エンドライフ③
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《21. 決意①》
ーコンコン
「おい、名無しさんいるか?」
「エースか、どうぞー」
「邪魔するぜ」
時は夕刻を過ぎ空に暗がりが広がってきた頃既に食事を済ませたうちは一人自室で本を読んでいた。暫くすると見計らったかのように鳴らされたドアのノックに見知った気配を感じて気が緩む。
朝食時にエースに言われた話があるとの約束である。
「お茶でいいか?...それで今回はどうしたん?」
「おうっありがとな。...ちょっとさ、名無しさんに報告があってよ」
ベッドの向かいにあるソファー席へと促して自分はベッドのサイドテーブルにお茶を置きながらエースを見た。
「こないだオヤジにおれの父親の事を話したんだよ」
「...!そっか、頑張ったな」
「それでよ、オヤジはそんな小せェ事気にすんなって笑ってくれて何つーか初めて...救われた気がしたんだ」
「ふふっ、親父らしいなぁ」
嬉しそうに話すエースに、もうその時が来てたんやなと心の中でめちゃくちゃ嬉しくなる。エースにやっと救いの手が伸びたんやってじわじわと胸の中が温かくなった。
「名無しさんはよォ、最初からおれの事認めてくれてたけど...その名無しさんは居なくなっちまってさ一人海に出てみてもやっぱりあいつの影が付き纏っちまってたんだよな...」
「...........」
「どこまで行ってもおれはあの野郎の息子だっていう事実からは逃げられねェんだって、思ってたんだ」
先程とは打って変わって、久々に聞いたエースの絞り出すような声に、この話をすると決意してくれたのも勇気が要ったやろうになと切なくなる。それでも何処か嬉しそうに見えるので続きの言葉を静かに待った。
「...本当はな、この船に来る途中ワノ国っていう所にも偶然流れ着いちまった事があってよ。そこでもあいつの事を少しだけ、知れたんだ」
「.......!(...ヤマトっ.....)」
「誰だかは知らねェがおれみてェな力を持った野郎が辿り着いた時見せてやってくれと言われた日誌があったんだよ。...ハハッおかしな話だろ?」
「.......そこには、何て書いてあったん」
帽子で隠れて表情は見えないが放つオーラが怒っている訳でも悲しんでいる訳でも無さそうで少しホッとしていると、ぽつり、ぽつりと話しをしてくれた。
ロジャーという男に惹かれてここの元二番隊隊長が一時的に船に乗っていた事、ロジャーという男がいかに寛容かつ偉大で面白く、周りを惹きつける途轍もない程魅力のある人物だったのかと言う事。...そして、不治の病に侵されていた事。
最後のページまでは読ませて貰えなかったが、少なからずもそこにはロジャー自身と接していたおでんという人物が嘘偽り無く書き記した冒険譚が綴ってあったのだと、ゆっくり、ゆっくりと話をしてくれた。
「今までの奴らは皆さ、ロジャーっつう男のせいで戦争が起きただのクソ野郎だのと散々聞いてきたっていうのによォ。日誌に書いてあるあの野郎は全然そんな事無くてよ...信じられねェ気持ちでいっぱいだった」
「.....そっか」
「そこで気がついたんだ、あいつの事を父親だと認めたくなかったんだなって」
そして少しだけ時間を置いて震えを掻き消すかのようにエースは言葉を吐き出した。
「おれァよっ、あいつの血を引いてるって言うだけで何よりも呪いで生きてちゃいけねェーんだとっ、思ってたからよォっ....」
「........エース、」
「分かってんだっ!名無しさんの言いてェ事はっ...お前はおれが生きててくれて嬉しいと泣いてくれたっ...!ルフィや、サボも居てくれて、だからこそおれはここまで生きてこられたっ。分かってんだよ、そんな事っ...」
「.........」
「それでもおれはっ今まで数えきれねェ程の憎悪を見てきた、叩きのめしたし返り討ちにもされてきた」
「.........」
「名無しさんに会うまでおれは、ずっと一人だと思ってたんだ。おれの命は誰にも望まれねェ誰も幸せに出来ねェもんだと。...でもなオヤジが言うんだよ、誰から生まれようと人間みんな海の子だって。おれァ...嬉しくてよォっ....」
声を震わせながら帽子を引っ張って顔は見せないようにしているエースを見て...喉が苦しくて痛みが走る。呼吸の為に吐き出した吐息が...震えてしまって身体に力が入ってしまう。それでもここで泣いてはいけないと踏ん張って必死にその感情を飲み込んだ。
落ちないようにと上を向きながら静かに息を吐き出し終わる。少ししてゆっくりと立ち上がってから、エースの頭にぽすんと手のひらを乗っけた。良かったな、良かったなと、今は言葉として吐き出せる余裕がない思いを込めて精一杯目の前で震える頭を撫でた。
