心とした悪魔学校についての、日常が描かれた書籍です」
そこまで言い切るとバラムからの反応はなく、再び静寂が部屋を包み込む。
数分経っても反応がない様を見てやはり言うべきではなかったかと彼女が後悔し始めた所で、勢いよくバラムが立ち上がった。
「ねぇ君っ!!」
「は、はい」
「今の話は本当かいっ?!」
「...本当です」
「〜〜〜っ‼︎」
これは凄い!何て事だ!!と声をあげながらも、バラムは興奮したように行ったり来たりを繰り返す。その上突然目をキラキラとさせながら勢いよく彼女に詰め寄った。
「それはどこまでが描かれた書籍なんだい?文字?それとも絵本?まさかこんな事がありえるだなんて...!」
「そうだな...所謂漫画にあたる書籍で、私が知っているのは問題児クラスが終末テストで奮闘しているお話でした。そこまでに出てきた人達なら名前ぐらいは知ってます」
「〜〜〜っ凄い!まるで予知みたいだ!」
「...嫌だったりしないんですか...?」
「何を言うの!人間だっていうだけでも驚きなのに、僕たちが描かれた書籍があるだなんてっ...!その上今こうして出会えてるなんてまさに奇跡だよ...!!」
「きせき...」
「そうさ!君が今言っているのは、本の世界の住人と会話をしているって事だよ?!これを奇跡と呼ばずして何と言うのか!」
先程まであった疑いの目や威圧感は消え失せて、終始目をきらきらとさせたまま興奮するバラムを見て緊張で強張っていた彼女の身体からは力が抜け気がつけば笑い声をあげていた。
「はははっ!ほんっと、バラム先生なんだなぁ...!」
「..............え??」
「いやだって、拷問されるか最悪殺されるのも覚悟してたのに、こんな無邪気にキラキラされると気が抜けるっていうか...あはは!」
「ちょっ、ちょっと君...、笑い過ぎだよ」
「はははっ、本当.........バラム先生で良かったなぁ」
「!!」
「すみません突然笑ってしまって。つい...気が抜けちゃって」
そう言って満開の笑顔で言い切る彼女は、顔を青くしてベッドに横たわる姿にも怯えて震える姿にも涙を流して震えるどの姿とも重ならなくて、あぁこれが彼女本来の姿なのだなとバラムの心は温かくなる。
「元気が出たようで安心したよ」
「バラム先生のお陰ですかね」
「揶揄わないでくれるかい」
「はははっすみません」
「全くもう君たち人間はどうしてこうも危機感に欠けるのか...」
ちょっと待っててねと、呆れたように頭を振ったバラムは再度魔通信を使ってどこかへと連絡を飛ばした。
「さて...と、暫くすれば理事長がきて君の処遇が決まる」
「私の処遇か...」
「うん。最終的な判断は理事長が下すからね、あくまで僕は監視役だよ」
「......そうですか。だとしたら今、バラム先生とお話出来て良かったです」
「...あぁ、僕もだよ」
そこまで話した所でノックか鳴り響き穏やかだった空間に再度また緊張が舞い降りた。
「あ..............れ、ここは...」
「あぁ、目が覚めたかな」
「!バラム...先生、」
「...うん、やっと君の言葉が理解出来たよ」
小さく微笑みかけた後、魔通信を使ってどこかに連絡をとっていたのか少しの沈黙の後、再度バラムは話しかける。
「体調はどうかな?どこか痛む所は?」
「あ...そういえば、私は...」
そこまで言った所で一瞬怯えたように身体を震わせたもののまだ包帯が巻かれたままの手をぎゅっと握りしめバラムを見つめ返した彼女は、痛みで顔を歪めながらもゆっくりと上体を起こし口を開いた。
「状況は...よく分かりませんが、手当てをして頂いたようでありがとうございました」
「僕じゃなくて救護班の先生方だよ。後で容体も再確認して貰おうか」
「そう、なんですね。それでも、ありがとうございます」
そう言って頭を下げる彼女にバラムは少し驚きながらも、問いかける姿勢は変えないままに話を続ける。
「早速で悪いんだけどいくつか質問しても大丈夫かな」
「あ、はい。全然どうぞ」
「ありがとう、じゃあ遠慮なく。...君は何者で一体何処から来たんだい?正直にお願いするよ」
「.......。私は......私は、ただの人間です。仕事帰りに、不審者に襲われたと思ったら、何故か縛られてました」
「.......................人間.....ね」
