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エンドライフ

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名無しさん
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《62.蛍日和》


「う、わぁあ....すごい」

「すっげぇえーー!な、な、見ろよあそこ!めちゃくちゃいんぞ!」

「ってて引っ張るなルフィ、んな事しなくても見えてるよ」

「それにしても、まさかこんな近くにいるとはなあ。やるなエース」

「帰りの修行でも通る道だからな。いつもはもっと遅い時間なんだが、こんな時間帯にもいるもんだな」



暗くなり始める前に飛び交う蛍。真っ暗闇に浮かぶ光も幻想的だが夕刻に滲む光もそれはそれは綺麗で美しい。



「嬉しそうだな、名無しさん

「うん!ここ数年見れてなかったから、めちゃくちゃ嬉しい...!」

「だってよ。良かったなあエース」

「別に名無しさんの為に見つけてた訳じゃねえ、偶然だ」

「まあ、そう言う事にしとくよ」

「なーなーもう近くまで言ってもいいか?いっぱい捕まえようぜ!」



2人の会話に痺れを切らしたのか、エースに首根っこを掴まれていたルフィが見上げてくる。今日はマキノさんが晩御飯を作ってくれると言っていたし、あんまり遅くなれないので誰が一番早く捕まえられるかの競争になった。勿論うちは観察係である。



「..........ん、エースどうかしたん」



はしゃぐ3人を他所に、目の前に広がる幻想的な風景をぼーっと眺めていれば気がつくとエースがこっちを見ていたのでどうかしたのかと問いかける。



「あ...いや、別に」

「そ?....それにしても、本間綺麗なぁ.......」

「.......」



そう言ってまた視線を戻した名無しさん。いつもと装いが違うのもあるからなのか蛍の光に囲まれる名無しさんはどこか儚くて、無意識にまた見惚れてしまっている事をエース自身は自覚がなかった。

余りにじっと見つめていたのだろうエース。それに気がついた名無しさんは小さく笑って何か話でもあるのかと聞いてみれば、少し口ごもった後にどうかしたのかと問いかけられた。



「...あぁいや、懐かしいなーって思ってさ。前にもお祭りの後とか花火持ち寄って遊んでたら、蛍見かけてたなあって」

「へー、名無しさんの所にもお祭りがあったんだな。そのハナビってのは1人でやるもんなのか?」

「あ、そっか。まだ花火見たことないんかな?んー何て言えばいいやろ。大きいものやと夜空一面にまるで花が咲いたように見えたり、手に持って楽しめたりもしてすーごいな、綺麗なんよ」

「そんなすげーのか。...こっちでもまた見られるといいな」

「やな。そん時はエースも一緒に見ようよ、浴衣とか着て見る花火は格別やで〜」



「サボとルフィも集めてさ、皆浴衣着て花火とか絶対楽しいよ」と笑いかければ、気が向いたらなとそっぽを向かれたので気が向くといいなと笑っておいた。



「それにしても、名無しさんが居た所はおれたちとは結構文化が違うんだな。そのユカタ?ってのも聞いた事がねえ」

「そうか、え。そもそもこっちにあるんかな?あってほしいなー。和服大好きなんよね」

「ワフクって?ユカタとはまた違うのか?」

「和服っていう服の種類に浴衣が入ってるって感じやな。もしこの世界でも見つけられたら、うちはその服を愛用するからエースが海に出た後は目印として見つけてくれてもいいよー」



そもそも見た事がねえから何ともなと言われてしまえば、それはそうだなと思ったのでもし和服を見つけたら、旅の仲間とでも異文化楽しんでみてよと言えば変な顔をされてしまった。



「...,あのさ名無しさん、」



そうエースが言いかけた時、足元に衝撃が走って思わずぐらつく。



「おわっ...と、ルフィか。びっくりしたー(笑)どしたん」

名無しさん!見てくれよ!」



そう言って籠いっぱいに蛍を詰め込んだ様を見せてきたルフィ。その余りの多さと近さに声もなく飛び上がると



「おいルフィやめてやれ、名無しさんはな虫が苦手なんだよ」

「ぇえっ?!そうなのか?悪ぃな、驚かせちまったか」



体をのけぞりながらありがとなと震える手でルフィの頭を撫でつつも、エースありがとう...!!!と心の中で泣きながら訴えれば呆れた視線で頷かれたので何とか気持ちは伝わったようで助かった。



「ルフィもごめんな、見せてくれてありがとう。いっぱいとれて凄いやん」

「ししっ、サボがなエースは名無しさんとの話に夢中で捕まえらんねえから、今のうちにおれらで集めようぜって言うからよ。いっぱい頑張ったんだ」

「....おいサボ」

「あ、やっべ。バレちったか」



綺麗な景色の中追いかけっこをするエースとサボを見ながら、こいつが一番でけぇーんだぞという無邪気なルフィ。頑張ったからうちの分のお肉も分けてあげるよと伝えれば、それはそれは嬉しそうに笑った。
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