《55.新しい夜明け》


睡眠が短かったからだろうか。いつもより早く目が覚めてゆっくりと起き上がれば、未だ眠り続ける小山が３つ。よっぽど疲れていたのだろうか朝日が差しているというのに、誰一人起きる様子も眠っている。

可愛いなと順番に頭を撫で付ければ、くすぐったそうに笑うから朝からいいものを見たなとほっこりとする。


（さて、ご飯でも作ろうかな）


静かに部屋をすり抜けて、冷たいお水で顔を洗う。じわじわと朝から暑さを覚える体にはとてつもなく気持ちが良くてスッキリとした。


いつもより多めにお肉を取り出して用意して置いたハーブと合わせる。怪我だらけだった３人の傷が早く癒えればいいなと思いながら作る料理はついつい作り過ぎてしまったが、余ればお昼に回せばいいかと思い直す。



「うんっめぇええやっぱ名無しさんのご飯は最高だなあ！」

「あっおいエース！それはおれのお肉だぞ！」

「とられる方が悪ぃんだよ」

「なんだとー！」

「はいはい喧嘩せんでもいっぱいあるから、ゆっくり食べや」



朝の心配は何のその。お昼に回す予定だった料理達は余る事なく平らげられて子供一人増えるだけでこんなに量が違うのか驚いた。...後にこの３人の食欲が異常だったと知るのは言うまでもないが。



「じゃあな名無しさん、また後で落ち合おうぜ」

「じゃあなー名無しさん！また後で落ち合おう」

「真似すんな」

「！いってぇええ」

「ルフィの世話はおれとエースが見るから心配すんなよな」

「うん、既に心配やけど任せたわ（笑）気をつけて」



あんなに怪我をしていたのがまるで嘘かのように駆け回る3人にびっくりさせられながらも、まああの３人だしなと変に納得出来るのだから仕方がない。


（それにしても、仲良くなれたようで良かったわ）


良かったな、ルフィ、エース、サボ。
静かにその背中を見送りながらも、楽しそうに走り去る姿が微笑ましい。



「名無しさん、何してんだい。そろそろ仕事を始めるよ」

「はーいダダンさん」

「何だい朝からニヤニヤしちまって。頭でも打っちまったのかい」



そんな事を呟きながらも、新しいお布団を出して置くようにと指示をするダダンさんに素直じゃないなあと一層ニコニコとした。