エンドライフ④
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《26.一人きりの戦い》
「ゔあっ........っ、はぁ、っ...」
名無しさんがこの島に到着して18時間が経過した頃、彼女は苦しみながら地面に這いつくばり飛ばしてしまいそうになる意識を自らの足にナイフを突き立てて保っていた。
....流れる鮮血と既にもう張り付いた状態で固まってしまった血液。
まるで胸と背中へと腕でも突き立てられたかのようにぽっかりと焼き付いた、火傷のような血溜まりと化したケロイドは誰が見ても驚く程に重症そのもので名無しさんが身につけていた白い中襦袢は見る影も無く真っ赤に染められている。
(.....っ、まだや......まだ、あかんっ....もしここでうちが踏ん張れんければ、エースがっ)
保証の無い一種の賭けのような今回のそれ。
インペルダウンに潜入した頃に仕掛けた能力はレイリーさんとの修行で洗練されたものとはいえ、命の流れが止まってしまったものが対象となってしまった為、自らが今どれだけ苦しみを背負っていようと、エースが生き返るのだという確証はずっと、持てなかった技。
「あと、.....、ぁああああっ.....!!!.....ぁ、と、ちょっと....」
血を流し過ぎ、枯れた喉と最早起き上がる事すら出来ない身体。
それでも痛みを抱え終わるまでは意識が飛んでしまわないように何度もナイフを突き立てるのは、この世界において何者よりも優先される....誰よりも生きていてほしい...あの、笑顔のためで。
耳通りの良かった声は掠れて呻き声のような吐息が漏れるだけとなった音にも構わず、暗闇がこようと朝日が照らそうと耐え凌ぐだけの身を裂く痛み。
「...そうだね、これはあくまでも私の仮説だが君のその能力の原理的には奪った命の期日は時間へと変換される」
「時間へと?...ん?どう言う事?」
「例えばの例で言うと、50歳で死ぬ予定だった者の命が尽きる原因となったものを君が貰えば、君の寿命は50年縮んでしまう上50時間身を裂くような痛みを伴う...とかね」
「わっ、こっわ」
「ははは!そうだろうとも。だからこそ力は正しく使わなくちゃいけないんだ」
「でも代わりに死ぬとかにはならへんのが悪魔の実の凄い所やなぁ」
「それは分からないさ。無知な者が使えば命を落とす危険性だって大いにあり得る...私も能力が扱える訳ではないからね、あくまで想像する範疇での仮説だよ」
...頭の中に流れていく、レイリーさんとの会話の数々。
あの仮説からいくと...この技がもしも成功しているのだとしたらエースが生きた20年分の命は既に削られていて20時間痛みに耐え凌ぎさえすれば大丈夫との見解が生み出されて名無しさんは苦しいながらも口元に笑みを浮かべる。
(こんなっ痛みなんかで、エースが笑って生きられるなら......安いもんやわ)
もっと、もっともっともっと....エースは痛かったはずだと頭から離れてくれないあの場面をフラッシュバックしては唇を噛み締めた名無しさん。
そんな名無しさんの気持ちを知ってか知らずか、前日の夕刻から始まった彼女の戦いは夜も深まってきたもうすぐに終わりを告げる事となる。
(まだっ..........まだ、意識をとばすな、たえろ)
何度も言い聞かせるおまじないを声にならない声で自分自身へと誓いを立てながらも全身を掻きむしりたい程の痛みと戦う姿は、人里離れた丘の上での出来事の為誰にも知られる事は無く時間だけが過ぎていった。
「.....!あ、れ」
焼けるようだった痛みが、身を裂くようだった痛みが、無い。....耐えぬいたのだと、もしかしたら成功したのかもしれないと心から湧き出る気持ちのままに、名無しさんは笑った。
血だらけとなった震える腕を滑らせながらも使ってゴロンと大の字で空をみあげれば、幾度となく見てきた壮大な景色。
「ゴホゴホゴホッ!!.....っ、は、は、のどが、はりついてる....」
まともに音を出せない空気だけとなった声色に笑って目の前に広がる何一つ昔から変わる事のない星空の美しさに笑った。
「.....へ、へへ。まも、れたん....かな、うち.......は」
腕を上げる事すらも身体を起き上げる事すらも出来ないが、やっと自分の血液の流れを感じているようで生きているのだと実感をした。
せめて水だけでものみに立ち上がりたいなとは思うものの最早一切力の入らなくなった身体ではどうする事も出来はしないので、今日もこのまま外で夜を明かすかと十数時間ぶりにその瞼をゆっくりと...ゆっくりと閉じていった。
力無く仰向けに倒れ、目を閉じた名無しさん。
彼女の周りには小屋の中から続く血溜まりの惨劇と、あちこちの地面や草むらまでもが赤く染められていて。その壮絶なまでの戦いにやっと今終止符が打たれたのだった。
