エンドライフ②
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《41.叶うのならば》
サボとの再会から数年、名無しさんは沈む太陽を前に1人いつもの甲板の上で黄昏ていた。
「すげー...美味しそー.....」
「ふっ....あんな綺麗な夕日見てその感想はねェだろうよい」
「なっ...マルコ、聞いとったんか」
青空だった空が滲んで、美しいグラデーションを織りなす色合いは待ち望んで仕方がない彼のイメージを彷彿とさせる。魅入っていればふいに飛び込んできた夕日のそれが美味しそうなゆで卵に見えたのだから仕方がない。
「今日は夜じゃねェんだな」
「...何かなー、さっきふと見上げた時に懐かしいなあって思って」
「懐かしい...?夕日がか?」
「んー、夕日ってよりはあそこの空の色合いがさ。濃いオレンジに薄いオレンジ、濁った暗めのオレンジの後は鮮やかな青に少しだけ黄色が混ざっとって、何か....似とうなあって(笑)」
「いつものあいつか?」
「ははっ、うん、そう。似とるんよな、何か。そう思ったら部屋に戻るの勿体ない気がしてな」
火拳のエースと言われる装いで海面をボートで走らせる色合いがまるで空に溶け込んだかのような景色に、ついつい心を掴まれてしまった。目を閉じれば瞼に浮かぶ笑みを浮かべて海面をボートで走るエースの横顔。
日常の色んな場面でこうやって思い出してしまうから、早く会いたいなとふと切なくなるのだ。
「もう...3年だなあ、お前がこの船に乗ってきてよ」
「うん、もう3年かー。...早かったな」
「そろそろなんだろ?お前が心底会いてェ奴が海に来んのは」
「せやなあ。正確な暦は分からへんからもう海に出とうかもしれへんし、もうちょっと経ってからからもしれへんけど、今年中なのは確かやな」
「.....そいつに会ったらお前はどうすんだ、元々そいつに会うまでっていう理由でこの船に乗ったんだろい?」
「.......うん、そうやねん。もうちょっと、やねんな」
皆といられるのは、という言葉は飲み込んでこのままサッチが悪魔の実何て見つける展開が無くなればいいのにともたまに思ってしまう。
その機を待たずしてティーチを消す事も考えたが、もしそれで先の読めない展開になって突然誰かが死ぬのは避けたかったのと、あの、忌まわしき頂上戦争を避けるべきなのか避けないべきなのか、こちらに来て7年ずっと、ずっと考えていた。
あの戦争の時、初めてエース自身が自分は愛されているのだと気がつけたように思えてならなかったのでずっと、ずっと考えているのである。
誰にも傷ついて欲しくない、エースは守れたとしても親父が死ぬかもしれないリスクを冒したくない、でもそれじゃあルフィ達の飛躍的な成長は望めないかもしれない、特にルフィは恐らく毒への耐性が出来ていたからこそ凌げたのだろう場面がいくつも未来の映像にあった。
音も無く得られた情報は本当に断片的ではあったが、誰もが笑って傷つく事なく死ぬ事などなく生きていられる世界線があるのであれば、間違いなくその未来を選びたかった。
「.......大丈夫か?」
「...うん、ありがとうマルコ」
いつものように変わらず自分を気にかけてくれるマルコ。親父もエースも助かって、例え親父の命が数年、数十年と変わるだけなのだとしても、あの戦争の後も彼には笑って親父と一緒に大事な家族皆と笑っていてほしいのだ。
「ずっとこんな時間が続けばいいのになー」
「ははっいきなりどうしたんだよい、今日はえらくしんみりだなァ」
「女にはそんな日もあるんよー」
「まだまだお前はガキだろい」
「マルコはもう40歳なったもんな」
「うるせえよい。お前もすぐだ」
「や、20年がすぐとか希望無さすぎやろ」
軽口を叩き合うのは相変わらずで、この船で親父と同じくらい気心が知れているからなのかマルコの前だと特に気が緩む。歳の離れた兄が居たらこんな感じなのだろうかと考えてみるが制服を着るマルコが想像つかなくて笑ってしまえば
「はははっ、お前が年食った姿なんざ想像つかねェなァ」
「それは喜んでいいのか悪いのか」
「どっちでもねェよい」
「一番困るわ」
返ってくるのは同じような感想で。お互いがお互いの認識を意識しなくても普通に馴染んでいくような生活が、この船の上で皆とずっと続けばいいのになと、暗闇に色を変え始めた空を見て思う。
