エンドライフ④
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《30.戦いの後に》
「なーなー名無しさんちゃんはどっちが好きとかあるー?」
「俺とペンギンで今朝とってきた果物なんだぜ!ささっ遠慮せずに食ってくれよ〜」
「(わっ!そんな、余ったやつでうちは十分やで)」
「...おいお前ら、あいつは今話せねェんだから無闇矢鱈と話しかけてやるな」
「「アイアイっ!キャプテン!」」
所変わりここは最早何度目のお世話になるのだろう、とある潜水船での治療室にて名無しさんは横になっていた。ローの配慮によりペンギンとシャチは治療室を後にすればそこには名無しさんとローしか残っておらず、眉間に皺を寄せたままのローは、ゆったりとした動作で近くの椅子へと腰掛ける。
「ったくお前は、何度死にかければ気が済むんだ」
「(.............ごめん)」
「.......。悪いと思ってんなら、命を粗末にするな」
「(!伝わった?....や、そんな訳ないか)」
「今回何て俺達が向かわなけりゃ、お前はどうせ何の処置も無しにそのまま過ごしていやがったんだろ?」
「(......や、流石にうちも自分で手を終えんレベルやったらお医者さんに)」
「嘘をつけ。処置をする気があんのなら医者が居る島なりなんなり目指すはずだ」
返事が出来ていないはずなのにも関わらず、まるで会話をしているかのように話しかけるロー。そもそもが、何故名無しさんがここに居るのかというのは、ザッと数時間前までに遡る。
名無しさんが能力発動の代償を無事終えて眠りについた後の出来事だった。
特に目立った特産物もなく、こじんまりと平和に暮らすこの島に一隻の海賊船が近づいていたのだ。
「ベポっ!!急いでくれよっ、このまままじゃ名無しさんちゃんがっ」
「そんな事言われても今必死にやってるよ」
「あぁーっ!ペンギンっ!また!また燃えちまってるよっ....どうしようキャプテン!名無しさんちゃんが死んじまうよ!」
「落ち着けお前ら。んな焦ったって仕方ねえだろうが。そもそもあいつが勝手に死にかけてる状況で何で俺達が手を貸さないといけねぇーんだ」
「友達でしょうキャプテン!」
「一緒に宴やった仲じゃないすか!夢見悪ぃーよ!」
名無しさんが唯一回収出来なかったビブルカード。
それはハートの海賊団ペンギンとシャチが持っていたもので。あの宴の際に名無しさんはひっそりと回収していたのだが、その思惑に気がついたローがコッソリと入れ替えていたのだ。
ビブルカードが白いただの紙切れにすり替わったのなんて名無しさんが気がつく訳も無く運命のあの日を迎えた訳で、当然あの20時間にも及ぶ彼女の戦いはビブルカードにも反映されており、ルフィと女ヶ島で別れた後に名無しさんの元へと船を走らせていたのであった。
結局騒ぐペンギン達の勢いに飲まれ、一つだけ思い当たる島を目指して船を走らせているという訳だったのだ。
「どうだベポ、後何日ぐらいかかりそうだ」
「後2日ぐらいあれば着くはずだよ」
「...そうか。悪いな急がせちまって」
「ううんキャプテンが急いで欲しそうだったからね、お安い御用だよっ」
「!そんな風に見えたのか」
「うんっ、だってあの子とキャプテンは何だか似てるから!」
どこがとは言えないんだけど、とにかく似てるんだよと笑ったベポに一瞬言葉を失ったローだったがすぐに否定出来なかった自分に気がついて何故あの時ビブルカードを差し替えたのかも合点がいった。
「フッ...ハハっ、そうか。俺とあいつがな」
「だからじゃないかな、ペンギンとシャチがさあそこまで心配するのも」
「...あいつらはただ、名無しさんが好きなだけだろ」