「ゔあっ........っ、はぁ、っ...」
名無しさんがこの島に到着して18時間が経過した頃、彼女は苦しみながら地面に這いつくばり飛ばしてしまいそうになる意識を自らの足にナイフを突き立てて保っていた。
....流れる鮮血と既にもう張り付いた状態で固まってしまった血液。
まるで胸と背中へと腕でも突き立てられたかのようにぽっかりと焼き付いた、火傷のような血溜まりと化したケロイドは誰が見ても驚く程に重症そのもので名無しさんが身につけていた白い中襦袢は見る影も無く真っ赤に染められている。
(.....っ、まだや......まだ、あかんっ....もしここでうちが踏ん張れんければ、エースがっ)
保証の無い一種の賭けのような今回のそれ。
インペルダウンに潜入した頃に仕掛けた能力はレイリーさんとの修行で洗練されたものとはいえ、命の流れが止まってしまったものが対象となってしまった為、自らが今どれだけ苦しみを背負っていようと、エースが生き返るのだという確証はずっと、持てなかった技。
「あと、.....、ぁああああっ.....!!!.....ぁ、と、ちょっと....」
血を流し過ぎ、枯れた喉と最早起き上がる事すら出来ない身体。
それでも痛みを抱え終わるまでは意識が飛んでしまわないように何度もナイフを突き立てるのは、この世界において何者よりも優先される....誰よりも生きていてほしい...あの、笑顔のためで。
耳通りの良かった声は掠れて呻き声のような吐息が漏れるだけとなった音にも構わず、暗闇がこようと朝日が照らそうと耐え凌ぐだけの身を裂く痛み。
「...そうだね、これはあくまでも私の仮説だが君のその能力の原理的には奪った命の期日は時間へと変換される」
「時間へと?...ん?どう言う事?」
「例えばの例で言うと、50歳で死ぬ予定だった者の命が尽きる原因となったものを君が貰えば、君の寿命は50年縮んでしまう上50時間身を裂くような痛みを伴う...とかね」
「わっ、こっわ」
「ははは!そうだろうとも。だからこそ力は正しく使わなくちゃいけないんだ」
「でも代わりに死ぬとかにはならへんのが悪魔の実の凄い所やなぁ」
「それは分からないさ。無知な者が使えば命を落とす危険性だって大いにあり得る...私も能力が扱える訳ではないからね、あくまで想像する範疇での仮説だよ」
...頭の中に流れていく、レイリーさんとの会話の数々。
あの仮説からいくと...この技がもしも成功しているのだとしたらエースが生きた20年分の命は既に削られていて20時間痛みに耐え凌ぎさえすれば大丈夫との見解が生み出されて名無しさんは苦しいながらも口元に笑みを浮かべる。
(こんなっ痛みなんかで、エースが笑って生きられるなら......安いもんやわ)
もっと、もっともっともっと....エースは痛かったはずだと頭から離れてくれないあの場面をフラッシュバックしては唇を噛み締めた名無しさん。
そんな名無しさんの気持ちを知ってか知らずか、前日の夕刻から始まった彼女の戦いは夜も深まってきたもうすぐに終わりを告げる事となる。
(まだっ..........まだ、意識をとばすな、たえろ)
何度も言い聞かせるおまじないを声にならない声で自分自身へと誓いを立てながらも全身を掻きむしりたい程の痛みと戦う姿は、人里離れた丘の上での出来事の為誰にも知られる事は無く時間だけが過ぎていった。
「.....!あ、れ」
焼けるようだった痛みが、身を裂くようだった痛みが、無い。....耐えぬいたのだと、もしかしたら成功したのかもしれないと心から湧き出る気持ちのままに、名無しさんは笑った。
血だらけとなった震える腕を滑らせながらも使ってゴロンと大の字で空をみあげれば、幾度となく見てきた壮大な景色。
「ゴホゴホゴホッ!!.....っ、は、は、のどが、はりついてる....」
まともに音を出せない空気だけとなった声色に笑って目の前に広がる何一つ昔から変わる事のない星空の美しさに笑った。
「.....へ、へへ。まも、れたん....かな、うち.......は」
腕を上げる事すらも身体を起き上げる事すらも出来ないが、やっと自分の血液の流れを感じているようで生きているのだと実感をした。
せめて水だけでものみに立ち上がりたいなとは思うものの最早一切力の入らなくなった身体ではどうする事も出来はしないので、今日もこのまま外で夜を明かすかと十数時間ぶりにその瞼をゆっくりと...ゆっくりと閉じていった。
力無く仰向けに倒れ、目を閉じた名無しさん。
彼女の周りには小屋の中から続く血溜まりの惨劇と、あちこちの地面や草むらまでもが赤く染められていて。その壮絶なまでの戦いにやっと今終止符が打たれたのだった。