エンドライフ④
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《56.また会えたその時は。》
ーサクッ サクッ
綺麗な虫の音が鳴り響く夜更け、小屋に向かって歩き出す小さな人影が一つ。サク、サクと聞き耳を立てなければ聞こえないレベルの音を立てながらその人影はそっと静かに立ち止まる。
(ははっ...かっわいいなあ)
あどけないまでの安らかな寝顔は、最後に自分が見た寝顔とは天と地ほども違っており確かにそこに息づいていて。
また溢れてしまいそうになる涙を飲み込んで、その隣で休むどこまでも優しい存在へと目を向けた。
(ちょっと...痩せたか?)
元々細身な方ではあったのだが、閉じられている瞼の下には幾度となく見てきた隈が色濃く残っていて心配をかけてしまったのだなと申し訳無さがつのった。
本当はすぐにでも2人の前に現れて心配をかけてごめんと、迷惑をかけてごめんと伝えたかったのだが、何分急な展開過ぎて自分自身の感情の整理がついていない。
(ごめんな.......ありがとう)
それでももう、悲観的になって逃げるという事だけはしては駄目なのだとさっきの2人の姿を見て感じていた名無しさんは小さな小石に折り畳まれた紙を挟んでから、もう一度2人を見て笑った後来た時同様静かにその場を立ち去った。
「おいっ...おいって!起きろよマルコ!」
「あァ?ったく....朝っぱらからうるせェよい...」
「んな事言ってる場合じゃねェーんだよ!見てみろよコレっ」
少し上擦った声で性急に声をかけてくるエースを不思議に思い、瞑ったままでいた瞼を開けるとこれでもかと言うぐらい近い距離で眼前に見せられている何か。
寝起きの頭ではすぐに理解は出来ないマルコは一度伸びをしてから再度目の前につきつけられた何かを見ると、みるみるうちに目を見開いてエースの手からそれを奪う。
「エースお前っ...どこでこれを」
「へへっどうやら間違っちゃいなかったようだな。お前宛のは多分そこにあるぜ」
そう言ってエースが指刺す方に振り向けば、そこには小石に挟まる同じような小さな紙切れ。
少し震える指先で、ゆっくりとその紙を開いていけば何て事のない彼女らしい言葉が綴られていて思わずマルコは笑ってしまった。
《ちょっと探し物に行ってきます。色々言いたい事はあるのやけど、それはまた直接伝えたいからまずはこれだけ。夜はしっかりと眠るように。ありがとうな、マルコ。次は自分から皆に会いに行きます》
変わる事のない、名無しさんからの言葉を噛み締めるかのように笑ったマルコ。それを見たエースも、どこか懐かしさを感じる文字の羅列をそっとなぞった。
《生きていてくれて、ありがとうエース。また会えるその時は、サボとルフィと皆で会いたいな。体には気をつけて》
「生きていてくれて、ありがとう...か」
音にすれば尚一層懐かしさを増す響きな気がしてエースもまた噛み締めるかのような笑顔を見せる。
「.....戻るか、エース」
「....だなァ」
願わくば、名無しさんとここで会えたらという思いは叶わなかったが、それと同じくらいの収穫はちゃんと得られたように思える2人の顔はどこか晴々しくて。
続々と起きてきたハートの海賊団の皆にも冷やかされるぐらいに2人はニコニコしていたのだと言う。
.....その日から2年、名無しさんと彼らが再び時を重ねる事は一度も無かった。
ようやく全ての幕が上がり、物語の終結へと向かい始めていた事をこの時はまだ誰も知らない。
ーサクッ サクッ
綺麗な虫の音が鳴り響く夜更け、小屋に向かって歩き出す小さな人影が一つ。サク、サクと聞き耳を立てなければ聞こえないレベルの音を立てながらその人影はそっと静かに立ち止まる。
(ははっ...かっわいいなあ)
あどけないまでの安らかな寝顔は、最後に自分が見た寝顔とは天と地ほども違っており確かにそこに息づいていて。
また溢れてしまいそうになる涙を飲み込んで、その隣で休むどこまでも優しい存在へと目を向けた。
(ちょっと...痩せたか?)
元々細身な方ではあったのだが、閉じられている瞼の下には幾度となく見てきた隈が色濃く残っていて心配をかけてしまったのだなと申し訳無さがつのった。
本当はすぐにでも2人の前に現れて心配をかけてごめんと、迷惑をかけてごめんと伝えたかったのだが、何分急な展開過ぎて自分自身の感情の整理がついていない。
(ごめんな.......ありがとう)
それでももう、悲観的になって逃げるという事だけはしては駄目なのだとさっきの2人の姿を見て感じていた名無しさんは小さな小石に折り畳まれた紙を挟んでから、もう一度2人を見て笑った後来た時同様静かにその場を立ち去った。
「おいっ...おいって!起きろよマルコ!」
「あァ?ったく....朝っぱらからうるせェよい...」
「んな事言ってる場合じゃねェーんだよ!見てみろよコレっ」
少し上擦った声で性急に声をかけてくるエースを不思議に思い、瞑ったままでいた瞼を開けるとこれでもかと言うぐらい近い距離で眼前に見せられている何か。
寝起きの頭ではすぐに理解は出来ないマルコは一度伸びをしてから再度目の前につきつけられた何かを見ると、みるみるうちに目を見開いてエースの手からそれを奪う。
「エースお前っ...どこでこれを」
「へへっどうやら間違っちゃいなかったようだな。お前宛のは多分そこにあるぜ」
そう言ってエースが指刺す方に振り向けば、そこには小石に挟まる同じような小さな紙切れ。
少し震える指先で、ゆっくりとその紙を開いていけば何て事のない彼女らしい言葉が綴られていて思わずマルコは笑ってしまった。
《ちょっと探し物に行ってきます。色々言いたい事はあるのやけど、それはまた直接伝えたいからまずはこれだけ。夜はしっかりと眠るように。ありがとうな、マルコ。次は自分から皆に会いに行きます》
変わる事のない、名無しさんからの言葉を噛み締めるかのように笑ったマルコ。それを見たエースも、どこか懐かしさを感じる文字の羅列をそっとなぞった。
《生きていてくれて、ありがとうエース。また会えるその時は、サボとルフィと皆で会いたいな。体には気をつけて》
「生きていてくれて、ありがとう...か」
音にすれば尚一層懐かしさを増す響きな気がしてエースもまた噛み締めるかのような笑顔を見せる。
「.....戻るか、エース」
「....だなァ」
願わくば、名無しさんとここで会えたらという思いは叶わなかったが、それと同じくらいの収穫はちゃんと得られたように思える2人の顔はどこか晴々しくて。
続々と起きてきたハートの海賊団の皆にも冷やかされるぐらいに2人はニコニコしていたのだと言う。
.....その日から2年、名無しさんと彼らが再び時を重ねる事は一度も無かった。
ようやく全ての幕が上がり、物語の終結へと向かい始めていた事をこの時はまだ誰も知らない。