エンドライフ③
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《87. 修行開始と真意 》
「ハァッ....ハァッ....ってて」
「どうした、君の居場所は見えなくても目を閉じていても分かるよ」
「くっそ〜...次こそはっ....!」
あの後渋々頷いてくれたレイリーさんに頭を下げてお礼を言い、横で見守りながらも助け舟を出してくれていたシャッキーさんにも頭を下げた。
その日の夜はこれからお世話になるお礼も兼ねて2人の好きな食事を中心に作り、今現在うちは以前とは違う島へとレイリーさんに連れられて修行に励んでいる真っ最中なのである。
「気配の消し方がなっていない、少しの動揺も外へと漏らさないようにするんじゃなかったのかい?」
「ぜったいに...!する、、、!」
「そうか。じゃあ今のターンを残り200回だ」
「臨むところや....!!ハァっ..........ふー....おし」
朝日が昇ってから能力をずっと発動させたまま島中を駆け回ってレイリーさんに気が付かれないように攻撃をするというのがまず最初の修行だったのだが、本間流石レイリーさん雲を掴むかのような感覚で髪の毛一本触れさせてくれない。
ただでさえ体力が奪われていくこの力に+αで攻撃も仕掛けはするがこちらも当てられてはいけないので、同時に覇気の修行にもなっていて、1日目からハード過ぎる内容に苦しいけれども自然と口から笑みは消えなかった。
(.........?何や、この感覚...めっちゃ集中出来る)
すると突然身体中から力が湧き出てくるような感覚になり、一気に神経が研ぎ澄まされていく。
あれほど疲労を訴えていた身体は軽くすら感じて、息切れも整った。何や...これはと思いながらこれなら掠るぐらいなら出来そうだと音を立てずに地を蹴った矢先、突然レイリーさんが目の前に現れて一瞬でうちの勢いを消し去ってしまった。
「.....少し、時間がかかってしまったかな」
「....え、どういう事...?それにこの力...」
「悪魔の実の覚醒と言ってね、その実にはもう一段階上があるんだよ」
「覚醒...?え、何それ...そんなのが、あるんですね...?」
「あぁ。どうやら上手く行ったようで安心したよ、やっぱり君は筋が良い」
さて、今日はここら辺にして食事にしようかと火の準備をしてくれているレイリーさんを見て、ようやく周りが薄暗くなっていた事に気がつき、慌ててそのお手伝いに走った。
「それであの、覚醒っていうのは主にどういったものなんですか?」
「あぁ、そう言えば説明がまだだったか。さて食事も焼けた頃だし食いながらでも話そうじゃないか」
先程まで戦っていたとは思えない程汗ひとつもかくことなく爽やかなレイリーさんに少し悔しくなるも、それと同じくらいに美味しいご飯についつい頬が緩んでしまう。
想像以上にお腹も空いていたのか久しぶりのバーベキューに心を躍らせていると、今まで知り得なかった悪魔の実についても教えてくれた。
「パラミシア系...うちのこの実も?」
「そうだとも。一見地味に見えるその実だが、使い方によっては物凄く便利なものには成りうる代物だ」
「へぇ〜....もぐもぐもぐ、んじゃあ使いこなせるようになったら今まで以上に強くなれるって事ですか?」
「当然そうなるだろうね。ただその性質故に一度は自らの肉体を介さないといけない事もあるから、君には深く教えたくなかったのさ」
「............あぁ、人の怪我とか病気を貰うアレか」
「!名無しさん....もしかして君...」
食べていた手を止めて真剣に見つめてくるレイリーさんに、失言だったなと反省するが時既に遅しとはこの事で。
「ごめんなレイリーさん、過去に一度人の病気を奪った事が、あって....その」
「名無しさん」
「でもっ!偶然、知り合いの人達に助けて貰って今はこうしてピンピンしとるし、大丈夫です!」
「.................はぁあ.....君は、本当に...」
