エンドライフ②
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《53.大きな背中》
結局あの後日付が変わるまで話をしていてもう遅い時間になったからとマルコは部屋を出て行きそれぞれの部屋で寝静まった。沢山泣いたのもあってか、マルコと分かれた後は急激に眠気が襲ってきたのでどうやってベッドに潜り込んだかは覚えていない。
(マルコには本間助けられてばっかりやわ...有り難いな。)
しみじみとそんな事を考えながら、今日は誰にも起こされずに起きられたなと気分も良く朝のメイクを軽く施していく。朝日の力って凄いんだなと思い知らされる。
幾許かして断ってから入ってきたマルコにはもう起きていたのかと心底驚かれたが、珍しい事もあるもんだと鏡越しにウロチョロとしていたので、考えていたお礼は後回しに朝から一発腹筋へとお見舞いしておいた。...本間の事ではあるけど失礼というものや。
「名無しさん、忘れもんはねェかよい」
「うん、大丈夫やったわ。やけど宿の人も親切やったなー、こっちの都合やったのに多い分返してくれたわ」
「豊かな街じゃ普通だろい。お前は海賊でも何でもねェしなァ」
そんな事を話しながら宿の扉を開いてみれば、少し離れた場所から聞き間違えるはずのない声が飛び込んできた。
「おいっ!もう諦めろって、どうせお前の見間違いだよ」
「っうるせェ離せ!確かにおれは見たんだよっ」
「だからってそんな闇雲に探して見つかる訳ねェだろうが、ちったァ頭を冷やせよ」
「見間違える訳ねェっ....確かにあれは名無しさんだった!」
ドクンと心臓が音を立てる。
ゆっくりと声の方角へと顔を上げれば、そこには昨日と変わらないエースの姿があって。
「もう何年前の話だよっ、いい加減お前も現実を見ろ。7年だぞ?....昨日も結局女の子ほっぽり出して帰ってきちまったらしーしよ。ずっと探し回ってたんだろ、お前」
「あいつはおれ達に嘘は吐かねェ、また会おうって約束したんだ。必ず今もどこかで生きてる」
「分かった、分かったよもう。余計な事言わねーから、とりあえずお前は一旦船に戻って寝ろ」
仲間だろう人に宥められながらも、はっきりと自分の名前を言ってくれていただけで無く、エースもずっとこの7年自分に会いたいと思ってくれていたのだと突然突きつけられた目の前の光景に頭が上手くついていかない。
「おい名無しさん、大丈夫か?」
「!!....名無しさん...だと...?」
マルコの問い掛けに反応するように、エースがこちらに振り向いて驚くように見開いた懐かしい瞳と目が合う。
「名無しさんっ....?おまえっ、本当に名無しさんなのかっ...?!」
「へ、あ、うん。...久しぶりやな、エース」
ヨロヨロと近づいてきたエースにガシッと肩を掴まれてずいっと顔を近づけてくるものだから、思わず少し仰け反って固まったまま声を発する。
するとエースもようやく状況を飲み込めたのか力いっぱい眉を寄せ震えるままの掌で、ゆっくりと確かめるように抱きついてきた。
「名無しさんっ...名無しさんっ...!おっ前今まで、どこに居たんだよっ....!おれもあいつらもめちゃくちゃ心配してっ....」
徐々にきつくなる抱擁に震えるようなその声にエースの思いが伝わってくるようで鼻の奥がツンとする。
「...置いていってもてごめんな?覚えとってくれてありがとうエース」
「忘れる訳ねェだろうがっ...!!一日も忘れた事何かねェよ!」
「ふふっ、何か、めっちゃ素直でビックリするんやけど...(笑)」
「うるせェっ、お前はもっと反省しろ...勝手に居なくなりやがって、おれがどれほどっ....」
そう言って尚も抱擁を強めてくるエースに笑っていると、ふと目の前に居た仲間の人と目があった。
「あっ...あの〜よ船長?えーっと、この人〜が、例の女で?」
気まずそうにそれでも事実を確かめずにはいられないのだろう、目をあちこちに散らばせながら控えめに問い掛けてくる。
「...何だ、お前まだ居たのかよ」
「えっえぇえええ??!嘘ぉおーー!さっきまで話してたじゃねぇーか!この!俺と!!」
やっと体を離してくれたと思いきや、しれっと答えたエースに納得がいかないのか心底驚くお仲間さん。いや、うんその気持ちは分かるよ。何か、ごめんな。
そんな事を考えていると、急にバッと振り向かれて少しばかり驚いていればそれはそれは嬉しそうに問いかけてきた。
「なァっ、名無しさんは今日時間あったりすんのか??」
「あー...どうやろ」
そう思いながら今まで黙って見守ってくれていたマルコを見上げる。すると呆れたように笑ってから
「暗くなる前までには船に返せよい」
一言それだけ告げて片手を上げながら去っていく。
先程までのやり取りで、目の前に居るエースがうちの言っていた人物だと気がついたのか去り際の目には少し安堵も混ざっていて変わらない優しさに嬉しくなった。
「お前、今船に乗ってんのか?」
「せやねん。ほなちょっと時間も出来たしさ、美味しいもん買ってどっかで食べながら話さへん?」
「よっしゃァ!!おいっ、今日は夕方まで戻らねェから皆に伝えといてくれ!」
「ぅうっ、はいはい分かったよ。せいぜい楽しんでこい」
軽くベソをかきながら見送ってくれるお仲間さんに頭を下げて引っ張られるままエースの後をついていく。...本間に、大きくなったなあ。7年前とは似ても似つかない後ろ姿に驚かされながらも、あの夜も小さな紳士だったなと思い出してエースの背中でこっそり笑った。
