39.変化の兆し


その日は朝から騒がしかった。


なんだかあったかいなーと夢現に思いながら腕の中にある温もりをより一層抱き締める


（...なんや、これ。あったかー......）


いつもとは違うお布団の抱き心地に、もう一眠りしたいなと意識が飛びかけたその時鳩尾に衝撃が走って一瞬息が止まる。


（うっ、、あれ？何かうごいてる、、、？）


何やらジタバタ蠢くように感じるお布団に静かにしてと思いながら顔を埋めれば、次こそ確かな打撃を腕に感じて飛び起きた。



「いっ....、え、あれ」

「起きたかよ」

「ん...？なんでえーすが」

「お前が勝手に...！」

「....ん？」

「！いいから、離せよ」

「あ。あー、ごめんごめん苦しかったなー...」



追いつかない状況に頭がほわほわするものの殴られたであろう鳩尾と腕はしっかりと痛い。



「今日はもうついてくんなよ！絶対だからな！」



そう言うや否や部屋を飛び出していったエースを見送り昨日あのまま寝ちゃったのかーと、思い当たる。


（悪いことしたな、暑かったやろうし）


とりあえず起きて、また会った時謝ろ。そう思いながらお布団を畳んで顔を洗いにいく。

清々しい毎日とは言わないが、よく眠れたのもあって頭はどこかスッキリとしていた。


ついてくるなと言われたので、午前中の筋トレは無しにして家で一仕事してから昨日出会ったナグリさんに会いに行く為支度をする。

そう、今日からついに修行なのだ。


（覇王色は無理でも、戦えるレベルにはなりたいよな）


相変わらずも、朝から喧嘩をするダダンさん達に癒されつつもどこか浮き足立ちながら今日も笑顔で家を出た。



「お待たせしました。今日からよろしくお願いします！」

「おお、来たか。こちらこそよろしくなあ」



優しい笑顔にほっとしながらいい鍛錬場所があるのだという所へついていく。



「おし。ここら辺で良いかの。名無しさんと言ったか、お嬢ちゃんは一体どこで覇気を知ったんじゃ？」

「...前に出会った人が、似た事をしてたのでその人から聞きました」



半分嘘で半分本間な事を伝えたけど。何とか怪しまれずに済んだのは罪悪感が芽生えたけど有り難かった。ごめんな、ナグリさん