エンドライフ③
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《14. 目には見えない気持ち 》
「お前がここに来るのなんざあの夜以来じゃァねェか」
「...だな。いやァさ、名無しさんがオヤジんとこ入ってくの見たって奴らが居てよ、用があったから探しに来たんだ」
あの夜というのはつい先日エースがロジャーの息子だと白ひげに打ち明けた日の事で、その日以来エースがより一層マルコのしごきに身を入れて臨んでいたのは隊員を驚かせるには十分のちょっとした事件だった。
静かにやり取りをしながらも、親父の手元を見て近づいてきたエースに何も言わずに見守る白ひげ。
「.....何だ、寝ちまってんのか。本当こいつは危機感のカケラもねェなァ」
「グララララっ奇遇だなァエース。おれもさっき同じ事思ってた所だァ。本当こいつァ出会った時から変わっちゃいねェ」
「!....なァ親父。名無しさんが起きるまででもいい、おれが来る前の名無しさんとの事教えてくれよ」
「それを知ってお前はどうすんだ?今と同じようにこいつの背中ァ追いかけんか?」
「....名無しさんから聞いたのかよ」
「こいつはんな事ァ話しゃしねェよ。ただ、一人で抱え込んじまうのさ」
そう言いながら左手でグイっとお酒を煽った白ひげから視線を落とせば右手のひらの中で安心したように寝息を立てる名無しさん。その時初めていつから名無しさんの寝顔を見ていなかったのかと気がついたエース。
思い返せば、いつも自分を起こしてくれる姿は見ても昔のように自分より遅く起きてくる事はなく、自分の前で眠っている姿何て子供の時以来見た記憶が無かった。その事実に思い当たって気がつけば突っ立ったまま静かに拳を握りしめていた。
「エース、焦んじゃァねェよ。こいつはお前から逃げるような事を一度でも自分の意思でしたのかァ?そんなに付いて回らなくても、お前ェからは逃げやしねェ」
「.......でもよ、おやじ、」
「じっくりと今のまんまの名無しさんを見てやんなァ。こいつが何かする時ァ必ずそれに意味がある、お前が分かってやらねェで他の誰が分かってやるってんだァ?」
「.......」
「お前ェも、男だろうが」
おれの大事な娘を困らせてんじゃァねェよ、と笑って仲良くやりなァと呟いた白ひげ。それを聞いたエースはグッと眉毛に力を入れてから唇をぎゅっと食いしばった。
「....なァ、オヤジ。最後に一つだけいいか?」
「なんだァ?おれが答えられる事なら話してやるよ」
「オヤジはよォ特に誉められる事もしてねェのに、何でよく頭を撫でてくれたりするんだ?...おれはそういう経験が名無しさん以外無かったから、名無しさんもオヤジも一体どういう気持ちでやってたのか、分からなくてよ」
「....グララララ!こいつァ傑作だァ。頭を撫でつける意味が分からねェだと、グララっ」
「オヤジっ!おれは真剣にっ」
「そんな事ァ答えは決まってんだろうが。お前を愛してるから以外に理由なんざねェよ、グラララ」
恥ずかし気も無く真っ直ぐと告げてくる白ひげに驚いたように息を飲むエース。するとその様子すらおかしいのか笑った顔のまま、またゆったりとした声で続けた。
「分からねェならお前もやってみなァ、エース。散々こいつから色んな愛情を受け取ってきたんじゃァねェのかお前はよ」
「...わから、ねェ.....」
「分からねェなら分かってやんなァ。いくら名無しさんが強くなってもな、どこまでいっても無茶ばっかしやがるこの馬鹿娘が女である事実は変えられねェのさ」
「............」
「こいつも負けん気の強ェ奴だが立派な女だ。力に屈する奴も男じゃァねェがな、女一人守る事も出来ねェ奴も男じゃねェのさ、エースよ」
守ってやんな、と静かにそれでいてどこか優しく告げてから名無しさんを起こさないようにと身体を包んでエースの元へと預けさせる白ひげ。
そのまま持って帰れとでも言うように顎で部屋の出口を促されエースは一言だけお礼を告げて部屋を出た。そのまま向かうのは未だに名無しさんが寝起きしている名無しさん自身の船。
起こさないようにと船に飛び乗って、腕の中で眠る名無しさんを見つめれば余りにも小さいその身体に、こんなに記憶の中の名無しさんは小さかっただろうかと昔の記憶が蘇った。
「.....軽いし、小せェ」
確かに昔から軽すぎたぐらいの記憶はあったが、あの時の自分より遥かに大きかった名無しさんの記憶が拭えておらず改めて抱えた暖かい温もりにこんなに小さな身体だったのだなと今更ながらに気がつかされた。
オヤジが言っていたのはこういう事かと、今の名無しさんを見れていなかった自分を反省してゆっくりゆっくりとベッドに寝かし気持ち良さそうな寝顔を見つめる。
「.......ハハ、可愛いなァ...」
自然と漏れ出ていた言葉にも気がつかず、自覚無くエースの手のひらは名無しさんの頭を撫でていて、その事にエース自身が気がついたのは名無しさんが何度目かの寝言を言った後だった。