エースに会えるのは、もうそこまで迫っていた。
サボとの再会から数年、名無しさんは沈む太陽を前に1人いつもの甲板の上で黄昏ていた。
「すげー...美味しそー.....」
「ふっ....あんな綺麗な夕日見てその感想はねェだろうよい」
「なっ...マルコ、聞いとったんか」
青空だった空が滲んで、美しいグラデーションを織りなす色合いは待ち望んで仕方がない彼のイメージを彷彿とさせる。魅入っていればふいに飛び込んできた夕日のそれが美味しそうなゆで卵に見えたのだから仕方がない。
「今日は夜じゃねェんだな」
「...何かなー、さっきふと見上げた時に懐かしいなあって思って」
「懐かしい...?夕日がか?」
「んー、夕日ってよりはあそこの空の色合いがさ。濃いオレンジに薄いオレンジ、濁った暗めのオレンジの後は鮮やかな青に少しだけ黄色が混ざっとって、何か....似とうなあって(笑)」
「いつものあいつか?」
「ははっ、うん、そう。似とるんよな、何か。そう思ったら部屋に戻るの勿体ない気がしてな」
火拳のエースと言われる装いで海面をボートで走らせる色合いがまるで空に溶け込んだかのような景色に、ついつい心を掴まれてしまった。目を閉じれば瞼に浮かぶ笑みを浮かべて海面をボートで走るエースの横顔。
日常の色んな場面でこうやって思い出してしまうから、早く会いたいなとふと切なくなるのだ。
「もう...3年だなあ、お前がこの船に乗ってきてよ」
「うん、もう3年かー。...早かったな」
「そろそろなんだろ?お前が心底会いてェ奴が海に来んのは」
「せやなあ。正確な暦は分からへんからもう海に出とうかもしれへんし、もうちょっと経ってからからもしれへんけど、今年中なのは確かやな」
「.....そいつに会ったらお前はどうすんだ、元々そいつに会うまでっていう理由でこの船に乗ったんだろい?」
「.......うん、そうやねん。もうちょっと、やねんな」
皆といられるのは、という言葉は飲み込んでこのままサッチが悪魔の実何て見つける展開が無くなればいいのにともたまに思ってしまう。
その機を待たずしてティーチを消す事も考えたが、もしそれで先の読めない展開になって突然誰かが死ぬのは避けたかったのと、あの、忌まわしき頂上戦争を避けるべきなのか避けないべきなのか、こちらに来て7年ずっと、ずっと考えていた。
あの戦争の時、初めてエース自身が自分は愛されているのだと気がつけたように思えてならなかったのでずっと、ずっと考えているのである。
誰にも傷ついて欲しくない、エースは守れたとしても親父が死ぬかもしれないリスクを冒したくない、でもそれじゃあルフィ達の飛躍的な成長は望めないかもしれない、特にルフィは恐らく毒への耐性が出来ていたからこそ凌げたのだろう場面がいくつも未来の映像にあった。
音も無く得られた情報は本当に断片的ではあったが、誰もが笑って傷つく事なく死ぬ事などなく生きていられる世界線があるのであれば、間違いなくその未来を選びたかった。
「.......大丈夫か?」
「...うん、ありがとうマルコ」
いつものように変わらず自分を気にかけてくれるマルコ。親父もエースも助かって、例え親父の命が数年、数十年と変わるだけなのだとしても、あの戦争の後も彼には笑って親父と一緒に大事な家族皆と笑っていてほしいのだ。
「ずっとこんな時間が続けばいいのになー」
「ははっいきなりどうしたんだよい、今日はえらくしんみりだなァ」
「女にはそんな日もあるんよー」
「まだまだお前はガキだろい」
「マルコはもう40歳なったもんな」
「うるせえよい。お前もすぐだ」
「や、20年がすぐとか希望無さすぎやろ」
軽口を叩き合うのは相変わらずで、この船で親父と同じくらい気心が知れているからなのかマルコの前だと特に気が緩む。歳の離れた兄が居たらこんな感じなのだろうかと考えてみるが制服を着るマルコが想像つかなくて笑ってしまえば
「はははっ、お前が年食った姿なんざ想像つかねェなァ」
「それは喜んでいいのか悪いのか」
「どっちでもねェよい」
「一番困るわ」
返ってくるのは同じような感想で。お互いがお互いの認識を意識しなくても普通に馴染んでいくような生活が、この船の上で皆とずっと続けばいいのになと、暗闇に色を変え始めた空を見て思う。
エースに会えるのは、もうそこまで迫っていた。