《27. 再会① 》


「へ....あぁいや、すみません。ちょっとぼーっとしてました」


突然の事で一瞬思考は止まってしまったが、いつもの癖ですぐに問いかけへの返答をした。それでも目の前の少年は納得しなかったのか眉を寄せたままの顔でこちらを見つめてくる。もしかしてさっき見てたのがバレてしまったのかとか、私の事を覚えているのかもとか色んな考えが一瞬にして駆け巡る。



「あの....何か」

「..........いや、」



余りにもじっと見つめてくるのでいよいよ何か気に触る事をしてしまったのかと考えていれば、勢いよく目の前の少年の頭が揺れる。



「いってぇえ！」

「あのっ、本っ当にごめんなさい！何か失礼しちゃいましたよね？？」

「何もしてねェよ」

「サボくんは黙ってて！」

「いや、あの

「すみません本当！彼ちょっと常識が無い所があるのでご迷惑をおかけしてしまっていたらごめんなさいっ」

「や、あの〜な？」



口を挟む隙が無いとはこの事で、弁解をする前に勢いよく下げられた頭が２つ。一つは勿論無理やりであるが話が上手く通らなさそうだったので一呼吸置いてから話しかけてみた。



「あの、大丈夫ですから頭上げて下さい。彼に何もされてないですし、ちょっと気分が悪かったので声を掛けて貰って寧ろ助かりました」

「えぇっ？！そうなんですね？！って、うわぁああ綺麗な人！！」

「えっ？」

「お前は少し落ち着け」



ガバリという効果音がこれほど似合う場面には出くわさないだろうなと思うほど、急に顔を上げられて、その後は何故か叫ばれた。うん、めちゃくちゃ元気が良いなこの子。顔は凄く可愛いのでそのギャップに驚いていると違う意味での謝罪をされたので、慌てて大丈夫だと伝え直した。

その後はうるさくしてご迷惑をかけてしまったお詫びがしたいと強く、とても強く女の子に言われてしまったので、私は今何故かサボだと思う少年と可愛いらしい女の子と相席をしている。

...人生、本間にいつなん時どう転がるか分からないものだ。



「落ち着きましたか？」

「はいっ、すみません私までご迷惑を」

「いやだから俺は何もしてねェって」

「サボくんは自覚が無いだけだよきっと」

「本当だっつーの」

「....はははっ、本間仲良いんやなぁ」


「「誰がこんなのと！」」


「ははははっ！」



席についても変わらず賑やかで明るい彼女と少年のやり取りを見て物凄く和んでしまう。まるで家族かのような気を許し合ったやり取りに、素敵やなあと笑みが溢れた。



「.....あの、本当綺麗ですね？？」

「....、？うちが？」

「はい！！さっきは叫んじゃいましたけど、よく見ても物凄く美人で驚いてます今も！」

「ははっ、ありがとう（笑）優しいなー」

「いやいやいやお世辞とかじゃなくて！」



前のめり気味に両拳を作って力いっぱいに褒めてくれる女の子があまりにも可愛いくてその姿に笑ってしまう。隣を見れば呆れたような顔をしていてきっとこれは彼女の常なのだろうなと予想がついた。そのまま少年と目が合ったので微笑めば少し驚いたような顔をした後ずいっと顔を近づけてくる。



「やっぱりあんた、どこかで会った事があるか？」



少し迷いながらも真剣にそう聞かれたので、もしかしたら昔と少しうちも変わってんのかなと思い当たり正直に伝える。



「んー覚えてへんかな？サボ...やんな？予想が間違ってなければ、昔エースとルフィと一緒にコルボ山で遊んだりしてたんやけど覚えてる？」

「！こるぼ...山...？いや、確かに俺はサボだが、」

「まあ、1年にも満たんぐらいの期間やったから忘れてもとう可能性のが高いけどな」



そう言って笑えば、何故か少し苦しそうな顔をしたのでどうしたのだろうと少年を見つめれば横から女の子が声を上げた。