エンドライフ③
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《9.知っていたこと》
あの後船の見張り番である14番隊のジルにちょっと出かけてくるとだけ告げて船を降りた。事前にビスタから貰っていた島の地図の通りでいけば、そろそろのはずだと煌びやかな街からは少しだけ道を外れた辺りを進んでいく。
思ったよりも大きな街だったようで、高い建物もあるからなのかメイン通りじゃなくても山に光が届いているのでその事実に有難いなと安心しながら先を進めば目的地である一帯に到着した。ほっと一息つきながら、近くにあった岩へと腰かける。
数刻もすれば、ほわりまたほわりと小さく灯っていく柔らかな光を見て待ち構えていたかのように喜びが胸に込み上げてきた。
「は〜......来て良かったぁー。......綺麗やなぁ」
やはりどこか故郷を彷彿とさせる景色に、ミシミシと軋んでいた胸が和らいでいくのを感じあぁ、癒しが必要やったのなと自分の事ながら疲労に微塵も気がつけていなくて苦笑した。
その景色を眺めながら、後自分はどれだけこの船に居られるのだろうかとか昔3人で見た夕刻に沈む蛍も綺麗だったなとか思い出されてきて、こう言う時間はついつい感傷に浸ってしまう。
(...あかんあかん。本間、欲張りになってもた。もう、決めた事やろ)
目を閉じながら顔を上げて、ゆっくりと息を吐き出せばいつもの自分が帰ってきたのでまた美しい景色をこの目に宿す。十二分に時間を使い、そろそろ戻ろうかなとぐーっと伸びをしながら立ち上がる。
懐かしい鼻歌を歌いながら、きた道を歩いているとどこにいても誰と居ても真っ先に見つけてしまうその姿を目に映してしまいつい足が止まった。
見るからに酔っ払っているエースの姿とそれを支えるように歩く綺麗な大人の女性の姿。ドクンとまた、心臓が変な音を立てて、ギュウっと締め付けられる。今日は沢山仕事をする心臓だなと笑いながらも目の前で過ぎ去っていく景色を見送りながら静かにその場を離れた。
「知ってたんやけどなー」
ミシミシと、胸が苦しい。
ぎゅうぎゅうと、心臓が苦しい。
吐き出す吐息が何故か震えてしまって、よく分からない。
こんな日もあるかと無理矢理笑って、満点の星空に手をかざしながら船への道を辿った。...いつか、全部丸ごと受け止めて幸せにしてくれる人が見つかるといいな、エース。そう思いながら手のひらに星を閉じ込めれば、温もりが宿った気がして嬉しくなる。
本当は気がついていたそれと、気がつきたくない本心。
そしてそれとはまたベクトルの違うレベルでの、本心。
人間一人、心臓はたった一つでもいくつもの感情を持て余してしまうのだから難しい。だからこそ、自分の中にある小さな欲求を求めるよりは例えエゴでも大きな欲求を叶えたかった、浅はかな自分。
「大好きやで、エース」
大好きで、大好きで、めっちゃ...大好きで。
自分以上に何者よりも優先される大切な存在。
だからこそ、いくら特別に大好きやと思っても幸せだと笑っていてくれるなら隣に居るのは自分じゃなくてもそれで良かった。
全てを終えた後、皆の前に平気な顔をして立っていられる自信もなければ命があるのかすら分からない自分がエースの隣に何て、資格がなかったから。
エースが生きた世界の先で、変わらず笑って共に生きるなんて事この世界にきて何年経っても何万回思い描いても、上手く想像が出来なかった。
「大好きやで、エース」
何千回と呟いたその言葉を吐き出せば、静かに闇夜に溶けていって返事のないそれに心の底から安心して笑みが溢れる。
もし自分の行動が敵わなくて、戦争が起きたとしても、全てが終わって無事に彼らが生き延びた先、共に生きたいと彼らが願う誰かが側に居てくれるのであれば、本当にそれは誰でも良かった。
(1日1日が自分にとっての宝物や。これ以上を望んだら、幸せ過ぎて怖くなってまう)
何せうちは、根っからの怖がりやからなーと笑いながら、軽くなった足取りでモビーディックへの梯子を登る。
途中から帰ってきたナミュールやクリエル達と食堂で遅めの晩御飯を食べていると早々と切り上げてきたのだろうマルコとイゾウ達も一緒になっていつもよりは少人数で宴をした。