「お前がここに来るのなんざあの夜以来じゃァねェか」
「...だな。いやァさ、名無しさんがオヤジんとこ入ってくの見たって奴らが居てよ、用があったから探しに来たんだ」
あの夜というのはつい先日エースがロジャーの息子だと白ひげに打ち明けた日の事で、その日以来エースがより一層マルコのしごきに身を入れて臨んでいたのは隊員を驚かせるには十分のちょっとした事件だった。
静かにやり取りをしながらも、親父の手元を見て近づいてきたエースに何も言わずに見守る白ひげ。
「.....何だ、寝ちまってんのか。本当こいつは危機感のカケラもねェなァ」
「グララララっ奇遇だなァエース。おれもさっき同じ事思ってた所だァ。本当こいつァ出会った時から変わっちゃいねェ」
「!....なァ親父。名無しさんが起きるまででもいい、おれが来る前の名無しさんとの事教えてくれよ」
「それを知ってお前はどうすんだ?今と同じようにこいつの背中ァ追いかけんか?」
「....名無しさんから聞いたのかよ」
「こいつはんな事ァ話しゃしねェよ。ただ、一人で抱え込んじまうのさ」
そう言いながら左手でグイっとお酒を煽った白ひげから視線を落とせば右手のひらの中で安心したように寝息を立てる名無しさん。その時初めていつから名無しさんの寝顔を見ていなかったのかと気がついたエース。
思い返せば、いつも自分を起こしてくれる姿は見ても昔のように自分より遅く起きてくる事はなく、自分の前で眠っている姿何て子供の時以来見た記憶が無かった。その事実に思い当たって気がつけば突っ立ったまま静かに拳を握りしめていた。
「エース、焦んじゃァねェよ。こいつはお前から逃げるような事を一度でも自分の意思でしたのかァ?そんなに付いて回らなくても、お前ェからは逃げやしねェ」
「.......でもよ、おやじ、」
「じっくりと今のまんまの名無しさんを見てやんなァ。こいつが何かする時ァ必ずそれに意味がある、お前が分かってやらねェで他の誰が分かってやるってんだァ?」
「.......」
「お前ェも、男だろうが」
おれの大事な娘を困らせてんじゃァねェよ、と笑って仲良くやりなァと呟いた白ひげ。それを聞いたエースはグッと眉毛に力を入れてから唇をぎゅっと食いしばった。
「....なァ、オヤジ。最後に一つだけいいか?」
「なんだァ?おれが答えられる事なら話してやるよ」
「オヤジはよォ特に誉められる事もしてねェのに、何でよく頭を撫でてくれたりするんだ?...おれはそういう経験が名無しさん以外無かったから、名無しさんもオヤジも一体どういう気持ちでやってたのか、分からなくてよ」
「....グララララ!こいつァ傑作だァ。頭を撫でつける意味が分からねェだと、グララっ」
「オヤジっ!おれは真剣にっ」
「そんな事ァ答えは決まってんだろうが。お前を愛してるから以外に理由なんざねェよ、グラララ」
恥ずかし気も無く真っ直ぐと告げてくる白ひげに驚いたように息を飲むエース。するとその様子すらおかしいのか笑った顔のまま、またゆったりとした声で続けた。
「分からねェならお前もやってみなァ、エース。散々こいつから色んな愛情を受け取ってきたんじゃァねェのかお前はよ」
「...わから、ねェ.....」
「分からねェなら分かってやんなァ。いくら名無しさんが強くなってもな、どこまでいっても無茶ばっかしやがるこの馬鹿娘が女である事実は変えられねェのさ」
「............」
「こいつも負けん気の強ェ奴だが立派な女だ。力に屈する奴も男じゃァねェがな、女一人守る事も出来ねェ奴も男じゃねェのさ、エースよ」
守ってやんな、と静かにそれでいてどこか優しく告げてから名無しさんを起こさないようにと身体を包んでエースの元へと預けさせる白ひげ。
そのまま持って帰れとでも言うように顎で部屋の出口を促されエースは一言だけお礼を告げて部屋を出た。そのまま向かうのは未だに名無しさんが寝起きしている名無しさん自身の船。
起こさないようにと船に飛び乗って、腕の中で眠る名無しさんを見つめれば余りにも小さいその身体に、こんなに記憶の中の名無しさんは小さかっただろうかと昔の記憶が蘇った。
「.....軽いし、小せェ」
確かに昔から軽すぎたぐらいの記憶はあったが、あの時の自分より遥かに大きかった名無しさんの記憶が拭えておらず改めて抱えた暖かい温もりにこんなに小さな身体だったのだなと今更ながらに気がつかされた。
オヤジが言っていたのはこういう事かと、今の名無しさんを見れていなかった自分を反省してゆっくりゆっくりとベッドに寝かし気持ち良さそうな寝顔を見つめる。
「.......ハハ、可愛いなァ...」
自然と漏れ出ていた言葉にも気がつかず、自覚無くエースの手のひらは名無しさんの頭を撫でていて、その事にエース自身が気がついたのは名無しさんが何度目かの寝言を言った後だった。