エンドライフ④
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《24.この世界での大切な》
ーコンコン
「.......入るで、親父」
慣れ親しんだ船の上、迷う事無くたどり着いたその場所こそいつだってどんな時だって拠り所としてきた大切な部屋。
「もう身体は平気なのかァ」
「うん、大分な。マルコのお陰や」
「グララララ、テメェの生命力にも感謝しなァ」
「ははっ本間やな。...うん、本間や」
視線で促されるようにベッドの淵へと腰掛けて親父を見上げる。
「謝罪や礼なら要らねェぞ」
「....流石親父、分かっとったのか」
「すぐに分からァ。お前と何年一緒に居たと思っていやがる」
「それもそっか」
変わらない笑顔、変わらない表情に、変わらないやり取り。
全部が全部自分にとっては当たり前で大切なもの。話をしなければと思いきゅっと拳を固めれば、名無しさんが口を開くよりも少し早く親父の声がこだました。
「なァ名無しさん、お前ェの知ってる世界ではおれもあの場で生涯を終えちまってたんだろう?」
「!!お....やじ、何で...それをっ」
「やっぱりなァ、これでお前のあの過保護さに納得が行くぜこの馬鹿娘が」
「ご、めん」
「一人で何ざ抱えやがってよォ...このアホンダラ」
「!!」
まさか親父が気がついていたとは思いも寄らずこれからの事を話そうと決めていた内容が一気に吹き飛んでしまう。
「その様子じゃあマルコの野郎も知ってやがんのか」
「!いや、マルコにも親父の事は話してへんよ。誰にも...話すつもり何て無かった」
「テメェ一人でどうにか出来るって思ってたのか?」
「ち、がう!それはっ違う...!そうじゃなくて、うちがっ」
親父の死を認めたくなかったのだと、その後散り散りになってしまった白ひげ海賊団を見たくなかったのだと口では言ったが、それも100%の本心では無くて。
それでももうここまで来たら隠す必要何てどこにもなかった。
「......怖かったんよ」
「.................あ?」
「怖かってん、ずっと」
「.................」
「言葉にしたらっ、皆に教えたら...それがいつかは本間になってまうんじゃないかって、怖かってん」
マルコに伝えた時ですらエースという名前は決して出さなかった。出してしまったらもう本当になってしまう気がして、怖くて、怖くて仕方がなかったのだ。
震えてしまう声はもうどうしようも無くて。それでも何一つ変わらずこんな結果になってしまったというのに、うちの方へと真っ直ぐ見つめてくれる親父に嘘はつけなかった。
「...本間はな、今回の戦争起こさへんくてもエースを助け出す事は出来たんよ」
「.................」
「あくまで、可能性での話やけどな...うちには出来てん」
「.............じゃあお前ェは何でリスクを冒してまで戦争を起こさせやがったんだ」
「エースがさ、生まれて初めて生きたいと自分で思ってくれた瞬間やったから」
「.................、」
「皆に愛されてるんやって、初めてこの世に生を受けた喜びをさ実感出来たのがあの戦争やってん...皮肉にもな(笑)」
泣きそうになってしまったまま笑顔を作って親父へと笑いかける。涙はもうあの瞬間いっぱい流したから、今ではないと自分を律して。
皆を巻き込む結果になる事も知っていて、沢山の血が流れる事も知っていて、ルフィが、親父が傷つく事も知っていたのだと正直に告げる。
自分が強くなりさえすれば、何とか守る事が出来るのだと見て見ぬふりをした去勢もあった事も正直に。
だからこそ、親父を死なせたくなくてエースを死なせたくなくて病気を貰った事やレイリーさんに無理を言って修行を付けて貰った事も話をした。
「やからな親父、うちはさ親父や皆に大切にされる資格何てどこにもないんよ」
「.................」
「最後の最後まで、利用する形になってもて本間に...、本間にっ、ごめんなさい」
「.................」
「沢山、愛してくれて.....っ居場所をくれて、ありがとうございましたっ.....!!」
何も言葉を発する事の無くなった親父。
分かっていた結果だが、エースを失った後だというのに一方的に傷をつけて自己満足だと言うのも分かってはいたが、これでもう悔いは無いと頭を下げて今自分の持てる限りの全てで笑って見せた。
視線を逸らされる事も無く言の葉を紡がれる事のない姿。
最後にこうして話が出来て本当に良かったと心から思えた。覚悟をしていた結果だと自分に言い聞かせて、いつもよりも長く感じるドアまでの距離をいつものように歩いていってから、そっとその扉を閉めた。
