エンドライフ③
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《72. 別れ、進むべき道》
「...じゃあ俺達はそろそろ行くよ」
「また近い島に寄った時は連絡するわね」
サボとコアラと共に過ごして今日でちょうど3日目。
それは自分達の船出ともちょうど重なっていて次に会えるのは数ヶ月先か数年後かは分からないが誰も口には出さないでいる、別れの朝。
「んじゃ元気でなァ、サボ。次に会った時はどっちが強ェか勝負と行こうぜェ」
「あぁ、エースもな。それまでにはきっと俺の記憶も戻ってる事を願うよ」
真っ直ぐと見つめ合い握手を交わす2人を見て、何だか少し切なくなるが別れの時こそ笑顔でいたいので静かにそれを見守った。すると横から小さな衝撃が走って、コアラに抱きつかれたのだと気がつく。
「.....名無しさんさんっ、本当に無茶はしちゃ駄目だからね?」
「ははっお互いにな?」
涙を耐えているのが分かるコアラの声と表情。つい引っ張られそうになるもののそこはグッと飲み込んで頬を緩めた。本間にコアラのこの真っ直ぐさは元気を貰える。
頭にポンポンと手のひらを乗せてニッと笑いかければそれに反して涙ぐむものだから本当素直で可愛いなと笑ってしまう。
「おい名無しさん、ちょっとだけいいか」
「ん、サボか。どうしたん」
するとサボが真面目な顔で話しかけてくるものだから言われるがまま2人からは少し離れた場所へと連れて行かれる。そのままじっとこちらを見てくるものだから大人しく言葉を待っていると、少し耳を貸してくれと言われたので静かに耳を傾けた。
「俺の勘違いだったら悪いんだが、名無しさんはエースの事が好きなんだよな?」
「.....へ」
ヒソヒソと耳打ちしてきた内容に、驚きの余りサボの方へと振り返るとさっきと同じ表情をしたサボが居て。じわじわと侵食してくる言葉の威力に頬に熱が集まるのを感じた。
「なん.....、え?」
「ハハっやっぱりか。何となくお前の視線や言動で気がついては居たんだけどよ確信が持てなくてさ」
「いや、あの....そんな、うちってバレバレ...なん」
「......まあ、割と」
「!!.......まじか、どうしよっ...」
濁さず正直に伝えてくれたサボの言葉に今度は顔を青くしていると頭にハテナを浮かべたサボと目が合って戸惑いながら耳打ちで問いかける。
「それってさ、もしかしてエースにもバレとったりする感じ...なんかな」
「バレると何かまずいのか?」
「あ〜...そのなー、うちは言うつもりも無いしそもそもが困るやろうからさ」
「........は?」
うちの言葉に何故かサボが目を点にしたが、構わず続ける。
「エースには、エースの幸せがあるやんか。うちはそれを応援したいし、家族同然の存在から恋愛感情抱かれるって結構な事件やで」
「...........はぁ?何言ってんだ、お前」
エースは優しいからさー、と続ければさも意味が分からないと言う風に眉を寄せたサボ。特に意識はしていなかったが、それが逆にまずかったのか?と思考をめぐらせていると呆れたような声が響いた。
「多分エースもかなり鈍感だろうからバレてはいねェだろうが、名無しさんお前の気持ちはどうするんだよ」
「別に何も変わらんよ?...え!もしかしてこれもどうにかした方がいい感じか!」
「...言わねェのか、エースに」
「...あ、そう言う事な!当たり前やん、うちはエースとどうこうなりたいって気持ちは無いんよ」
「エースがコアラと付き合い始めても同じ事を言えるのか?」
真剣に言われたその問いに一瞬心臓が掴まれた感覚はするものの、こんな痛みはとうの昔に慣れている。それでもやっぱり自分の中の優先事項は変わらない。
「エースがそれで幸せやって笑うんなら、もうそれだけで十分や」
「お前...........はー、そうかそれが原因かよ」
「ん?何がや」
「俺が感じてた違和感だよ。明らかにエースが好きなのは分かるのにコアラと居ても妬く所か嬉しそうに笑ってるから判断に困った」
「ああ!それでヒソヒソ話なんやな?」
サボの真意が分かり納得するも、サボが気がついたと言う事は恐らくコアラもなのだろうなと考えが行きつき無性に恥ずかしくなる。それでも正直に教えてくれて良かったなと笑っていると今まで黙っていたサボが真剣な顔をしたままうちに話しかけてきた。