結局あの後日付が変わるまで話をしていてもう遅い時間になったからとマルコは部屋を出て行きそれぞれの部屋で寝静まった。沢山泣いたのもあってか、マルコと分かれた後は急激に眠気が襲ってきたのでどうやってベッドに潜り込んだかは覚えていない。
(マルコには本間助けられてばっかりやわ...有り難いな。)
しみじみとそんな事を考えながら、今日は誰にも起こされずに起きられたなと気分も良く朝のメイクを軽く施していく。朝日の力って凄いんだなと思い知らされる。
幾許かして断ってから入ってきたマルコにはもう起きていたのかと心底驚かれたが、珍しい事もあるもんだと鏡越しにウロチョロとしていたので、考えていたお礼は後回しに朝から一発腹筋へとお見舞いしておいた。...本間の事ではあるけど失礼というものや。
「名無しさん、忘れもんはねェかよい」
「うん、大丈夫やったわ。やけど宿の人も親切やったなー、こっちの都合やったのに多い分返してくれたわ」
「豊かな街じゃ普通だろい。お前は海賊でも何でもねェしなァ」
そんな事を話しながら宿の扉を開いてみれば、少し離れた場所から聞き間違えるはずのない声が飛び込んできた。
「おいっ!もう諦めろって、どうせお前の見間違いだよ」
「っうるせェ離せ!確かにおれは見たんだよっ」
「だからってそんな闇雲に探して見つかる訳ねェだろうが、ちったァ頭を冷やせよ」
「見間違える訳ねェっ....確かにあれは名無しさんだった!」
ドクンと心臓が音を立てる。
ゆっくりと声の方角へと顔を上げれば、そこには昨日と変わらないエースの姿があって。
「もう何年前の話だよっ、いい加減お前も現実を見ろ。7年だぞ?....昨日も結局女の子ほっぽり出して帰ってきちまったらしーしよ。ずっと探し回ってたんだろ、お前」
「あいつはおれ達に嘘は吐かねェ、また会おうって約束したんだ。必ず今もどこかで生きてる」
「分かった、分かったよもう。余計な事言わねーから、とりあえずお前は一旦船に戻って寝ろ」
仲間だろう人に宥められながらも、はっきりと自分の名前を言ってくれていただけで無く、エースもずっとこの7年自分に会いたいと思ってくれていたのだと突然突きつけられた目の前の光景に頭が上手くついていかない。
「おい名無しさん、大丈夫か?」
「!!....名無しさん...だと...?」
マルコの問い掛けに反応するように、エースがこちらに振り向いて驚くように見開いた懐かしい瞳と目が合う。
「名無しさんっ....?おまえっ、本当に名無しさんなのかっ...?!」
「へ、あ、うん。...久しぶりやな、エース」
ヨロヨロと近づいてきたエースにガシッと肩を掴まれてずいっと顔を近づけてくるものだから、思わず少し仰け反って固まったまま声を発する。
するとエースもようやく状況を飲み込めたのか力いっぱい眉を寄せ震えるままの掌で、ゆっくりと確かめるように抱きついてきた。
「名無しさんっ...名無しさんっ...!おっ前今まで、どこに居たんだよっ....!おれもあいつらもめちゃくちゃ心配してっ....」
徐々にきつくなる抱擁に震えるようなその声にエースの思いが伝わってくるようで鼻の奥がツンとする。
「...置いていってもてごめんな?覚えとってくれてありがとうエース」
「忘れる訳ねェだろうがっ...!!一日も忘れた事何かねェよ!」
「ふふっ、何か、めっちゃ素直でビックリするんやけど...(笑)」
「うるせェっ、お前はもっと反省しろ...勝手に居なくなりやがって、おれがどれほどっ....」
そう言って尚も抱擁を強めてくるエースに笑っていると、ふと目の前に居た仲間の人と目があった。
「あっ...あの〜よ船長?えーっと、この人〜が、例の女で?」
気まずそうにそれでも事実を確かめずにはいられないのだろう、目をあちこちに散らばせながら控えめに問い掛けてくる。
「...何だ、お前まだ居たのかよ」
「えっえぇえええ??!嘘ぉおーー!さっきまで話してたじゃねぇーか!この!俺と!!」
やっと体を離してくれたと思いきや、しれっと答えたエースに納得がいかないのか心底驚くお仲間さん。いや、うんその気持ちは分かるよ。何か、ごめんな。
そんな事を考えていると、急にバッと振り向かれて少しばかり驚いていればそれはそれは嬉しそうに問いかけてきた。
「なァっ、名無しさんは今日時間あったりすんのか??」
「あー...どうやろ」
そう思いながら今まで黙って見守ってくれていたマルコを見上げる。すると呆れたように笑ってから
「暗くなる前までには船に返せよい」
一言それだけ告げて片手を上げながら去っていく。
先程までのやり取りで、目の前に居るエースがうちの言っていた人物だと気がついたのか去り際の目には少し安堵も混ざっていて変わらない優しさに嬉しくなった。
「お前、今船に乗ってんのか?」
「せやねん。ほなちょっと時間も出来たしさ、美味しいもん買ってどっかで食べながら話さへん?」
「よっしゃァ!!おいっ、今日は夕方まで戻らねェから皆に伝えといてくれ!」
「ぅうっ、はいはい分かったよ。せいぜい楽しんでこい」
軽くベソをかきながら見送ってくれるお仲間さんに頭を下げて引っ張られるままエースの後をついていく。...本間に、大きくなったなあ。7年前とは似ても似つかない後ろ姿に驚かされながらも、あの夜も小さな紳士だったなと思い出してエースの背中でこっそり笑った。