何となく眠る気にはなれなくて、自船でぼーっと空を眺めていたがその日の夜にエースは帰って来なかった。
あの後船の見張り番である14番隊のジルにちょっと出かけてくるとだけ告げて船を降りた。事前にビスタから貰っていた島の地図の通りでいけば、そろそろのはずだと煌びやかな街からは少しだけ道を外れた辺りを進んでいく。
思ったよりも大きな街だったようで、高い建物もあるからなのかメイン通りじゃなくても山に光が届いているのでその事実に有難いなと安心しながら先を進めば目的地である一帯に到着した。ほっと一息つきながら、近くにあった岩へと腰かける。
数刻もすれば、ほわりまたほわりと小さく灯っていく柔らかな光を見て待ち構えていたかのように喜びが胸に込み上げてきた。
「は〜......来て良かったぁー。......綺麗やなぁ」
やはりどこか故郷を彷彿とさせる景色に、ミシミシと軋んでいた胸が和らいでいくのを感じあぁ、癒しが必要やったのなと自分の事ながら疲労に微塵も気がつけていなくて苦笑した。
その景色を眺めながら、後自分はどれだけこの船に居られるのだろうかとか昔3人で見た夕刻に沈む蛍も綺麗だったなとか思い出されてきて、こう言う時間はついつい感傷に浸ってしまう。
(...あかんあかん。本間、欲張りになってもた。もう、決めた事やろ)
目を閉じながら顔を上げて、ゆっくりと息を吐き出せばいつもの自分が帰ってきたのでまた美しい景色をこの目に宿す。十二分に時間を使い、そろそろ戻ろうかなとぐーっと伸びをしながら立ち上がる。
懐かしい鼻歌を歌いながら、きた道を歩いているとどこにいても誰と居ても真っ先に見つけてしまうその姿を目に映してしまいつい足が止まった。
見るからに酔っ払っているエースの姿とそれを支えるように歩く綺麗な大人の女性の姿。ドクンとまた、心臓が変な音を立てて、ギュウっと締め付けられる。今日は沢山仕事をする心臓だなと笑いながらも目の前で過ぎ去っていく景色を見送りながら静かにその場を離れた。
「知ってたんやけどなー」
ミシミシと、胸が苦しい。
ぎゅうぎゅうと、心臓が苦しい。
吐き出す吐息が何故か震えてしまって、よく分からない。
こんな日もあるかと無理矢理笑って、満点の星空に手をかざしながら船への道を辿った。...いつか、全部丸ごと受け止めて幸せにしてくれる人が見つかるといいな、エース。そう思いながら手のひらに星を閉じ込めれば、温もりが宿った気がして嬉しくなる。
本当は気がついていたそれと、気がつきたくない本心。
そしてそれとはまたベクトルの違うレベルでの、本心。
人間一人、心臓はたった一つでもいくつもの感情を持て余してしまうのだから難しい。だからこそ、自分の中にある小さな欲求を求めるよりは例えエゴでも大きな欲求を叶えたかった、浅はかな自分。
「大好きやで、エース」
大好きで、大好きで、めっちゃ...大好きで。
自分以上に何者よりも優先される大切な存在。
だからこそ、いくら特別に大好きやと思っても幸せだと笑っていてくれるなら隣に居るのは自分じゃなくてもそれで良かった。
全てを終えた後、皆の前に平気な顔をして立っていられる自信もなければ命があるのかすら分からない自分がエースの隣に何て、資格がなかったから。
エースが生きた世界の先で、変わらず笑って共に生きるなんて事この世界にきて何年経っても何万回思い描いても、上手く想像が出来なかった。
「大好きやで、エース」
何千回と呟いたその言葉を吐き出せば、静かに闇夜に溶けていって返事のないそれに心の底から安心して笑みが溢れる。
もし自分の行動が敵わなくて、戦争が起きたとしても、全てが終わって無事に彼らが生き延びた先、共に生きたいと彼らが願う誰かが側に居てくれるのであれば、本当にそれは誰でも良かった。
(1日1日が自分にとっての宝物や。これ以上を望んだら、幸せ過ぎて怖くなってまう)
何せうちは、根っからの怖がりやからなーと笑いながら、軽くなった足取りでモビーディックへの梯子を登る。
途中から帰ってきたナミュールやクリエル達と食堂で遅めの晩御飯を食べていると早々と切り上げてきたのだろうマルコとイゾウ達も一緒になっていつもよりは少人数で宴をした。
何となく眠る気にはなれなくて、自船でぼーっと空を眺めていたがその日の夜にエースは帰って来なかった。