「う〜んそれだけじゃないと思うんだけどなあ」
首を傾げながらも航海の手は休めないベポを見て頭を撫でてから部屋を出て行くローの口元には人知れず笑みが浮かんでいた。
「よおっし!着いたぞペンギン!」
「そうだなシャチ!そんじゃあ...」
「「急いで名無しさんちゃん探しに行くぞ」」
「待てお前ら。大方検討は着いている、着いてこい」
「「〜〜っ!アイアイっキャプテン!」」
やっぱキャプテンも気になってたんだよやっさしーなぁ!などと後ろから聞こえる声をスルーしつつ、街を超えどんどん森の奥へと進んでいく一向。
するとふいに強烈な血の匂いがベポの鼻を掠めて声を上げた。
「わっ....!何だよこの匂いっ....沢山の血の匂いが、するよ...!」
「!ベポ、それは本当か」
「うんっ!この奥のもっと先から名無しさんちゃんの匂いに混じって強い...強い血の匂いがするっ」
「!...あの馬鹿」
それを聞くや否や走り出したローと、一拍置いてから後を追うペンギン達。どうか違ってくれと思いながらも小指の爪以下となったビブルカードを握りしめたシャチはいつも以上に真面目な顔をしながら後を追いかけた。
後もう少しで小屋までに辿り着くといった所で、突然ローの足がピタリと止まる。
「待てお前ら。地面を見ろ」
後ろへと静止をかけて促されるように地面を見ればそこには何か争いがあったのかと思う程の大量の血痕後や引っ掻かれたように抉れた地面、その少し先には異様に枯れ果てた木々があったりと、どう見ても不穏な空間が広がっていた。
「何....だよ、これ」
その血の後は明らかに小屋へと続いていて、小屋に歩を進める程に血溜まりが深くなっていく。恐らく吐血もしたのだろうそれに誰しもが最悪の状況を予想しながらドアに手をかけようとした、その時だった。
ーガチャ
「......?....!っ....?」
見覚えのあり過ぎる彼女が、元気そうに立っていたのだ。
「なーなー名無しさんちゃんはどっちが好きとかあるー?」
「俺とペンギンで今朝とってきた果物なんだぜ!ささっ遠慮せずに食ってくれよ〜」
「(わっ!そんな、余ったやつでうちは十分やで)」
「...おいお前ら、あいつは今話せねェんだから無闇矢鱈と話しかけてやるな」
「「アイアイっ!キャプテン!」」
所変わりここは最早何度目のお世話になるのだろう、とある潜水船での治療室にて名無しさんは横になっていた。ローの配慮によりペンギンとシャチは治療室を後にすればそこには名無しさんとローしか残っておらず、眉間に皺を寄せたままのローは、ゆったりとした動作で近くの椅子へと腰掛ける。
「ったくお前は、何度死にかければ気が済むんだ」
「(.............ごめん)」
「.......。悪いと思ってんなら、命を粗末にするな」
「(!伝わった?....や、そんな訳ないか)」
「今回何て俺達が向かわなけりゃ、お前はどうせ何の処置も無しにそのまま過ごしていやがったんだろ?」
「(......や、流石にうちも自分で手を終えんレベルやったらお医者さんに)」
「嘘をつけ。処置をする気があんのなら医者が居る島なりなんなり目指すはずだ」
返事が出来ていないはずなのにも関わらず、まるで会話をしているかのように話しかけるロー。そもそもが、何故名無しさんがここに居るのかというのは、ザッと数時間前までに遡る。
名無しさんが能力発動の代償を無事終えて眠りについた後の出来事だった。
特に目立った特産物もなく、こじんまりと平和に暮らすこの島に一隻の海賊船が近づいていたのだ。
「ベポっ!!急いでくれよっ、このまままじゃ名無しさんちゃんがっ」
「そんな事言われても今必死にやってるよ」