困った女の子だよと眉を下げながら何処か労るような目線を向けられて、その真っ直ぐな優しさに何だか申し訳無さが募る。
「名無しさん」
「...へ、何、ですか?」
「自分の技に慣れておきたいと言ったのは、今後必ずその技を使う場面がやってくると分かっているからなのだろう?」
「!.....はい、」
「悪魔の実についてはまだ不確定な部分も多い。先に覚醒の感覚を教えたのだって、その時の君の負担を少しでも減らす為だ」
「..................................はい」
「君を、死なせる為に教えている訳じゃない」
「っ....はいっ...!」
「正直、まだ迷っているよ。君をこのまま鍛えるべきなのか乞われるままに君を強くするべきなのかね」
寂しそうに笑った後、お肉に齧り付いたレイリーさんを見て改めて自分の身勝手さに嫌気がさした。...それでも諦めきれない命があって、叶うならエースを生かしたその先で人知れずでも良い静かにこの世界で暮らしていけるのが一番なのは自分でも分かっていたから。
「レイリーさんごめんなさい、約束は出来ひん」
「............」
「それでも、死ぬ為にこの力を扱いたい訳ではなくて、守ったその先で生き延びる為に使いこなせるようになりたいんよ」
「.......そうか、それを聞いて安心したよ」
自分の為に命を落としたなんて知ったらそれこそ一生背負わんでいい重たい荷物を背負わせてしまう。
それだったら今まで通りでいい。
皆が笑い合える未来だけ守って、いらないものは貰っていく。その後はもう自分は別の場所で皆の活躍をたまに新聞で知りながらひっそりと生きて行ければ皆は気に病む事も無いし、うちも気兼ねなく抱えたものと戦える。
(逃げやと言われようが、何やろうが、精一杯やれるだけを尽くすから...どうかそれだけは許してくれるよな...)
言わんとしている事が伝わっているのか否か、レイリーさんはもう一度だけ寂しそうに笑って残りを口に運んでいた。外はもうすっかりと闇に包まれていた。
「ハァッ....ハァッ....ってて」
「どうした、君の居場所は見えなくても目を閉じていても分かるよ」
「くっそ〜...次こそはっ....!」
あの後渋々頷いてくれたレイリーさんに頭を下げてお礼を言い、横で見守りながらも助け舟を出してくれていたシャッキーさんにも頭を下げた。
その日の夜はこれからお世話になるお礼も兼ねて2人の好きな食事を中心に作り、今現在うちは以前とは違う島へとレイリーさんに連れられて修行に励んでいる真っ最中なのである。
「気配の消し方がなっていない、少しの動揺も外へと漏らさないようにするんじゃなかったのかい?」
「ぜったいに...!する、、、!」
「そうか。じゃあ今のターンを残り200回だ」
「臨むところや....!!ハァっ..........ふー....おし」
朝日が昇ってから能力をずっと発動させたまま島中を駆け回ってレイリーさんに気が付かれないように攻撃をするというのがまず最初の修行だったのだが、本間流石レイリーさん雲を掴むかのような感覚で髪の毛一本触れさせてくれない。
ただでさえ体力が奪われていくこの力に+αで攻撃も仕掛けはするがこちらも当てられてはいけないので、同時に覇気の修行にもなっていて、1日目からハード過ぎる内容に苦しいけれども自然と口から笑みは消えなかった。
(.........?何や、この感覚...めっちゃ集中出来る)
すると突然身体中から力が湧き出てくるような感覚になり、一気に神経が研ぎ澄まされていく。
あれほど疲労を訴えていた身体は軽くすら感じて、息切れも整った。何や...これはと思いながらこれなら掠るぐらいなら出来そうだと音を立てずに地を蹴った矢先、突然レイリーさんが目の前に現れて一瞬でうちの勢いを消し去ってしまった。
「.....少し、時間がかかってしまったかな」
「....え、どういう事...?それにこの力...」
