エンドライフ②
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《46.語られなかった真実と。 》
ーコン コン
「名無しさん、入ってもいいか」
「...うん、大丈夫やで」
あの後ゆっくりと湯船に浸かって冷えた身体を温めればずっと心を縛っていた焦燥感は鳴りを潜めて、今は大分落ち着いている。結局あの後湯船で少し泣いてはしまったけれど、すぐに泣き辞めたのが幸いしたのか鏡に映る自分はいつも通りのように感じた。
やっといつもの自分に戻れた気がして自然と笑えた顔でソファー席へと促せば差し入れだよいとあたたかい飲み物を差し出してくれるマルコ。...本間どこまでも優しい人やなぁと改めて感じる懐の深さに胸に温もりが灯った。
「さっきは突然ごめんな、驚かせてもたやろ」
「別に大丈夫だよい。襲われたとかじゃなくて安心はしたがな」
「ははっそれは相当強くないと難しいな」
「食いモンに釣られでもしてとかならあり得るだろい?」
「どんなイメージやねん」
まるで緊張を解きほぐすかのように核心には触れず交わしてくれる会話にほっとする。いつまでも甘えていられないなと思い、覚悟を決めてマルコを見ればそれか伝わったのか小さく頷いてくれた。
「まずは、さっきはいきなりやったのにすぐに駆けつけてくれて本間にありがとう。マルコの声聞いたら...何か、めちゃくちゃ安心してもて、上手く声が出んかった(笑)」
「....そうか。こんな声で良かったらいつでも言えよい。...で、お前に一体何があったんだよい」
「......うん。あのな」
どう思われるのかやっぱり少し怖い思いはあったけれど、あの咄嗟の場面で迷う事無く駆け付けてくれた優しさにどうしても嘘は吐きたくなかった。人からしたら大した事では無い事なのだとしても、やはり何処かで自分は異質なのだという思いは心の片隅に存在していたから。
そこからは親父に説明したように、一つ一つ思い返していきながら、ゆっくりと言葉にして伝えていく。
異世界から来た事や今まで辿った自分の経緯、繰り返されたトラウマ...そしてこの世界での生きる目的。
震えないように、しっかりと形に吐き出せば改めて自分の居る場所が酷く曖昧なものに思えて仕方がない。...今日は上手く切り替えられないなと自分に笑いながら目線を上げれば、真っ直ぐとこちらを見つめる瞳と目が合った。
「.....話してくれてありがとな。お前は自分の事をあんまり話さねェから名無しさんから教えてくれて嬉しかったよい」
「....んーどうもな、自分の話は苦手やねん」
「それとな、名無しさん。おれからも一つ謝らせてくれないか?」
「...?マルコ、何かしたっけか」
言われた言葉に覚えが無さ過ぎて懸命に頭を働かせるも思い当たらない。一体何の事だろうかと考えていれば思いもよらない事実が聞こえてきた。
「本当はな、全部知ってたんだよい。お前がうちに来たあの日の夜、全部、聞いちまったんだ」
「.......へ、」
「今まで黙ってて悪い。お前がいつか話してくれるまで、もし話してくれなかったとしてもおれから言う気はなかったんだよい」
「なん、でや...」
「名無しさん、あの日お前はオヤジに隠そうと思えば隠せた事実を包み隠さず話してくれた。それもその日にあった1人の男にだ」
「........」
「いくら恩を感じていたからと言って自分にマイナスになるような、増してや信じ難い出来事を普通人は話さねェ。そいつにどう思われるか分かったもんじゃねェからな」
静かに、目を伏せながら語られていくマルコの言葉に精一杯の気持ちが込められている気がして、聞き逃さないようにと耳を澄ませる。
「.......なのにお前は、言いづらいだろう自分の過去をその身に起きた悲劇を、何て事もねェように笑って話しをしてたんだよい。...本当、何て言うかなァ...胸が、苦しくなっちまってよ」
「........」
「こいつだけは守ってやらねェとって、あの日心に決めたんだ」
「........」
「会った事もねェ、海に出た事すらねェ、海賊すらも居なかった場所で生まれたってのに、恩義があるってだけでお前は、命を賭けて海に出て、おれ達に会えて嬉しいって、そう...笑ってたんだよい」
だから今までお前の覚悟を軽んじる気がして言えなかったと、マルコは教えてくれた。
確かにマルコは他の皆以上にいつも気にかけて誰よりも側に居てくれていた記憶はある。まさか、こんな風に思ってくれていただなんて夢にも思わなくて空虚にも似た胸に空いた穴に何かが埋まっていく感覚がした。
