エンドライフ③
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《24. 滲んだ不安》
突然何かを思い出すかのように静かになったエースを見て不思議に思いながらも熱い顔を仰いで熱を覚ます名無しさん。そんな事をしているとは、微塵も気がつかないエースはエースでとある場面での言葉を思い出していた。
「お前が誰とどこで何をしようが自由だよい。...だがな、それにあいつを巻き込むな。次もし今回みてェな無神経な事してみろい、おれがあいつを貰っちまうからな」
「............!あいつって、お前っ」
「...話はここまでだよい。お前ェはさっさとその鼻につく匂いを落としてきやがれ。済んでからじゃねェとあいつには一切近づけさせねェ」
「ぁ...おいマルコっ!」
「っ.........」
....それは当事者達しか知る事のないエースが朝帰りした日の出来事。
酔っ払っていたのもあり無意識に名無しさんの部屋へと辿り着いてしまっていた日の出来事だった。
名無しさんと別れてエースが一人食堂へと向かっている途中、腕組みをしたマルコに引き留められたのでさっきまでの出来事を笑いながら話をするエース。
すると何を思ったのか静かにエースに近づいてくるなり容赦無く胸ぐらに掴みかかり、今にも殴りそうなオーラを纏いながらもそれは抑えて突き飛すのみに留めたマルコ。
その際に交わしていた唯一のやり取りが先程の言葉だったのだ。多くは語らずただ純粋にエースに怒りを示していたマルコはエースにとってはこの船に来て以来初めての事で。
そしてその日を境に名無しさんからのスキンシップも無くなってしまったものだから、もしかしたらもう既にという思いと自分の知らない間に、名無しさんを取られるかもしれないというよく分からない不安がエースを追い詰め異様な執着へと結びつけてしまっていたのである。
当然この事を知っているのはマルコにエース、そしてその後叱られたサッチだけだった。
「.....エース、エースっ、大丈夫か?どうしたん」
「......名無しさんっ、いや何でもねェ」
「...そうか?ま、そんな事エースは気にしな。いつもの戯れ合いやねんからさ」
「そう...だな。........なァ、名無しさん」
「ん?なんや」
「おれの頭...撫でてくれよ...頼む、少しでいい」
エース自身何故こうも名無しさんに執着してしまうのか、他の誰かにとられたくないと思うのか、何もかもが感じた事のない感情でよく分からなかった。
ただ一つ言えるのは、名無しさんに触れられていると心底安心してしまうという事だけで。それが何故なのかもエースには分からなかったけれど、それでも求める事をやめられないのだから余計に謎は深まるばかりで。
だからこそオヤジに言われた通り、名無しさんに返せば何か分かるのかもしれないと思っての行動を自分なりに起こしていたのだった。
それを知る由もない名無しさんは、いつもの様子と違うエースに小さく笑い帽子をそっと外してから宥めるように優しく優しく彼の頭を撫でつける。
「......何を思い出したんか知らんけど、うちはここにおる。大丈夫やで」
「...........」
そんな名無しさんの言葉を聞きながら袂をきゅっと控えめに握るその手はまるで迷子で、もう少し時間はかかるのかなとその様子を見ながら名無しさんは思った。エースの不安を取り除くかのように、優しくゆったり思いを込めて。
袂に薄らと滲んだエースの汗は不安となって静かに夜へと溶け出していった。
突然何かを思い出すかのように静かになったエースを見て不思議に思いながらも熱い顔を仰いで熱を覚ます名無しさん。そんな事をしているとは、微塵も気がつかないエースはエースでとある場面での言葉を思い出していた。
「お前が誰とどこで何をしようが自由だよい。...だがな、それにあいつを巻き込むな。次もし今回みてェな無神経な事してみろい、おれがあいつを貰っちまうからな」
「............!あいつって、お前っ」
「...話はここまでだよい。お前ェはさっさとその鼻につく匂いを落としてきやがれ。済んでからじゃねェとあいつには一切近づけさせねェ」
「ぁ...おいマルコっ!」
「っ.........」
....それは当事者達しか知る事のないエースが朝帰りした日の出来事。
酔っ払っていたのもあり無意識に名無しさんの部屋へと辿り着いてしまっていた日の出来事だった。
名無しさんと別れてエースが一人食堂へと向かっている途中、腕組みをしたマルコに引き留められたのでさっきまでの出来事を笑いながら話をするエース。
すると何を思ったのか静かにエースに近づいてくるなり容赦無く胸ぐらに掴みかかり、今にも殴りそうなオーラを纏いながらもそれは抑えて突き飛すのみに留めたマルコ。
その際に交わしていた唯一のやり取りが先程の言葉だったのだ。多くは語らずただ純粋にエースに怒りを示していたマルコはエースにとってはこの船に来て以来初めての事で。
そしてその日を境に名無しさんからのスキンシップも無くなってしまったものだから、もしかしたらもう既にという思いと自分の知らない間に、名無しさんを取られるかもしれないというよく分からない不安がエースを追い詰め異様な執着へと結びつけてしまっていたのである。
当然この事を知っているのはマルコにエース、そしてその後叱られたサッチだけだった。
「.....エース、エースっ、大丈夫か?どうしたん」
「......名無しさんっ、いや何でもねェ」
「...そうか?ま、そんな事エースは気にしな。いつもの戯れ合いやねんからさ」
「そう...だな。........なァ、名無しさん」
「ん?なんや」
「おれの頭...撫でてくれよ...頼む、少しでいい」
エース自身何故こうも名無しさんに執着してしまうのか、他の誰かにとられたくないと思うのか、何もかもが感じた事のない感情でよく分からなかった。
ただ一つ言えるのは、名無しさんに触れられていると心底安心してしまうという事だけで。それが何故なのかもエースには分からなかったけれど、それでも求める事をやめられないのだから余計に謎は深まるばかりで。
だからこそオヤジに言われた通り、名無しさんに返せば何か分かるのかもしれないと思っての行動を自分なりに起こしていたのだった。
それを知る由もない名無しさんは、いつもの様子と違うエースに小さく笑い帽子をそっと外してから宥めるように優しく優しく彼の頭を撫でつける。
「......何を思い出したんか知らんけど、うちはここにおる。大丈夫やで」
「...........」
そんな名無しさんの言葉を聞きながら袂をきゅっと控えめに握るその手はまるで迷子で、もう少し時間はかかるのかなとその様子を見ながら名無しさんは思った。エースの不安を取り除くかのように、優しくゆったり思いを込めて。
袂に薄らと滲んだエースの汗は不安となって静かに夜へと溶け出していった。