「何も変えるなよ」
「変えるなって.....あぁ、距離感の事か?」
「あぁ。俺が気づいちまったからって名無しさんが何か変わる必要は無ェよ」
「そうやなあ...でも確かにそんなモロバレはちょっと気まずくないか?時間の問題やんか」
「当の本人は何も気づいちゃいねェんだ、急に距離をとる方が変になるだろ」
「経験済みのやつな。うーんでもま、良い機会になったわ!ありがとうなサボ、教えてくれて」
「......お前、分かってねェな?」
ーコツン
「いって。何がや」
「はぁ...。何でもねェーよ。ほら行くぞ」
人差し指でコツンとつつかれたのでサボを見上げればそこには盛大な呆れ顔がうつっていて、意味が分からず首を傾げれば眉毛を下げておかしそうに笑いかけてきた。
「本っ当お前はさ」
「何やねん」
「いや、可愛いなあと思ってよ」
「なっ....やから、そういう直球なのはお世辞でも恥ずかしいとあれほど」
「お世辞じゃねェんだから良いじゃねェーか」
「!!.........,.こんの人誑しめ」
「お前には負けるよ」
笑顔で頭をぐしゃぐしゃと撫で付けてくるので必死に仕返しをしようと掴み合っていると、ふと視線を感じてそちらを見れば一瞬エースと目が合ったがすぐに逸らされてしまう。
「.......ちょいうるさかったかな」
「あー......やっちまったな」
「まじか。ごめんサボ巻き込んでもたかも」
「いや違ェから」
「は?」
「......ハハ!今くらいはいいか。許せエース、おれもたまにしか会えねェんだしな」
「おわっ、ちょっサボ!」
両手でぐしゃぐしゃと無邪気な顔で頭をかき混ぜてくるサボに抗議の声を上げれば、それはそれは嬉しそうな優しい笑顔でこちらを見ていて、一瞬言葉が止まってしまった。
するとサボが揶揄うような目線で見てきたので、軽くパンチをお腹に食らわせれば、それは卑怯だぞと言ってきたのでお互い様だと笑い返した。
(早くサボの記憶が戻って、もし叶うんならさ...また、いつかこうやって)
追いかけてくるサボから逃げつつエースの背中に隠れれば、諦めたような顔をしたサボ。
そこからまた皆で笑い合って、一ミリも切なさなど残らないお別れをした。願わくば、次に会うのも笑顔であればいいと思いながら。
「...じゃあ俺達はそろそろ行くよ」
「また近い島に寄った時は連絡するわね」
サボとコアラと共に過ごして今日でちょうど3日目。
それは自分達の船出ともちょうど重なっていて次に会えるのは数ヶ月先か数年後かは分からないが誰も口には出さないでいる、別れの朝。
「んじゃ元気でなァ、サボ。次に会った時はどっちが強ェか勝負と行こうぜェ」
「あぁ、エースもな。それまでにはきっと俺の記憶も戻ってる事を願うよ」
真っ直ぐと見つめ合い握手を交わす2人を見て、何だか少し切なくなるが別れの時こそ笑顔でいたいので静かにそれを見守った。すると横から小さな衝撃が走って、コアラに抱きつかれたのだと気がつく。
「.....名無しさんさんっ、本当に無茶はしちゃ駄目だからね?」
「ははっお互いにな?」
涙を耐えているのが分かるコアラの声と表情。つい引っ張られそうになるもののそこはグッと飲み込んで頬を緩めた。本間にコアラのこの真っ直ぐさは元気を貰える。
頭にポンポンと手のひらを乗せてニッと笑いかければそれに反して涙ぐむものだから本当素直で可愛いなと笑ってしまう。
「おい名無しさん、ちょっとだけいいか」
「ん、サボか。どうしたん」
するとサボが真面目な顔で話しかけてくるものだから言われるがまま2人からは少し離れた場所へと連れて行かれる。そのままじっとこちらを見てくるものだから大人しく言葉を待っていると、少し耳を貸してくれと言われたので静かに耳を傾けた。
「俺の勘違いだったら悪いんだが、名無しさんはエースの事が好きなんだよな?」
「.....へ」
ヒソヒソと耳打ちしてきた内容に、驚きの余りサボの方へと振り返るとさっきと同じ表情をしたサボが居て。じわじわと侵食してくる言葉の威力に頬に熱が集まるのを感じた。
「なん.....、え?」
「ハハっやっぱりか。何となくお前の視線や言動で気がついては居たんだけどよ確信が持てなくてさ」
「いや、あの....そんな、うちってバレバレ...なん」
「......まあ、割と」
「!!.......まじか、どうしよっ...」
