エンドライフ③
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《10. 揺るがないものと》
(ん.....なん、や、......あったかい...)
空が白んできたのを合図に、船へと戻り一人眠りについたはずなのだが途中から大きな大福に押し潰される夢を見てしまって何となく意識が覚醒してくる。
ゆっくりと目を開けてぼーっとしながら天井を見上げていればお腹辺りと左手が妙に温かい。
不思議と重みも感じるそれに、視線をゆっくりと下げればそこにはうちのお腹に頭を預けて爆睡するエースがいて、うちの左手を繋ぎながら安心するように眠っていたのだ。
「っ!!........、えーす、」
寝起きの掠れた声のままつい小さく漏れ出てしまったそれに自分でも驚いていると、もにもにと唇を動かして何かを食べているかのような動きを見せた口元にビックリしていた身体から力が抜けていった。
(あぁ....可愛いなぁ...エースや...)
子供の頃に見た記憶が蘇ってきてその頃よりは随分と成長しているというのに変わらない寝顔。好きやなぁという気持ちが溢れてくる。起こさないようにゆっくりと動かせる右手で髪の毛を撫でれば、ふいに知らない香りが鼻を掠めて動きが止まる。
「.....ぁ、..そ、っか。...そうやった、な」
静かに腕を下ろして、眠ったままのエースを再度見つめた。船を降りる時に羽織っていた変わっていない服装に、昨日みた光景が頭をよぎって吐息が震える。
繋がれている手のひらが熱い、乗せられている頭が...熱い。少し触れているだけだというのにいつも自分は、自分だけが翻弄されてしまっていて、恥ずかしくて、情けない。安心すると笑ってくれた握手のような行為は、自分にとっては嬉しくて恥ずかしくて幸せやった。
あの日の夜部屋に篭って一人百面相をしながらベッドでのたうち回ってまうぐらいには、幸せな温もりやった。
やのに今、この温もりをそれ以上の体温を昨日一緒に居た女性と分かち合ったのかと思っただけで触れている部分から冷えてしまっている気がして、起こさないようにと静かに手のひらを外して体を起こす。
(あーーー.......、女々しいっ、何やこれ、あかんっ....あかん、情けない、嫌や...こんな自分)
.....醜いと、初めて自分自身に思った。
経験した事のない感情を寝起きの覚醒が甘い状態で突きつけられて、どうにも上手く処理が出来なかった。
とにかく気持ちを落ち着けるのが先と、未だ寝こけるエースを見やって軽く毛布をかけてから部屋を出る。
(.....きもちわる、何やねんこれ)
あの時身体を巡ったまるでエースが自分のものでもあるかのような独占欲に吐き気がした。情けない、お門違いや。そう頭ではわかっていてもいつものように気楽に流せなかった。
「はぁあああっ.........」
甲板に出て、静かに、ゆっくりと息を吐き出す。汚れた感情何て出て行けと思いっきり吐き出して、胸いっぱいに新鮮な空気を取り込んだ。そのまま暫く変わる事のない海を眺めていれば、モビーディックの方から皆の笑い声が聞こえてきて一気に気持ちが落ち着いていく。
(はー....うん、もう大丈夫や)
両手でパンっと頬に気合いを入れて部屋へと戻る。覚醒しきった落ち着いた頭で感じてみれば、自分には似合わない妖艶な女性の香りが充満していて風邪をひかないぐらいにと小窓を少し開放した。
どうしたものかと思ったが、戻ってきたのが明け方過ぎならきっと眠っていないのだろうなと思ったので、ずりかけた毛布をかけ直してからシャワー室へと向かう。
(もう落ち着いたとはいえ、この匂いが身体についてんの嫌やもんな)
苦笑しながら蛇口をひねれば温かいお湯が迎えてくれてその当たり前の出来事に心がほっと落ち着いた。気に入ったシャンプーの香りに包まれてこれや、これやねんと心が浮上していく。
「は〜....気持ち良かったー」
やっぱり朝シャン出来る余裕がある日はいいなーといつもの服装を身に纏い、髪の毛を拭きながら部屋へと向かい歩いていると何やら大きな物音が聞こえてきたので慌てて自室のドアを開ける。
(ん.....なん、や、......あったかい...)
