エンドライフ④
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《27. 弔い 》
場所は代わり、時を同じくしてモビーディックでは棺桶に入れられたエースを囲みながらも追悼式が行われていた。
本来であればすぐにでも死者を土へと埋葬し、お葬式のような簡単な集いが行われるのだが今回に至ってはマルコの強い希望もあって1日後に儀式という約束となっていたのだ。
「.....これも、名無しさんの希望なのか」
「っ、あぁそうだ。頂上戦争の前にあいつから手紙が届いてな...そう記されてあった」
「..........差し支えなければよ、俺にもあいつの言葉を聞かせてくれねェか」
「....そうだなァ。お前さんなら、いいよい」
泣き喚く者、お酒を傾けながらじっと棺桶を見つめたまま黙る者などが溢れている甲板の端っこではサボとマルコが少し離れた場所で周りのその様子を見ながらお酒を口にしていた。
彼らが起きた時には無惨にも名無しさんの姿は船の何処にもなく、持っていたはずのビブルカードは全て回収されてしまっていた時の絶望感は彼らにとって計り知れなかったという事を名無しさんは知らない。
「まず始めになァ...皆は元気にしてるかとか誰も怪我はしてねェのか、親父の体調はどうだっつー内容が手紙一枚分ぐらいあったっけな」
「.......あいつらしい」
「全くだ。そんでこれから起こる戦争での事、止められなかった事への謝罪と身の振り方について書かれてあった」
「...どんな内容か聞いても?」
「構わねェよい」
始めに了承したというのに、一つ一つを確認して伺いを立ててくれるサボの律儀さに頬を緩めながらもマルコは続ける。
「そこにはお願い事が3つ程記されてあってな...まず始めがどんな結果になろうとも今後もこの船には帰ってくるつもりはねェけど、元気にやるから心配はすんなって事」
「.................」
「二つ目には、きっと皆怪我を沢山するだろうからゆっくりと身体を休めてこれからも海賊としての人生を謳歌して欲しい事」
「.................」
「そして最後に..........っ、...エースの事についてだ」
震えないようにと吐き出した息にサボは気がつき、そっとマルコのジョッキへとお酒を注ぐ。その言葉にもしない優しさはマルコのそれとどこか似ていた。
「っ....悪ィな.....いざ、言葉にするとなるとっ...はは、辛ェもんだよい」
「無理はしなくていい、今じゃなくても大丈夫だ」
「..........、ははありがとよい」
「言葉にするのが辛いのは...怖ェのは、俺にもよく分かるからよ...今はもう無理だけはすんな」
そう呟いてからサボの脳裏に浮かぶのは、まだ記憶の無かった自分自身へのもの。自分が何者なのかも分からずどこからきたのか何をしたかったのかも分からないままに生きてきた10年間。
その間で唯一サボを支えていたのが、自分を知っていると待っているからと笑ってくれた名無しさんだったのだ。
例え記憶が無くても知ってくれている、記憶が無くても受け止めた上で待っていてくれる存在が居る事がサボにとってどれだけ心強いものであったのかを名無しさんは知らない。
「....悪い。ちゃんと今、話をするからよい」
「分かった。だけど無理はするなよ」
少し時間をおいてから目元を拭ったマルコが、何でも無かったかのように言葉を紡ぐ。
「最後に記されてあったのが、もしも今回の戦争であいつが命を落としちまった時はすぐには埋葬をしねェでせめて1日だけでも、今までと変わらないように皆であいつを囲んで騒いで飲み食いをしてから弔ってほしいとのお願いだったんだよい」
「.......!それが、これという訳か」
「その通りだ。何でも名無しさんの国では死者を送る時、最後笑って故人が旅立てるようにと死者を囲んだり尊びながら温かい最後の食事を一緒にとって送り出す習わしがあるらしいんだ」
「.....優しいあいつの、国らしいな」
「ははっ、全くだ。あいつは本当...どこまでも世話の焼けるっ...心の優しい奴なんだよい」
「......、あぁ。すごく分かる」
静かに交わされた言葉を最後に、真っ直ぐとエースの棺桶を見ながらお酒を煽ったマルコ。それはまるで吐き出したい気持ちを、思いを飲み込むかのように見えたサボも同じようにまたお酒を口にした。
「あいつの居場所は分かんねェのかな」
それから暫くして、呟くように漏れ出たサボの言葉。
痛いほどにその気持ちをわかっていたからこそマルコは驚く事もなく、口を開く。
「オヤジが言うにはな、まるでおれ達から早く逃げてェかのように下手くそな笑顔で笑ってオヤジの言葉も何も聞かないままで船を降りたんだと」
「逃げるようにって....あいつはこの船が大好きだろうが」
「だと、良いんだけどなァ」
「それは間違いねェよ!俺が今までどれだけ自慢されてきたと思ってるんだ......ったく本当...羨まし過ぎるだろ」
「!...ははっ、何だよお前まるであいつが好きみてェな口ぶりで」
「好きだよ俺は。それこそ、ガキの頃からずっとだ」
「!!」
