エンドライフ④
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《61. 消えない傷 》
ーピチョン ピチョン
「.................」
「.................」
あれからうちは、サボに連れられるがまま恐らく闘技場の地下であろう場所へと連れて来られていた。歓声すら聞こえない静かな場所で、落ちる水の小さな音だけがこの場に響く。
到着するなり話をされると身構えていたのと裏腹に、壁にもたれかかったまま一向に話しかけてこない空気がより悪い方向へと想像を働かせてしまって身体が強張る。
自分からまず頭を下げるべきだと口を開こうにも、開きかけた口から漏れ出るのは音にならない空気ばかりで。
自分の弱さを改めて痛感し、拳を握った。
「...なぁ名無しさん」
「!」
突然話しかけられて自然とビクついた体をギュッと手首を掴んで抑え込む。
(こわいこわいこわい.....っ....でも、あかん。ちゃんと、向き合え...もう...逃げたあかん、)
震えそうになる体をギュッと閉じ込めて、なるべく震えないようにと頑張って声を返した。
「そんなにお前は、俺に会いたくなかったのか?」
「っ......な、」
「そこまで身体をビクつかせてよ、今にも逃げ出したくて仕方がないって顔してる」
悲しく響いた声色に、会いたくなかった訳ないじゃないかと返したいのに吐息が震えてしまって声にならない。勇気を出せと自身を奮い立たせて言葉を発しようとした瞬間だった。耳を疑うような単語が木霊する。
「エースを守ってやれなくて..............すまなかったっ!」
「..................................へ」
「お前がっ...俺を憎む理由は分かってんだ、俺に会いたくねぇだろうなって事もな...」
「ちがっ」
余りにも悲しく響く声色に思わず顔を上げてみれば、そこには憎悪や嫌悪何て一才もなく、昔のままの優しい目をしたサボと今日初めてちゃと目が合って....もしかしたらという思いが頭を駆け巡る。
「それでも俺はっ....会いたかったんだ、名無しさんお前に」
「っ................」
「ちゃんと助けてやれなくて、悪かったっ!お前にだけっ...背負わせて俺はっ....」
「さ、ぼ.....」
堪えるかのように握りしめられた拳。
それはまるで数分前の自分のようで、あぁ、サボも同じように怖かったのだと誤解させてしまっていたのだと別の意味でまたズキンと心臓が痛くなった。
俯いてしまったサボの余りにも悲壮な訴えに、思わず体はサボの元へと歩みを進める。
コツ...コツと、静かに響いた音が鳴り止めばあんなに遠かった距離は、今はもう1mもない。
「サボ」
強く握りしめられた拳に手のひらを重ねて、名前を呼ぶ。
一瞬震えた身体は気のせいかと思いながら返事を待っていれば俯いていた顔がゆっくりとこちらに向けられる。
「逃げて、ごめんなサボ」
「!....名無しさんっ...」
「謝らせてごめん、そんなつもりは全然なかった。ごめんな」
「俺はっ」
「うちも同じように、怖かったんよ。やから逃げてもた...ごめん」
本当はもっと伝えたい言葉は山ほどあったはずなのに、上手く言葉が出てこずに謝る事しか出来ない。それでもそれが今の自分の精一杯であった。
「エースを.......、エースを、助けられへんくて...憎まれてると思ってたのは、うちやねん」
「!!」
みるみるうちに見開かれたサボの瞳。
「絶対に助けるはずやった...!!その為にうちはずっと、ずっとその為だけに生きてきた....やのに」
「............名無しさん」
「謝らせてごめんっ....!頭を下げなあかんのは、うちやねん.............本間に、ごめん!」
「違うっ俺は」
「...........サボを憎むとか、ある訳ないやろっ...大事な、友達で...家族や。それはずっとこの先一生、変わらへん」
「.................っ、」
「怖かったやろうに、頑張らせてもてごめんな。声かけてくれて嬉しかった、ありがとうっ...」
格好悪くも震えてしまった声のまま気にせずに頭を下げる。あのサボがどこまでも優しいサボが、自責の念を持たない訳ないじゃないか。