濁さず正直に伝えてくれたサボの言葉に今度は顔を青くしていると頭にハテナを浮かべたサボと目が合って戸惑いながら耳打ちで問いかける。
「それってさ、もしかしてエースにもバレとったりする感じ...なんかな」
「バレると何かまずいのか?」
「あ〜...そのなー、うちは言うつもりも無いしそもそもが困るやろうからさ」
「........は?」
うちの言葉に何故かサボが目を点にしたが、構わず続ける。
「エースには、エースの幸せがあるやんか。うちはそれを応援したいし、家族同然の存在から恋愛感情抱かれるって結構な事件やで」
「...........はぁ?何言ってんだ、お前」
エースは優しいからさー、と続ければさも意味が分からないと言う風に眉を寄せたサボ。特に意識はしていなかったが、それが逆にまずかったのか?と思考をめぐらせていると呆れたような声が響いた。
「多分エースもかなり鈍感だろうからバレてはいねェだろうが、名無しさんお前の気持ちはどうするんだよ」
「別に何も変わらんよ?...え!もしかしてこれもどうにかした方がいい感じか!」
「...言わねェのか、エースに」
「...あ、そう言う事な!当たり前やん、うちはエースとどうこうなりたいって気持ちは無いんよ」
「エースがコアラと付き合い始めても同じ事を言えるのか?」
真剣に言われたその問いに一瞬心臓が掴まれた感覚はするものの、こんな痛みはとうの昔に慣れている。それでもやっぱり自分の中の優先事項は変わらない。
「エースがそれで幸せやって笑うんなら、もうそれだけで十分や」
「お前...........はー、そうかそれが原因かよ」
「ん?何がや」
「俺が感じてた違和感だよ。明らかにエースが好きなのは分かるのにコアラと居ても妬く所か嬉しそうに笑ってるから判断に困った」
「ああ!それでヒソヒソ話なんやな?」
サボの真意が分かり納得するも、サボが気がついたと言う事は恐らくコアラもなのだろうなと考えが行きつき無性に恥ずかしくなる。それでも正直に教えてくれて良かったなと笑っていると今まで黙っていたサボが真剣な顔をしたままうちに話しかけてきた。
「何も変えるなよ」
「変えるなって.....あぁ、距離感の事か?」
「あぁ。俺が気づいちまったからって名無しさんが何か変わる必要は無ェよ」
「そうやなあ...でも確かにそんなモロバレはちょっと気まずくないか?時間の問題やんか」
「当の本人は何も気づいちゃいねェんだ、急に距離をとる方が変になるだろ」
「経験済みのやつな。うーんでもま、良い機会になったわ!ありがとうなサボ、教えてくれて」
「......お前、分かってねェな?」
ーコツン
「いって。何がや」
「はぁ...。何でもねェーよ。ほら行くぞ」
人差し指でコツンとつつかれたのでサボを見上げればそこには盛大な呆れ顔がうつっていて、意味が分からず首を傾げれば眉毛を下げておかしそうに笑いかけてきた。
「本っ当お前はさ」
「何やねん」
「いや、可愛いなあと思ってよ」
「なっ....やから、そういう直球なのはお世辞でも恥ずかしいとあれほど」
「お世辞じゃねェんだから良いじゃねェーか」
「!!.........,.こんの人誑しめ」
「お前には負けるよ」
笑顔で頭をぐしゃぐしゃと撫で付けてくるので必死に仕返しをしようと掴み合っていると、ふと視線を感じてそちらを見れば一瞬エースと目が合ったがすぐに逸らされてしまう。
「.......ちょいうるさかったかな」
「あー......やっちまったな」
「まじか。ごめんサボ巻き込んでもたかも」
「いや違ェから」
「は?」
「......ハハ!今くらいはいいか。許せエース、おれもたまにしか会えねェんだしな」
「おわっ、ちょっサボ!」
両手でぐしゃぐしゃと無邪気な顔で頭をかき混ぜてくるサボに抗議の声を上げれば、それはそれは嬉しそうな優しい笑顔でこちらを見ていて、一瞬言葉が止まってしまった。
するとサボが揶揄うような目線で見てきたので、軽くパンチをお腹に食らわせれば、それは卑怯だぞと言ってきたのでお互い様だと笑い返した。
(早くサボの記憶が戻って、もし叶うんならさ...また、いつかこうやって)
追いかけてくるサボから逃げつつエースの背中に隠れれば、諦めたような顔をしたサボ。
そこからまた皆で笑い合って、一ミリも切なさなど残らないお別れをした。願わくば、次に会うのも笑顔であればいいと思いながら。