もしかしてとはマルコ自身も頭の何処かで思ってはいたが、まさかここまでハッキリと言われるとは思ってもおらず開いた口が塞がらない。
場所は代わり、時を同じくしてモビーディックでは棺桶に入れられたエースを囲みながらも追悼式が行われていた。
本来であればすぐにでも死者を土へと埋葬し、お葬式のような簡単な集いが行われるのだが今回に至ってはマルコの強い希望もあって1日後に儀式という約束となっていたのだ。
「.....これも、名無しさんの希望なのか」
「っ、あぁそうだ。頂上戦争の前にあいつから手紙が届いてな...そう記されてあった」
「..........差し支えなければよ、俺にもあいつの言葉を聞かせてくれねェか」
「....そうだなァ。お前さんなら、いいよい」
泣き喚く者、お酒を傾けながらじっと棺桶を見つめたまま黙る者などが溢れている甲板の端っこではサボとマルコが少し離れた場所で周りのその様子を見ながらお酒を口にしていた。
彼らが起きた時には無惨にも名無しさんの姿は船の何処にもなく、持っていたはずのビブルカードは全て回収されてしまっていた時の絶望感は彼らにとって計り知れなかったという事を名無しさんは知らない。
「まず始めになァ...皆は元気にしてるかとか誰も怪我はしてねェのか、親父の体調はどうだっつー内容が手紙一枚分ぐらいあったっけな」
「.......あいつらしい」
「全くだ。そんでこれから起こる戦争での事、止められなかった事への謝罪と身の振り方について書かれてあった」
「...どんな内容か聞いても?」
「構わねェよい」
始めに了承したというのに、一つ一つを確認して伺いを立ててくれるサボの律儀さに頬を緩めながらもマルコは続ける。
「そこにはお願い事が3つ程記されてあってな...まず始めがどんな結果になろうとも今後もこの船には帰ってくるつもりはねェけど、元気にやるから心配はすんなって事」
「.................」
「二つ目には、きっと皆怪我を沢山するだろうからゆっくりと身体を休めてこれからも海賊としての人生を謳歌して欲しい事」
「.................」
「そして最後に..........っ、...エースの事についてだ」
震えないようにと吐き出した息にサボは気がつき、そっとマルコのジョッキへとお酒を注ぐ。その言葉にもしない優しさはマルコのそれとどこか似ていた。
「っ....悪ィな.....いざ、言葉にするとなるとっ...はは、辛ェもんだよい」
「無理はしなくていい、今じゃなくても大丈夫だ」
「..........、ははありがとよい」
「言葉にするのが辛いのは...怖ェのは、俺にもよく分かるからよ...今はもう無理だけはすんな」
そう呟いてからサボの脳裏に浮かぶのは、まだ記憶の無かった自分自身へのもの。自分が何者なのかも分からずどこからきたのか何をしたかったのかも分からないままに生きてきた10年間。
その間で唯一サボを支えていたのが、自分を知っていると待っているからと笑ってくれた名無しさんだったのだ。
例え記憶が無くても知ってくれている、記憶が無くても受け止めた上で待っていてくれる存在が居る事がサボにとってどれだけ心強いものであったのかを名無しさんは知らない。
「....悪い。ちゃんと今、話をするからよい」
「分かった。だけど無理はするなよ」
少し時間をおいてから目元を拭ったマルコが、何でも無かったかのように言葉を紡ぐ。
「最後に記されてあったのが、もしも今回の戦争であいつが命を落としちまった時はすぐには埋葬をしねェでせめて1日だけでも、今までと変わらないように皆であいつを囲んで騒いで飲み食いをしてから弔ってほしいとのお願いだったんだよい」
「.......!それが、これという訳か」
「その通りだ。何でも名無しさんの国では死者を送る時、最後笑って故人が旅立てるようにと死者を囲んだり尊びながら温かい最後の食事を一緒にとって送り出す習わしがあるらしいんだ」
「.....優しいあいつの、国らしいな」
「ははっ、全くだ。あいつは本当...どこまでも世話の焼けるっ...心の優しい奴なんだよい」
「......、あぁ。すごく分かる」
静かに交わされた言葉を最後に、真っ直ぐとエースの棺桶を見ながらお酒を煽ったマルコ。それはまるで吐き出したい気持ちを、思いを飲み込むかのように見えたサボも同じようにまたお酒を口にした。
「あいつの居場所は分かんねェのかな」
それから暫くして、呟くように漏れ出たサボの言葉。
痛いほどにその気持ちをわかっていたからこそマルコは驚く事もなく、口を開く。
「オヤジが言うにはな、まるでおれ達から早く逃げてェかのように下手くそな笑顔で笑ってオヤジの言葉も何も聞かないままで船を降りたんだと」
「逃げるようにって....あいつはこの船が大好きだろうが」
「だと、良いんだけどなァ」
「それは間違いねェよ!俺が今までどれだけ自慢されてきたと思ってるんだ......ったく本当...羨まし過ぎるだろ」
「!...ははっ、何だよお前まるであいつが好きみてェな口ぶりで」
「好きだよ俺は。それこそ、ガキの頃からずっとだ」
「!!」
もしかしてとはマルコ自身も頭の何処かで思ってはいたが、まさかここまでハッキリと言われるとは思ってもおらず開いた口が塞がらない。