低く響いたバラムの声に俯きがちに答えた彼女はビクリと体を揺らす。
「こちらに来た時の記憶はあるかい」
「目を開けた時には、宙に浮いたまま縛られていて...皆さんが何を言っているか分からないまま...暗い、部屋に連れていかれました」
「...そうか、怖い思いをさせてしまったようでごめんね」
「!...いえ。理由は分からないですが、言葉が通じなくて多分...そのせいだとは思ってるので大丈夫です」
震えながらも気丈な笑顔で大丈夫だと笑う彼女にバラムの眉がピクリと動くがそれも一瞬で消え去る。そして、ゆるりと大きな体躯を前に折り曲げたかと思うと、静かに口を開いた。
「じゃあ最後の質問だ。君は一体僕達の何を知っているんだい?」
確信を持って告げられた言葉に、彼女の背中には汗がつたう。
「居合わせた教師達の証言や、入間くんを見た時の反応...そして僕の名前も知っていた。以上を踏まえると初対面...と言うにはどうにも腑に落ちなくてね」
そこまで言い切ると、先程までは感じなかった威圧感が一気に部屋を包み込み彼女の額を冷や汗が流れる。
刺すような静寂に口を開けては閉じてを何度かした後、意を決したように拳を握りしめたまま彼女は言葉を吐き出した。
「とある、書籍で知りました」
「!...書籍、っていうのは?」
「.................その、」
「大丈夫だから正直に言ってごらん」
「...簡単に言うと、入間君を中心とした悪魔学校についての、日常が描かれた書籍です」
そこまで言い切るとバラムからの反応はなく、再び静寂が部屋を包み込む。
数分経っても反応がない様を見てやはり言うべきではなかったかと彼女が後悔し始めた所で、勢いよくバラムが立ち上がった。
「ねぇ君っ!!」
「は、はい」
「今の話は本当かいっ?!」
「...本当です」
「〜〜〜っ‼︎」
これは凄い!何て事だ!!と声をあげながらも、バラムは興奮したように行ったり来たりを繰り返す。その上突然目をキラキラとさせながら勢いよく彼女に詰め寄った。
「それはどこまでが描かれた書籍なんだい?文字?それとも絵本?まさかこんな事がありえるだなんて...!」
「そうだな...所謂漫画にあたる書籍で、私が知っているのは問題児クラスが終末テストで奮闘しているお話でした。そこまでに出てきた人達なら名前ぐらいは知ってます」
「〜〜〜っ凄い!まるで予知みたいだ!」
「...嫌だったりしないんですか...?」
「何を言うの!人間だっていうだけでも驚きなのに、僕たちが描かれた書籍があるだなんてっ...!その上今こうして出会えてるなんてまさに奇跡だよ...!!」
「きせき...」
「そうさ!君が今言っているのは、本の世界の住人と会話をしているって事だよ?!これを奇跡と呼ばずして何と言うのか!」
先程まであった疑いの目や威圧感は消え失せて、終始目をきらきらとさせたまま興奮するバラムを見て緊張で強張っていた彼女の身体からは力が抜け気がつけば笑い声をあげていた。
「はははっ!ほんっと、バラム先生なんだなぁ...!」
「..............え??」
「いやだって、拷問されるか最悪殺されるのも覚悟してたのに、こんな無邪気にキラキラされると気が抜けるっていうか...あはは!」
「ちょっ、ちょっと君...、笑い過ぎだよ」
「はははっ、本当.........バラム先生で良かったなぁ」
「!!」
「すみません突然笑ってしまって。つい...気が抜けちゃって」
そう言って満開の笑顔で言い切る彼女は、顔を青くしてベッドに横たわる姿にも怯えて震える姿にも涙を流して震えるどの姿とも重ならなくて、あぁこれが彼女本来の姿なのだなとバラムの心は温かくなる。
「元気が出たようで安心したよ」
「バラム先生のお陰ですかね」
「揶揄わないでくれるかい」
「はははっすみません」
「全くもう君たち人間はどうしてこうも危機感に欠けるのか...」
ちょっと待っててねと、呆れたように頭を振ったバラムは再度魔通信を使ってどこかへと連絡を飛ばした。
「さて...と、暫くすれば理事長がきて君の処遇が決まる」
「私の処遇か...」
「うん。最終的な判断は理事長が下すからね、あくまで僕は監視役だよ」
「......そうですか。だとしたら今、バラム先生とお話出来て良かったです」
「...あぁ、僕もだよ」
そこまで話した所でノックか鳴り響き穏やかだった空間に再度また緊張が舞い降りた。