このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

若き獅子


そうしているうちに、ロイはクレイグの元へたどり着いた。

辺りはすっかり炎に包まれている。


「クレイグ!」

「……ようやく来たか……死に損ないの災厄の獅子め……」

「うるせぇ!俺はもう負けねぇ!」

ロイはそう言うと、ブレスで燃え盛る炎をかき消した。

「お前がいくら燃やそうと俺が消してやる!
氷竜は火竜の直接攻撃には弱くても、燃えてる炎を消すのは容易いからな」

「……この炎に対した意味などない。貴様を呼び寄せるためのただの目印だ」

「……その為にどれだけの民家が犠牲になったと思ってんだ……」

ロイは地面に降りると、かがんでエリウッドを背中から降ろした。


「父さんは下がってて……ここは俺の戦いだ」

「……うん、わかった」


「必要ない。お前も、お前の父親もこの私が消し炭にしてくれる……」

「そうはさせねぇ!
俺は母さんから受け継いだ力で……お前を倒す!」

「……面白い……やれるものならやってみろ!」


見た目も、属性も、全く対照的な二頭の竜。

そんな彼らの間に緊張した空気が走る。


「行くぞ!」

「来い!手加減はしねぇからな!」


こうして、ロイとクレイグ、二頭の竜のプライドと命運をかけた戦いが始まった……








「ロケットずつきっ!」

「ピカチュウ!俺の獲物に手を出すな!」


戦い慣れしたファイターの活躍もあり、ラグナス軍の戦力は徐々に減っていた。


「……だいぶ片付いたね……」

「ああ……」

「お前ら最後まで気を抜くなよ!ここまで戦って残ってる奴らってのは、かなりの腕を持ってるってことだからな!」

「ああ!」

「強敵上等!」

「……あんまり調子に乗るなよ、マリオ……」





「ウォルト、怪我は大丈夫?」

「うん……平気だよ。
弓も引けない役立たずになっちゃったけど……」

リリーナはその天才たる魔道の力で、ほとんど一人で敵を倒してしまった。

ウォルトは戦えないため身を隠していたが、怪我のせいで力になれないことをもどかしく思っていた。


「こっちに向かってくる敵はもういないわ……
それより、ロイに封印の剣を届けたいんだけど……」

「封印の剣を?」

「うん。幸い、剣はお城に置いていたから相手にも奪われなかったんでしょう?それに、ラグナスを倒すなら剣で戦った方がいいと思うの。
それに、ロイはまだ竜の力を完全に使いこなせてるわけじゃないわ……
小さい頃からおじさま達に習ってきた剣術の方が、有利に戦えるはずよ」

「……そっか……」

ウォルトはほんの少し悩むと、やがて意を決したように城の中へと走っていった。

「ウォルト!?」

「僕が封印の剣をロイに届ける!少しでも力になりたいんだ!」

「……わかった、気をつけて!」





クレイグとロイの戦いは凄まじい轟音や爆発の嵐になっていた。


「……なかなかやるじゃないか」

「だから言ったろ、さっきとは違うって!」

「だが経験の差は歴然だ!」

「空を飛べる分、俺には勝機がある!」

「……若造の癖にたわけたことを……!」


どちらも退かぬ一進一退の攻防。

エリウッドは少し離れたところから戦いの様子を見ていた。


「この程度、私には効かん……!」

「……さすが五千年生きてきただけはあるな。
お前を見てると……何だかアイツと戦ってるみたいだ」

ロイはかつての動乱の最中に神殿で戦った、クレイグに似た火竜のことを思い出していた。


「何故だ……実力差があるとわかりながら、何故貴様は退かぬのだ?」

「退けねぇ理由があるからだ!
俺はみんなを守んなきゃいけねぇ!
家族も、友達も、大切な人もみんな……俺が退いたら、みんな笑顔を失っちまう!
だから俺はみんなの笑顔を守るために戦うんだ!」

「……笑顔……だと……」

「隙ありだ!」

「!」

ほんの僅かな油断を見逃さず、ロイは懐に入り込み強烈な突進攻撃を食らわせた。

「ぐぁっ……」

「立て直す隙はやらねぇぞ!」

ロイは勢いよく頭突きをした。

だが、相手の硬い皮膚に阻まれ満足なダメージは与えられない。

それでも突進攻撃が効いたのか、立ち上がる時には少しよろけていた。


「ぐ……バカな……この私が……
こんな……子供に……!」

「子供だと甘く見すぎたな」

「ま……まだ……まだ私は……」

「……もう諦めろ……
……今に全てを終わらせてやる……」

ロイはそう言うと空に舞い上がり、最大級のパワーを込めてブレスを放った。

「ぐあぁぁっ……!」


すべてを凍らせるような凍てつく冷気。


辺り一帯を包む凄まじい音と砂埃が収まってくると、やがてクレイグは力なく倒れ込んだ。

そして姿さえも、赤紫の髪の人間に戻ってしまった。

もう戦う力など、どこにも残っていない。


「……やったのかい?」

「うん。
まだ息はあるけど……大丈夫、暫くは動けないと思うよ」

エリウッドはロイの傍に歩み寄ると、立ち上がることも出来ないクレイグを見つめた。

ふと、その視界に何かを捉える。


「……? ねぇロイ、これ……」

エリウッドが見つけたのは、クレイグのすぐそばに転がる小さな紺碧の玉。

ロイが元の姿に戻るため、ずっと探していたものだ。


「……竜玉……お前が持ってたんだな。
……返してもらうぞ」

ロイは意識のないクレイグに向かってそう呟いた。

「お前らみたいな純血のマムクートと違って、俺は人間の姿がホントの姿なんだよ。
いつまでも竜のままでいるのは窮屈なんだ」


ロイは鼻先でちょんと竜玉に触れる。

途端、身体中が光り輝き、ロイは一瞬にして人間の姿へと戻った。


「なんか久々な気がするな、人間の姿」

ロイは伸びをすると、竜玉を首に下げ、大切そうに握りしめた。


「……あとは敵将……ラグナスだけだ」


その時……


「ロイ!」

空の上から声がする。

振り向けば、ワープスターに乗ったカービィの隣にウォルトがいた。

「ウォルト……!?カービィ!?」


「ロイ、あの竜に勝ったんだね!」

「ああ……それよりどうしたんだ?」

ウォルトは大事そうに抱えていた封印の剣をロイに手渡した。

「これを届けに来たんだ。
まだ使いこなせてない竜の力よりも、剣術の方が有利に戦えるはずだって……リリーナが言ってさ 」

「リリーナが?」

「うん」

「偶然ボクが近くにいたから、ワープスターでひとっ飛び!って訳だよ!」

「速すぎて死ぬかと思ったよ……」

「そっか……わざわざありがとな」

「怪我をして戦えなくても僕……少しは役に立てたかな……」

ロイは子供っぽく笑うと、ウォルトの頭をぐしゃぐしゃに撫でた。

「わあぁ! ちょっ……ロイ……!」

「……サンキュー、ウォルト!
これでラグナスの野郎ブッ倒すよ」

「(……年下のロイに頭撫でられるなんて変な感じだけど……)」

ウォルトはボサボサになった髪を撫でつけながら、恥ずかしそうに顔を赤くした。


「そうと決まればラグナスの野郎を探さないとな……」

ロイは封印の剣を腰から下げ、辺りを見回した。

クレイグを倒し、フェレには少しずつ静寂が戻りつつある。


「俺は……負けるわけにはいかねぇ……」


ロイは強い眼差しでそう呟いた。
12/16ページ
スキ