........その後はもう、どうやって船を降りたのかは覚えていない。
ーコンコン
「.......入るで、親父」
慣れ親しんだ船の上、迷う事無くたどり着いたその場所こそいつだってどんな時だって拠り所としてきた大切な部屋。
「もう身体は平気なのかァ」
「うん、大分な。マルコのお陰や」
「グララララ、テメェの生命力にも感謝しなァ」
「ははっ本間やな。...うん、本間や」
視線で促されるようにベッドの淵へと腰掛けて親父を見上げる。
「謝罪や礼なら要らねェぞ」
「....流石親父、分かっとったのか」
「すぐに分からァ。お前と何年一緒に居たと思っていやがる」
「それもそっか」
変わらない笑顔、変わらない表情に、変わらないやり取り。
全部が全部自分にとっては当たり前で大切なもの。話をしなければと思いきゅっと拳を固めれば、名無しさんが口を開くよりも少し早く親父の声がこだました。
「なァ名無しさん、お前ェの知ってる世界ではおれもあの場で生涯を終えちまってたんだろう?」
「!!お....やじ、何で...それをっ」
「やっぱりなァ、これでお前のあの過保護さに納得が行くぜこの馬鹿娘が」
「ご、めん」
「一人で何ざ抱えやがってよォ...このアホンダラ」
「!!」
まさか親父が気がついていたとは思いも寄らずこれからの事を話そうと決めていた内容が一気に吹き飛んでしまう。
「その様子じゃあマルコの野郎も知ってやがんのか」
「!いや、マルコにも親父の事は話してへんよ。誰にも...話すつもり何て無かった」
「テメェ一人でどうにか出来るって思ってたのか?」
「ち、がう!それはっ違う...!そうじゃなくて、うちがっ」
親父の死を認めたくなかったのだと、その後散り散りになってしまった白ひげ海賊団を見たくなかったのだと口では言ったが、それも100%の本心では無くて。
それでももうここまで来たら隠す必要何てどこにもなかった。
「......怖かったんよ」
「.................あ?」
「怖かってん、ずっと」
「.................」
「言葉にしたらっ、皆に教えたら...それがいつかは本間になってまうんじゃないかって、怖かってん」
マルコに伝えた時ですらエースという名前は決して出さなかった。出してしまったらもう本当になってしまう気がして、怖くて、怖くて仕方がなかったのだ。
震えてしまう声はもうどうしようも無くて。それでも何一つ変わらずこんな結果になってしまったというのに、うちの方へと真っ直ぐ見つめてくれる親父に嘘はつけなかった。
「...本間はな、今回の戦争起こさへんくてもエースを助け出す事は出来たんよ」
「.................」
「あくまで、可能性での話やけどな...うちには出来てん」
「.............じゃあお前ェは何でリスクを冒してまで戦争を起こさせやがったんだ」
「エースがさ、生まれて初めて生きたいと自分で思ってくれた瞬間やったから」
「.................、」
「皆に愛されてるんやって、初めてこの世に生を受けた喜びをさ実感出来たのがあの戦争やってん...皮肉にもな(笑)」
泣きそうになってしまったまま笑顔を作って親父へと笑いかける。涙はもうあの瞬間いっぱい流したから、今ではないと自分を律して。
皆を巻き込む結果になる事も知っていて、沢山の血が流れる事も知っていて、ルフィが、親父が傷つく事も知っていたのだと正直に告げる。
自分が強くなりさえすれば、何とか守る事が出来るのだと見て見ぬふりをした去勢もあった事も正直に。
だからこそ、親父を死なせたくなくてエースを死なせたくなくて病気を貰った事やレイリーさんに無理を言って修行を付けて貰った事も話をした。
「やからな親父、うちはさ親父や皆に大切にされる資格何てどこにもないんよ」
「.................」
「最後の最後まで、利用する形になってもて本間に...、本間にっ、ごめんなさい」
「.................」
「沢山、愛してくれて.....っ居場所をくれて、ありがとうございましたっ.....!!」
何も言葉を発する事の無くなった親父。
分かっていた結果だが、エースを失った後だというのに一方的に傷をつけて自己満足だと言うのも分かってはいたが、これでもう悔いは無いと頭を下げて今自分の持てる限りの全てで笑って見せた。
視線を逸らされる事も無く言の葉を紡がれる事のない姿。
最後にこうして話が出来て本当に良かったと心から思えた。覚悟をしていた結果だと自分に言い聞かせて、いつもよりも長く感じるドアまでの距離をいつものように歩いていってから、そっとその扉を閉めた。
........その後はもう、どうやって船を降りたのかは覚えていない。