空が白んできたのを合図に、船へと戻り一人眠りについたはずなのだが途中から大きな大福に押し潰される夢を見てしまって何となく意識が覚醒してくる。
ゆっくりと目を開けてぼーっとしながら天井を見上げていればお腹辺りと左手が妙に温かい。
不思議と重みも感じるそれに、視線をゆっくりと下げればそこにはうちのお腹に頭を預けて爆睡するエースがいて、うちの左手を繋ぎながら安心するように眠っていたのだ。
「っ!!........、えーす、」
寝起きの掠れた声のままつい小さく漏れ出てしまったそれに自分でも驚いていると、もにもにと唇を動かして何かを食べているかのような動きを見せた口元にビックリしていた身体から力が抜けていった。
(あぁ....可愛いなぁ...エースや...)
子供の頃に見た記憶が蘇ってきてその頃よりは随分と成長しているというのに変わらない寝顔。好きやなぁという気持ちが溢れてくる。起こさないようにゆっくりと動かせる右手で髪の毛を撫でれば、ふいに知らない香りが鼻を掠めて動きが止まる。
「.....ぁ、..そ、っか。...そうやった、な」
静かに腕を下ろして、眠ったままのエースを再度見つめた。船を降りる時に羽織っていた変わっていない服装に、昨日みた光景が頭をよぎって吐息が震える。
繋がれている手のひらが熱い、乗せられている頭が...熱い。少し触れているだけだというのにいつも自分は、自分だけが翻弄されてしまっていて、恥ずかしくて、情けない。安心すると笑ってくれた握手のような行為は、自分にとっては嬉しくて恥ずかしくて幸せやった。
あの日の夜部屋に篭って一人百面相をしながらベッドでのたうち回ってまうぐらいには、幸せな温もりやった。
やのに今、この温もりをそれ以上の体温を昨日一緒に居た女性と分かち合ったのかと思っただけで触れている部分から冷えてしまっている気がして、起こさないようにと静かに手のひらを外して体を起こす。
(あーーー.......、女々しいっ、何やこれ、あかんっ....あかん、情けない、嫌や...こんな自分)
.....醜いと、初めて自分自身に思った。
経験した事のない感情を寝起きの覚醒が甘い状態で突きつけられて、どうにも上手く処理が出来なかった。
とにかく気持ちを落ち着けるのが先と、未だ寝こけるエースを見やって軽く毛布をかけてから部屋を出る。
(.....きもちわる、何やねんこれ)
あの時身体を巡ったまるでエースが自分のものでもあるかのような独占欲に吐き気がした。情けない、お門違いや。そう頭ではわかっていてもいつものように気楽に流せなかった。
「はぁあああっ.........」
甲板に出て、静かに、ゆっくりと息を吐き出す。汚れた感情何て出て行けと思いっきり吐き出して、胸いっぱいに新鮮な空気を取り込んだ。そのまま暫く変わる事のない海を眺めていれば、モビーディックの方から皆の笑い声が聞こえてきて一気に気持ちが落ち着いていく。
(はー....うん、もう大丈夫や)
両手でパンっと頬に気合いを入れて部屋へと戻る。覚醒しきった落ち着いた頭で感じてみれば、自分には似合わない妖艶な女性の香りが充満していて風邪をひかないぐらいにと小窓を少し開放した。
どうしたものかと思ったが、戻ってきたのが明け方過ぎならきっと眠っていないのだろうなと思ったので、ずりかけた毛布をかけ直してからシャワー室へと向かう。
(もう落ち着いたとはいえ、この匂いが身体についてんの嫌やもんな)
苦笑しながら蛇口をひねれば温かいお湯が迎えてくれてその当たり前の出来事に心がほっと落ち着いた。気に入ったシャンプーの香りに包まれてこれや、これやねんと心が浮上していく。
「は〜....気持ち良かったー」
やっぱり朝シャン出来る余裕がある日はいいなーといつもの服装を身に纏い、髪の毛を拭きながら部屋へと向かい歩いていると何やら大きな物音が聞こえてきたので慌てて自室のドアを開ける。