「あぁーっ!ペンギンっ!また!また燃えちまってるよっ....どうしようキャプテン!名無しさんちゃんが死んじまうよ!」
「落ち着けお前ら。んな焦ったって仕方ねえだろうが。そもそもあいつが勝手に死にかけてる状況で何で俺達が手を貸さないといけねぇーんだ」
「友達でしょうキャプテン!」
「一緒に宴やった仲じゃないすか!夢見悪ぃーよ!」
名無しさんが唯一回収出来なかったビブルカード。
それはハートの海賊団ペンギンとシャチが持っていたもので。あの宴の際に名無しさんはひっそりと回収していたのだが、その思惑に気がついたローがコッソリと入れ替えていたのだ。
ビブルカードが白いただの紙切れにすり替わったのなんて名無しさんが気がつく訳も無く運命のあの日を迎えた訳で、当然あの20時間にも及ぶ彼女の戦いはビブルカードにも反映されており、ルフィと女ヶ島で別れた後に名無しさんの元へと船を走らせていたのであった。
結局騒ぐペンギン達の勢いに飲まれ、一つだけ思い当たる島を目指して船を走らせているという訳だったのだ。
「どうだベポ、後何日ぐらいかかりそうだ」
「後2日ぐらいあれば着くはずだよ」
「...そうか。悪いな急がせちまって」
「ううんキャプテンが急いで欲しそうだったからね、お安い御用だよっ」
「!そんな風に見えたのか」
「うんっ、だってあの子とキャプテンは何だか似てるから!」
どこがとは言えないんだけど、とにかく似てるんだよと笑ったベポに一瞬言葉を失ったローだったがすぐに否定出来なかった自分に気がついて何故あの時ビブルカードを差し替えたのかも合点がいった。
「フッ...ハハっ、そうか。俺とあいつがな」
「だからじゃないかな、ペンギンとシャチがさあそこまで心配するのも」
「...あいつらはただ、名無しさんが好きなだけだろ」
「う〜んそれだけじゃないと思うんだけどなあ」
首を傾げながらも航海の手は休めないベポを見て頭を撫でてから部屋を出て行くローの口元には人知れず笑みが浮かんでいた。
「よおっし!着いたぞペンギン!」
「そうだなシャチ!そんじゃあ...」
「「急いで名無しさんちゃん探しに行くぞ」」
「待てお前ら。大方検討は着いている、着いてこい」
「「〜〜っ!アイアイっキャプテン!」」
やっぱキャプテンも気になってたんだよやっさしーなぁ!などと後ろから聞こえる声をスルーしつつ、街を超えどんどん森の奥へと進んでいく一向。
するとふいに強烈な血の匂いがベポの鼻を掠めて声を上げた。
「わっ....!何だよこの匂いっ....沢山の血の匂いが、するよ...!」
「!ベポ、それは本当か」
「うんっ!この奥のもっと先から名無しさんちゃんの匂いに混じって強い...強い血の匂いがするっ」
「!...あの馬鹿」
それを聞くや否や走り出したローと、一拍置いてから後を追うペンギン達。どうか違ってくれと思いながらも小指の爪以下となったビブルカードを握りしめたシャチはいつも以上に真面目な顔をしながら後を追いかけた。
後もう少しで小屋までに辿り着くといった所で、突然ローの足がピタリと止まる。
「待てお前ら。地面を見ろ」
後ろへと静止をかけて促されるように地面を見ればそこには何か争いがあったのかと思う程の大量の血痕後や引っ掻かれたように抉れた地面、その少し先には異様に枯れ果てた木々があったりと、どう見ても不穏な空間が広がっていた。
「何....だよ、これ」
その血の後は明らかに小屋へと続いていて、小屋に歩を進める程に血溜まりが深くなっていく。恐らく吐血もしたのだろうそれに誰しもが最悪の状況を予想しながらドアに手をかけようとした、その時だった。
ーガチャ
「......?....!っ....?」
見覚えのあり過ぎる彼女が、元気そうに立っていたのだ。