「悪魔の実の覚醒と言ってね、その実にはもう一段階上があるんだよ」
「覚醒...?え、何それ...そんなのが、あるんですね...?」
「あぁ。どうやら上手く行ったようで安心したよ、やっぱり君は筋が良い」
さて、今日はここら辺にして食事にしようかと火の準備をしてくれているレイリーさんを見て、ようやく周りが薄暗くなっていた事に気がつき、慌ててそのお手伝いに走った。
「それであの、覚醒っていうのは主にどういったものなんですか?」
「あぁ、そう言えば説明がまだだったか。さて食事も焼けた頃だし食いながらでも話そうじゃないか」
先程まで戦っていたとは思えない程汗ひとつもかくことなく爽やかなレイリーさんに少し悔しくなるも、それと同じくらいに美味しいご飯についつい頬が緩んでしまう。
想像以上にお腹も空いていたのか久しぶりのバーベキューに心を躍らせていると、今まで知り得なかった悪魔の実についても教えてくれた。
「パラミシア系...うちのこの実も?」
「そうだとも。一見地味に見えるその実だが、使い方によっては物凄く便利なものには成りうる代物だ」
「へぇ〜....もぐもぐもぐ、んじゃあ使いこなせるようになったら今まで以上に強くなれるって事ですか?」
「当然そうなるだろうね。ただその性質故に一度は自らの肉体を介さないといけない事もあるから、君には深く教えたくなかったのさ」
「............あぁ、人の怪我とか病気を貰うアレか」
「!名無しさん....もしかして君...」
食べていた手を止めて真剣に見つめてくるレイリーさんに、失言だったなと反省するが時既に遅しとはこの事で。
「ごめんなレイリーさん、過去に一度人の病気を奪った事が、あって....その」
「名無しさん」
「でもっ!偶然、知り合いの人達に助けて貰って今はこうしてピンピンしとるし、大丈夫です!」
「.................はぁあ.....君は、本当に...」
困った女の子だよと眉を下げながら何処か労るような目線を向けられて、その真っ直ぐな優しさに何だか申し訳無さが募る。
「名無しさん」
「...へ、何、ですか?」
「自分の技に慣れておきたいと言ったのは、今後必ずその技を使う場面がやってくると分かっているからなのだろう?」
「!.....はい、」
「悪魔の実についてはまだ不確定な部分も多い。先に覚醒の感覚を教えたのだって、その時の君の負担を少しでも減らす為だ」
「..................................はい」
「君を、死なせる為に教えている訳じゃない」
「っ....はいっ...!」
「正直、まだ迷っているよ。君をこのまま鍛えるべきなのか乞われるままに君を強くするべきなのかね」
寂しそうに笑った後、お肉に齧り付いたレイリーさんを見て改めて自分の身勝手さに嫌気がさした。...それでも諦めきれない命があって、叶うならエースを生かしたその先で人知れずでも良い静かにこの世界で暮らしていけるのが一番なのは自分でも分かっていたから。
「レイリーさんごめんなさい、約束は出来ひん」
「............」
「それでも、死ぬ為にこの力を扱いたい訳ではなくて、守ったその先で生き延びる為に使いこなせるようになりたいんよ」
「.......そうか、それを聞いて安心したよ」
自分の為に命を落としたなんて知ったらそれこそ一生背負わんでいい重たい荷物を背負わせてしまう。
それだったら今まで通りでいい。
皆が笑い合える未来だけ守って、いらないものは貰っていく。その後はもう自分は別の場所で皆の活躍をたまに新聞で知りながらひっそりと生きて行ければ皆は気に病む事も無いし、うちも気兼ねなく抱えたものと戦える。
(逃げやと言われようが、何やろうが、精一杯やれるだけを尽くすから...どうかそれだけは許してくれるよな...)
言わんとしている事が伝わっているのか否か、レイリーさんはもう一度だけ寂しそうに笑って残りを口に運んでいた。外はもうすっかりと闇に包まれていた。