きんいろの奇跡
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早朝と言う事もあってか、広い廊下に響くのは2人だけの足跡。
「それにしても、オトンジャさんすらすり抜けて侵入するとかどんな訓練を受けたんだろう」
「俺も気配に全く気がつかなかったから、本当朝から心臓に悪いよ」
「大変でしたね。まぁそれも彼女に聞けば分かるといいんですが」
「.........だねぇ」
未だ震えたままの彼女をオリアスはチラリと見上げてからマルバスに笑顔で迎え入れられたのは、彼の住処とも言える拷問部屋。
「(ゔぇ...いつきてもここは居心地悪いなぁ〜)」
「オリアス先生、顔引き攣ってるよ〜」
「慣れてないの!俺はこう言う所」
悍ましい形をした器具を鼻歌を歌いながら準備するマルバスははたから見ても恐ろしい。
「(ほんっと、拷問学に向いてるよマルバス先生は...)」
おっかないねぇとオリアスは小さく漏らしながら壁へと寄りかかる。
「さて、と。準備も整いましたしまずはそこに座って貰おうかな」
「え、何、身体が勝手にっ」
「...貴方のそれ、鳴き声なのか言語なのかどちらなんだろう」
「まさかこれって電気椅子じゃっ...やめ
「うんうん、元気がいいのはいい事ですね〜」
「ゔあっ...!!」
「...あれ?こんなに脆弱で大丈夫なのかな」
笑顔で話しかけられた瞬間、身体中を感じた事もない痺れと激痛が走り抜け思わずうめき声をあげた彼女。
その身体からは電流に耐えきれなかったからなのか、無数の切り傷と共に血が滲んでいる。
「はぁっ...はぁ...本当に、わたしは...ゔぁああっ!」
「うーん。魔術式ではなさそう、ですかねぇ」
必死に何かを訴えている様子を気に止める事もなく、何度も電流を流す姿にオリアスは冷や汗を流して見守っていたが、すかさずもう一度電流をかけようとしたマルバスの手を掴み、静かに言い放った。
「マルバス先生、一旦そこまで〜。ね?これ以上やったら彼女、確実に死にますよ」
「ん?あー...そうか。思ったよりもしがいがないなぁ」
「...これだけ傷をおっても抵抗も威嚇すらも感じないとなると...思った以上に危惧する必要性は無さそうだね」
「...まぁあの子も気絶しちゃったみたいですし、とりあえず救護班呼んできます〜!」
オリアス先生はそこで見張ってて下さいねと笑顔で一言残し、重たい扉が閉まり静寂が広がる。
コツン、コツンと音を立てながらゆっくりと彼女の元へと近づいたオリアスは不意に鼻をついた血液の匂いに混ざって香るあの匂いに一瞬気を取られながらも、床に滴り落ちた血痕の量を見て眉を顰めた。
「...やっぱり、俺にはこういうのは向かないね」
必死に何かを伝えようとしていた姿を見ながら思わず拳を握った事を思い出しオリアスは自らの掌を眺める。
意識を飛ばす瞬間、涙ながらに助けを求めるかのように目が合った強い瞳を思い出しながら、強く握られていた彼女の掌を開けば、自らの爪が食い込んだのであろう痛々しい傷が電流での傷と重なってどこよりも深く肉が抉れていた。
「................」
女性のそれとしては余りにも痛々しい傷跡に、オリアスは仄暗い後悔を抱きながらも持っていたハンカチをそっと取り出して傷だらけの両手に応急処置を施した。
「バラム先生が帰ってこれば君の処遇もおおよそ決まると思うから、それまで我慢しなよ」
ほぼ無意識に頭を撫でるオリアス。
その事実に気がつかないまま扉の方へ彼が歩き出せば、図ったように救護班とマルバスが現れて静かな部屋は賑わいを増し苦笑いを浮かべながらも彼は静かに歩みを進めた。
「異常はなかったですか」
「意識は失ったまんまだねぇ」
「...少々、やり過ぎましたでしょうか」
「ははっそれは俺からは何とも」
お互い眉を下げながら視線を投げるのは、未だグッタリとしたままの捕虜である彼女。
すると救護をしていた1人が彼女に噛み付こうとしている姿が目に止まり、考えるよりも先に近くにあった万年筆を投げた器用な手。
「っか〜忘れてた。出血が酷くて匂いが微かに漏れ出てるんだった」
静かに呟くや否や即座に同じ隔離魔術を施せば、正気に戻った救護班の1人は何が起こったのか分からずに辺りを見回している。
「あ〜ごめんごめん、ちょーっと手が滑ってさ、大丈夫だった?」
「は、はい!全く問題ありませんっオリアス先生!!」
「そう?本当ごめんねぇ〜」
かなり弱めの防護と隔離の魔術をかけていた事を知っているのは自分だけだったなと頬をかきながら、未然に防げた事態にオリアスはそっと胸を撫で下ろした。
しばらくして、ブルシェンコが到着したのを横目に廊下の先で待っている我らが統括の元へと2人で向かう。
「ご苦労様!で、どうだった?」
「すみません、少々やり過ぎました。言語認知不可に関しても術式で解析しましたが、魔術の類ではないかと思われます」
「そうですか...って、どうしたのオリアス先生」
「気になる事があったので付き添いとして見てましたが...恐らく彼女、敵意は無くとも俺達の事を知っているのは確かですね」
「やっぱりかー。部屋で僕達を見てた時驚きと同時に歓喜も混ざってたもんねぇ」
「気づいてたんですか?」
「まぁね〜。だからこそその真意を知りたかったんだけど...暫くは無理っぽいね」
珍しくブルシェンコが少し慌てている様子に、3名は顔を見合わせて苦笑する。
