《4.覚めてほしい現実》


地に触れる足裏が痛い。体に触れる枝や葉っぱが痛い。

限界が近いのを察しながらも恐怖を感じた身体は余りにも素直で、体にはしる痛みなんて後回しにとりあえず逃げ切る事だけが頭を支配していた時、ふと、違和感を覚えた。


（、、、あれ、1人、、、足りん？）


出会った時は4人だったはずの人数は振り返った先に3人しかいない。

徐々な募る警戒を強めながら目線を戻したその時、刀を振りかぶる男が視界いっぱいに広がって考えるよりも先に左側に逃げた体は、勢い余って木にぶつかったのか全身に衝撃が走った。



「っっ〜〜いった、、、んんん痛いっ」



ぶつかった衝撃もあるがジンジンと痛む足の裏、恐らく切っ先に触れたであろう二の腕からは血が溢れてきて止まらない。初めて見る自身からの流血量に軽く目眩がする。



「へっへっへ、残念だったなあ....お嬢ちゃん」



刀についた血を舐めながらゆっくりと近づいてくる男に、改めて恐怖を覚えながらも少しでも逃げようと腰を引きずりながら後ずさるが上手く動けず、そこからは、一瞬だった。



「、、、っ、やめろ！離せ！！！」



呆気なく押し倒された身体と眼前に迫る男が気持ち悪くて震えが止まらない。必死に抵抗するものの恐怖で支配された体は思うように力が入らなくてただただ怖い。


（覚めろ！！覚めろ覚めろ！！！！！）


ぎゅっと目を瞑りながら呪文のように唱えるそれは悪夢から逃れたい一心でほぼ無意識に叫んでいた。



「覚めろー！！！」

「ぐあっ！！！」

「うわぁっあっ！！」



男のうめき声と共に自由になる感覚を覚えて、怖いながらもそっと目を開けると、後から来たのであろう男たちも何故か倒れており状況が、飲み込めない。


ーザッ


突然頭元で聞こえた音に、心臓が変な音を立て慌てて起き上がるものの、そこには予想に反した傷だらけの少年が佇んでいて静かにうちを見下ろしていた。