.....きっと、もう、大丈夫や。
ーコン コン
「名無しさん、入ってもいいか」
「...うん、大丈夫やで」
あの後ゆっくりと湯船に浸かって冷えた身体を温めればずっと心を縛っていた焦燥感は鳴りを潜めて、今は大分落ち着いている。結局あの後湯船で少し泣いてはしまったけれど、すぐに泣き辞めたのが幸いしたのか鏡に映る自分はいつも通りのように感じた。
やっといつもの自分に戻れた気がして自然と笑えた顔でソファー席へと促せば差し入れだよいとあたたかい飲み物を差し出してくれるマルコ。...本間どこまでも優しい人やなぁと改めて感じる懐の深さに胸に温もりが灯った。
「さっきは突然ごめんな、驚かせてもたやろ」
「別に大丈夫だよい。襲われたとかじゃなくて安心はしたがな」
「ははっそれは相当強くないと難しいな」
「食いモンに釣られでもしてとかならあり得るだろい?」
「どんなイメージやねん」
まるで緊張を解きほぐすかのように核心には触れず交わしてくれる会話にほっとする。いつまでも甘えていられないなと思い、覚悟を決めてマルコを見ればそれか伝わったのか小さく頷いてくれた。
「まずは、さっきはいきなりやったのにすぐに駆けつけてくれて本間にありがとう。マルコの声聞いたら...何か、めちゃくちゃ安心してもて、上手く声が出んかった(笑)」
「....そうか。こんな声で良かったらいつでも言えよい。...で、お前に一体何があったんだよい」
「......うん。あのな」
どう思われるのかやっぱり少し怖い思いはあったけれど、あの咄嗟の場面で迷う事無く駆け付けてくれた優しさにどうしても嘘は吐きたくなかった。人からしたら大した事では無い事なのだとしても、やはり何処かで自分は異質なのだという思いは心の片隅に存在していたから。
そこからは親父に説明したように、一つ一つ思い返していきながら、ゆっくりと言葉にして伝えていく。
異世界から来た事や今まで辿った自分の経緯、繰り返されたトラウマ...そしてこの世界での生きる目的。
震えないように、しっかりと形に吐き出せば改めて自分の居る場所が酷く曖昧なものに思えて仕方がない。...今日は上手く切り替えられないなと自分に笑いながら目線を上げれば、真っ直ぐとこちらを見つめる瞳と目が合った。
「.....話してくれてありがとな。お前は自分の事をあんまり話さねェから名無しさんから教えてくれて嬉しかったよい」
「....んーどうもな、自分の話は苦手やねん」
「それとな、名無しさん。おれからも一つ謝らせてくれないか?」
「...?マルコ、何かしたっけか」
言われた言葉に覚えが無さ過ぎて懸命に頭を働かせるも思い当たらない。一体何の事だろうかと考えていれば思いもよらない事実が聞こえてきた。
「本当はな、全部知ってたんだよい。お前がうちに来たあの日の夜、全部、聞いちまったんだ」
「.......へ、」
「今まで黙ってて悪い。お前がいつか話してくれるまで、もし話してくれなかったとしてもおれから言う気はなかったんだよい」
「なん、でや...」
「名無しさん、あの日お前はオヤジに隠そうと思えば隠せた事実を包み隠さず話してくれた。それもその日にあった1人の男にだ」
「........」
「いくら恩を感じていたからと言って自分にマイナスになるような、増してや信じ難い出来事を普通人は話さねェ。そいつにどう思われるか分かったもんじゃねェからな」
静かに、目を伏せながら語られていくマルコの言葉に精一杯の気持ちが込められている気がして、聞き逃さないようにと耳を澄ませる。
「.......なのにお前は、言いづらいだろう自分の過去をその身に起きた悲劇を、何て事もねェように笑って話しをしてたんだよい。...本当、何て言うかなァ...胸が、苦しくなっちまってよ」
「........」
「こいつだけは守ってやらねェとって、あの日心に決めたんだ」
「........」
「会った事もねェ、海に出た事すらねェ、海賊すらも居なかった場所で生まれたってのに、恩義があるってだけでお前は、命を賭けて海に出て、おれ達に会えて嬉しいって、そう...笑ってたんだよい」
だから今までお前の覚悟を軽んじる気がして言えなかったと、マルコは教えてくれた。
確かにマルコは他の皆以上にいつも気にかけて誰よりも側に居てくれていた記憶はある。まさか、こんな風に思ってくれていただなんて夢にも思わなくて空虚にも似た胸に空いた穴に何かが埋まっていく感覚がした。
.....きっと、もう、大丈夫や。