とりあえず、バラムが帰還するまで監視し様子を見ようと言うことになったのだった。
「それにしても、オトンジャさんすらすり抜けて侵入するとかどんな訓練を受けたんだろう」
「俺も気配に全く気がつかなかったから、本当朝から心臓に悪いよ」
「大変でしたね。まぁそれも彼女に聞けば分かるといいんですが」
「.........だねぇ」
未だ震えたままの彼女をオリアスはチラリと見上げてからマルバスに笑顔で迎え入れられたのは、彼の住処とも言える拷問部屋。
「(ゔぇ...いつきてもここは居心地悪いなぁ〜)」
「オリアス先生、顔引き攣ってるよ〜」
「慣れてないの!俺はこう言う所」
悍ましい形をした器具を鼻歌を歌いながら準備するマルバスははたから見ても恐ろしい。
「(ほんっと、拷問学に向いてるよマルバス先生は...)」
おっかないねぇとオリアスは小さく漏らしながら壁へと寄りかかる。
「さて、と。準備も整いましたしまずはそこに座って貰おうかな」
「え、何、身体が勝手にっ」
「...貴方のそれ、鳴き声なのか言語なのかどちらなんだろう」
「まさかこれって電気椅子じゃっ...やめ
「うんうん、元気がいいのはいい事ですね〜」
「ゔあっ...!!」
「...あれ?こんなに脆弱で大丈夫なのかな」
笑顔で話しかけられた瞬間、身体中を感じた事もない痺れと激痛が走り抜け思わずうめき声をあげた彼女。
その身体からは電流に耐えきれなかったからなのか、無数の切り傷と共に血が滲んでいる。
「はぁっ...はぁ...本当に、わたしは...ゔぁああっ!」
「うーん。魔術式ではなさそう、ですかねぇ」
必死に何かを訴えている様子を気に止める事もなく、何度も電流を流す姿にオリアスは冷や汗を流して見守っていたが、すかさずもう一度電流をかけようとしたマルバスの手を掴み、静かに言い放った。
「マルバス先生、一旦そこまで〜。ね?これ以上やったら彼女、確実に死にますよ」
「ん?あー...そうか。思ったよりもしがいがないなぁ」
「...これだけ傷をおっても抵抗も威嚇すらも感じないとなると...思った以上に危惧する必要性は無さそうだね」
「...まぁあの子も気絶しちゃったみたいですし、とりあえず救護班呼んできます〜!」
オリアス先生はそこで見張ってて下さいねと笑顔で一言残し、重たい扉が閉まり静寂が広がる。
コツン、コツンと音を立てながらゆっくりと彼女の元へと近づいたオリアスは不意に鼻をついた血液の匂いに混ざって香るあの匂いに一瞬気を取られながらも、床に滴り落ちた血痕の量を見て眉を顰めた。
「...やっぱり、俺にはこういうのは向かないね」
必死に何かを伝えようとしていた姿を見ながら思わず拳を握った事を思い出しオリアスは自らの掌を眺める。
意識を飛ばす瞬間、涙ながらに助けを求めるかのように目が合った強い瞳を思い出しながら、強く握られていた彼女の掌を開けば、自らの爪が食い込んだのであろう痛々しい傷が電流での傷と重なってどこよりも深く肉が抉れていた。
「................」
女性のそれとしては余りにも痛々しい傷跡に、オリアスは仄暗い後悔を抱きながらも持っていたハンカチをそっと取り出して傷だらけの両手に応急処置を施した。
「バラム先生が帰ってこれば君の処遇もおおよそ決まると思うから、それまで我慢しなよ」
ほぼ無意識に頭を撫でるオリアス。
その事実に気がつかないまま扉の方へ彼が歩き出せば、図ったように救護班とマルバスが現れて静かな部屋は賑わいを増し苦笑いを浮かべながらも彼は静かに歩みを進めた。
「異常はなかったですか」
「意識は失ったまんまだねぇ」
「...少々、やり過ぎましたでしょうか」
「ははっそれは俺からは何とも」
お互い眉を下げながら視線を投げるのは、未だグッタリとしたままの捕虜である彼女。
すると救護をしていた1人が彼女に噛み付こうとしている姿が目に止まり、考えるよりも先に近くにあった万年筆を投げた器用な手。
「っか〜忘れてた。出血が酷くて匂いが微かに漏れ出てるんだった」
静かに呟くや否や即座に同じ隔離魔術を施せば、正気に戻った救護班の1人は何が起こったのか分からずに辺りを見回している。
「あ〜ごめんごめん、ちょーっと手が滑ってさ、大丈夫だった?」
「は、はい!全く問題ありませんっオリアス先生!!」
「そう?本当ごめんねぇ〜」
かなり弱めの防護と隔離の魔術をかけていた事を知っているのは自分だけだったなと頬をかきながら、未然に防げた事態にオリアスはそっと胸を撫で下ろした。
しばらくして、ブルシェンコが到着したのを横目に廊下の先で待っている我らが統括の元へと2人で向かう。
「ご苦労様!で、どうだった?」
「すみません、少々やり過ぎました。言語認知不可に関しても術式で解析しましたが、魔術の類ではないかと思われます」
「そうですか...って、どうしたのオリアス先生」
「気になる事があったので付き添いとして見てましたが...恐らく彼女、敵意は無くとも俺達の事を知っているのは確かですね」
「やっぱりかー。部屋で僕達を見てた時驚きと同時に歓喜も混ざってたもんねぇ」
「気づいてたんですか?」
「まぁね〜。だからこそその真意を知りたかったんだけど...暫くは無理っぽいね」
珍しくブルシェンコが少し慌てている様子に、3名は顔を見合わせて苦笑する。
とりあえず、バラムが帰還するまで監視し様子を見ようと言うことになったのだった。