エンドライフ④
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
《68. 蘇る、温もり》
うるさい程に耳に響く歓声。それと同時に響き渡る喜びと恐怖がないまぜになったかのような叫び声。
その中で唯一名無しさんは足を止め、ただただその様を目に涙を浮かべながら見守っていた。
...それは、この騒ぎが起きる20分程前に遡る。
「よっ!やぁーっとお前とも戦えるな」
「!ファイヤーも、中々やるやん」
背中に走った衝撃に、「いてて」と声を上げながらも見上げれば人懐っこい笑顔を浮かべたエースの姿。
そんな小さな事ですら幸せを感じてしまう自分に笑いながらも名無しさんも笑顔で背中を叩いた。
「正々堂々、勝負と行こうぜ」
「当たり前や、全力で行く」
そんなやり取りを交わした直後、戦い開始の火蓋は切って落とされざわめきだっていた観客席はより一層熱気を増した歓声に変わっていく。
しかし流石に決勝戦ともあってその様式は今までの火ではなく...
(うーん...どうしたもんかな)
とにかくまずはメラメラの実をつけた魚を誘き出す事だと視界をこらすも奥底までは見えない。どうしたものかと視線を上げれば、リング脇を走っているサボが目に止まり名無しさんは静かに笑みを深めた。
「...そっか。さっすがサボ!うちも真似して探すとするかなー」
サボの行動を引き金に次々と飛び出し襲いかかっている魚達。それを弾みに当たりはどこかと周囲も血眼になって探しているが一向にそれらしき魚は飛び出してこず...
そんな簡単には行かへんかと、名無しさんが視線をずらしたその時だった。
「おわっとと、あっぶねェーなお前!」
と叫びながら嬉しそうに魚へと飛び乗っているエースの姿が目に入り、余りにも自然なその光景にゆっくりと名無しさんの瞳が開いていく。
「「「あれだーーーー!!!」」」
「んあ?何だよお前ェーら、人を指さすなって習わなかったのかよ」
いかにも当たりですと言わんばかりの宝箱付きの魚の上から、挑発するように笑ったエースを見て、早速当たりを引いている様子に本当に運が良いなと思わず名無しさんは笑ってしまった。
...メラメラの実はもう大丈夫だなと、纏わりつく敵を意図も簡単に蹴散らす様子を見て思う。
変わらないなと、笑顔で戦う様を眺めていればすぐ後ろから「姐さん!良かったッスね!」と相変わらずキラキラした顔で声を掛けられたので「ありがとうな」と笑顔で返す名無しさんの笑顔はどこか嬉しそうで。
........そこからはもう、あっという間だった。
「火拳ーーーーーーーーー!!」
なんども、何度も夢にまで見た...あの声、あの姿。
最後に見た瞬間とは違い、今はもう彼の命を脅かす海軍の存在は居ない。
辺り一体を包む火柱と、懐かしい熱気。
壊れてしまった闘技場から客席に飛び移り、まるで魅入られているかのように見つめる名無しさんの顔には忘れられていたはずの透き通った雫がゆっくりと、彼女の頬を濡らしていく。
「っ..........おかえり.......えーすっ....」
誰に届くはずもない小さな、小さな声で名無しさんは涙を流しながら嬉しそうに呟いた。
それから幾許かしてハッと意識を取り戻した名無しさんは濡れて外れかけていた顎鬚を涙を拭ってつけ直し、未だ火を全身に纏う姿を視界の端に捉えてから、そっとその場を去る。
.................予定だった。
「名無しさんっ....!」
「!!な....んで、ここに」
物陰に身を隠しこっそりサポートをしようと決めた名無しさんの背中に届いた声色は、間違えるはずのない...大好きな人。
ゆっくりと振り返ってみるものの、今にも泣きそうな顔をしている目の前の存在に、上手く状況が飲み込めない名無しさんはぴくりとも動かない。
うるさい程に耳に響く歓声。それと同時に響き渡る喜びと恐怖がないまぜになったかのような叫び声。
その中で唯一名無しさんは足を止め、ただただその様を目に涙を浮かべながら見守っていた。
...それは、この騒ぎが起きる20分程前に遡る。
「よっ!やぁーっとお前とも戦えるな」
「!ファイヤーも、中々やるやん」
背中に走った衝撃に、「いてて」と声を上げながらも見上げれば人懐っこい笑顔を浮かべたエースの姿。
そんな小さな事ですら幸せを感じてしまう自分に笑いながらも名無しさんも笑顔で背中を叩いた。
「正々堂々、勝負と行こうぜ」
「当たり前や、全力で行く」
そんなやり取りを交わした直後、戦い開始の火蓋は切って落とされざわめきだっていた観客席はより一層熱気を増した歓声に変わっていく。
しかし流石に決勝戦ともあってその様式は今までの火ではなく...
(うーん...どうしたもんかな)
とにかくまずはメラメラの実をつけた魚を誘き出す事だと視界をこらすも奥底までは見えない。どうしたものかと視線を上げれば、リング脇を走っているサボが目に止まり名無しさんは静かに笑みを深めた。
「...そっか。さっすがサボ!うちも真似して探すとするかなー」
サボの行動を引き金に次々と飛び出し襲いかかっている魚達。それを弾みに当たりはどこかと周囲も血眼になって探しているが一向にそれらしき魚は飛び出してこず...
そんな簡単には行かへんかと、名無しさんが視線をずらしたその時だった。
「おわっとと、あっぶねェーなお前!」
と叫びながら嬉しそうに魚へと飛び乗っているエースの姿が目に入り、余りにも自然なその光景にゆっくりと名無しさんの瞳が開いていく。
「「「あれだーーーー!!!」」」
「んあ?何だよお前ェーら、人を指さすなって習わなかったのかよ」
いかにも当たりですと言わんばかりの宝箱付きの魚の上から、挑発するように笑ったエースを見て、早速当たりを引いている様子に本当に運が良いなと思わず名無しさんは笑ってしまった。
...メラメラの実はもう大丈夫だなと、纏わりつく敵を意図も簡単に蹴散らす様子を見て思う。
変わらないなと、笑顔で戦う様を眺めていればすぐ後ろから「姐さん!良かったッスね!」と相変わらずキラキラした顔で声を掛けられたので「ありがとうな」と笑顔で返す名無しさんの笑顔はどこか嬉しそうで。
........そこからはもう、あっという間だった。
「火拳ーーーーーーーーー!!」
なんども、何度も夢にまで見た...あの声、あの姿。
最後に見た瞬間とは違い、今はもう彼の命を脅かす海軍の存在は居ない。
辺り一体を包む火柱と、懐かしい熱気。
壊れてしまった闘技場から客席に飛び移り、まるで魅入られているかのように見つめる名無しさんの顔には忘れられていたはずの透き通った雫がゆっくりと、彼女の頬を濡らしていく。
「っ..........おかえり.......えーすっ....」
誰に届くはずもない小さな、小さな声で名無しさんは涙を流しながら嬉しそうに呟いた。
それから幾許かしてハッと意識を取り戻した名無しさんは濡れて外れかけていた顎鬚を涙を拭ってつけ直し、未だ火を全身に纏う姿を視界の端に捉えてから、そっとその場を去る。
.................予定だった。
「名無しさんっ....!」
「!!な....んで、ここに」
物陰に身を隠しこっそりサポートをしようと決めた名無しさんの背中に届いた声色は、間違えるはずのない...大好きな人。
ゆっくりと振り返ってみるものの、今にも泣きそうな顔をしている目の前の存在に、上手く状況が飲み込めない名無しさんはぴくりとも動かない。