どこまでいっても自分の事ばかりかと反省し、頭を上げればそれと同時に強い力で身体を包まれ数秒置いてからサボに抱きしめられているのだと気がついた。
ーピチョン ピチョン
「.................」
「.................」
あれからうちは、サボに連れられるがまま恐らく闘技場の地下であろう場所へと連れて来られていた。歓声すら聞こえない静かな場所で、落ちる水の小さな音だけがこの場に響く。
到着するなり話をされると身構えていたのと裏腹に、壁にもたれかかったまま一向に話しかけてこない空気がより悪い方向へと想像を働かせてしまって身体が強張る。
自分からまず頭を下げるべきだと口を開こうにも、開きかけた口から漏れ出るのは音にならない空気ばかりで。
自分の弱さを改めて痛感し、拳を握った。
「...なぁ名無しさん」
「!」
突然話しかけられて自然とビクついた体をギュッと手首を掴んで抑え込む。
(こわいこわいこわい.....っ....でも、あかん。ちゃんと、向き合え...もう...逃げたあかん、)
震えそうになる体をギュッと閉じ込めて、なるべく震えないようにと頑張って声を返した。
「そんなにお前は、俺に会いたくなかったのか?」
「っ......な、」
「そこまで身体をビクつかせてよ、今にも逃げ出したくて仕方がないって顔してる」
悲しく響いた声色に、会いたくなかった訳ないじゃないかと返したいのに吐息が震えてしまって声にならない。勇気を出せと自身を奮い立たせて言葉を発しようとした瞬間だった。耳を疑うような単語が木霊する。
「エースを守ってやれなくて..............すまなかったっ!」
「..................................へ」
「お前がっ...俺を憎む理由は分かってんだ、俺に会いたくねぇだろうなって事もな...」
「ちがっ」
余りにも悲しく響く声色に思わず顔を上げてみれば、そこには憎悪や嫌悪何て一才もなく、昔のままの優しい目をしたサボと今日初めてちゃと目が合って....もしかしたらという思いが頭を駆け巡る。
「それでも俺はっ....会いたかったんだ、名無しさんお前に」
「っ................」
「ちゃんと助けてやれなくて、悪かったっ!お前にだけっ...背負わせて俺はっ....」
「さ、ぼ.....」
堪えるかのように握りしめられた拳。
それはまるで数分前の自分のようで、あぁ、サボも同じように怖かったのだと誤解させてしまっていたのだと別の意味でまたズキンと心臓が痛くなった。
俯いてしまったサボの余りにも悲壮な訴えに、思わず体はサボの元へと歩みを進める。
コツ...コツと、静かに響いた音が鳴り止めばあんなに遠かった距離は、今はもう1mもない。
「サボ」
強く握りしめられた拳に手のひらを重ねて、名前を呼ぶ。
一瞬震えた身体は気のせいかと思いながら返事を待っていれば俯いていた顔がゆっくりとこちらに向けられる。
「逃げて、ごめんなサボ」
「!....名無しさんっ...」
「謝らせてごめん、そんなつもりは全然なかった。ごめんな」
「俺はっ」
「うちも同じように、怖かったんよ。やから逃げてもた...ごめん」
本当はもっと伝えたい言葉は山ほどあったはずなのに、上手く言葉が出てこずに謝る事しか出来ない。それでもそれが今の自分の精一杯であった。
「エースを.......、エースを、助けられへんくて...憎まれてると思ってたのは、うちやねん」
「!!」
みるみるうちに見開かれたサボの瞳。
「絶対に助けるはずやった...!!その為にうちはずっと、ずっとその為だけに生きてきた....やのに」
「............名無しさん」
「謝らせてごめんっ....!頭を下げなあかんのは、うちやねん.............本間に、ごめん!」
「違うっ俺は」
「...........サボを憎むとか、ある訳ないやろっ...大事な、友達で...家族や。それはずっとこの先一生、変わらへん」
「.................っ、」
「怖かったやろうに、頑張らせてもてごめんな。声かけてくれて嬉しかった、ありがとうっ...」
格好悪くも震えてしまった声のまま気にせずに頭を下げる。あのサボがどこまでも優しいサボが、自責の念を持たない訳ないじゃないか。
どこまでいっても自分の事ばかりかと反省し、頭を上げればそれと同時に強い力で身体を包まれ数秒置いてからサボに抱きしめられているのだと気がついた。