すると、その行動に弾かれたようにエースの腕が腰周りに回されて何かに縋っているかのようにぎゅっとお腹周りに抱きつかれた。
ーコンコン
「おい、名無しさんいるか?」
「エースか、どうぞー」
「邪魔するぜ」
時は夕刻を過ぎ空に暗がりが広がってきた頃既に食事を済ませたうちは一人自室で本を読んでいた。暫くすると見計らったかのように鳴らされたドアのノックに見知った気配を感じて気が緩む。
朝食時にエースに言われた話があるとの約束である。
「お茶でいいか?...それで今回はどうしたん?」
「おうっありがとな。...ちょっとさ、名無しさんに報告があってよ」
ベッドの向かいにあるソファー席へと促して自分はベッドのサイドテーブルにお茶を置きながらエースを見た。
「こないだオヤジにおれの父親の事を話したんだよ」
「...!そっか、頑張ったな」
「それでよ、オヤジはそんな小せェ事気にすんなって笑ってくれて何つーか初めて...救われた気がしたんだ」
「ふふっ、親父らしいなぁ」
嬉しそうに話すエースに、もうその時が来てたんやなと心の中でめちゃくちゃ嬉しくなる。エースにやっと救いの手が伸びたんやってじわじわと胸の中が温かくなった。
「名無しさんはよォ、最初からおれの事認めてくれてたけど...その名無しさんは居なくなっちまってさ一人海に出てみてもやっぱりあいつの影が付き纏っちまってたんだよな...」
「...........」
「どこまで行ってもおれはあの野郎の息子だっていう事実からは逃げられねェんだって、思ってたんだ」
先程とは打って変わって、久々に聞いたエースの絞り出すような声に、この話をすると決意してくれたのも勇気が要ったやろうになと切なくなる。それでも何処か嬉しそうに見えるので続きの言葉を静かに待った。
「...本当はな、この船に来る途中ワノ国っていう所にも偶然流れ着いちまった事があってよ。そこでもあいつの事を少しだけ、知れたんだ」
「.......!(...ヤマトっ.....)」
「誰だかは知らねェがおれみてェな力を持った野郎が辿り着いた時見せてやってくれと言われた日誌があったんだよ。...ハハッおかしな話だろ?」
「.......そこには、何て書いてあったん」
帽子で隠れて表情は見えないが放つオーラが怒っている訳でも悲しんでいる訳でも無さそうで少しホッとしていると、ぽつり、ぽつりと話しをしてくれた。
ロジャーという男に惹かれてここの元二番隊隊長が一時的に船に乗っていた事、ロジャーという男がいかに寛容かつ偉大で面白く、周りを惹きつける途轍もない程魅力のある人物だったのかと言う事。...そして、不治の病に侵されていた事。
最後のページまでは読ませて貰えなかったが、少なからずもそこにはロジャー自身と接していたおでんという人物が嘘偽り無く書き記した冒険譚が綴ってあったのだと、ゆっくり、ゆっくりと話をしてくれた。
「今までの奴らは皆さ、ロジャーっつう男のせいで戦争が起きただのクソ野郎だのと散々聞いてきたっていうのによォ。日誌に書いてあるあの野郎は全然そんな事無くてよ...信じられねェ気持ちでいっぱいだった」
「.....そっか」
「そこで気がついたんだ、あいつの事を父親だと認めたくなかったんだなって」
そして少しだけ時間を置いて震えを掻き消すかのようにエースは言葉を吐き出した。
「おれァよっ、あいつの血を引いてるって言うだけで何よりも呪いで生きてちゃいけねェーんだとっ、思ってたからよォっ....」
「........エース、」
「分かってんだっ!名無しさんの言いてェ事はっ...お前はおれが生きててくれて嬉しいと泣いてくれたっ...!ルフィや、サボも居てくれて、だからこそおれはここまで生きてこられたっ。分かってんだよ、そんな事っ...」
「.........」
「それでもおれはっ今まで数えきれねェ程の憎悪を見てきた、叩きのめしたし返り討ちにもされてきた」
「.........」
「名無しさんに会うまでおれは、ずっと一人だと思ってたんだ。おれの命は誰にも望まれねェ誰も幸せに出来ねェもんだと。...でもなオヤジが言うんだよ、誰から生まれようと人間みんな海の子だって。おれァ...嬉しくてよォっ....」
声を震わせながら帽子を引っ張って顔は見せないようにしているエースを見て...喉が苦しくて痛みが走る。呼吸の為に吐き出した吐息が...震えてしまって身体に力が入ってしまう。それでもここで泣いてはいけないと踏ん張って必死にその感情を飲み込んだ。
落ちないようにと上を向きながら静かに息を吐き出し終わる。少ししてゆっくりと立ち上がってから、エースの頭にぽすんと手のひらを乗っけた。良かったな、良かったなと、今は言葉として吐き出せる余裕がない思いを込めて精一杯目の前で震える頭を撫でた。
すると、その行動に弾かれたようにエースの腕が腰周りに回されて何かに縋っているかのようにぎゅっとお腹周りに抱きつかれた。