SHORT

テレパシー


「……ん……」

ふと、ルイージは右腕に小さな痛みを感じた。

どこかにぶつけたわけじゃない。けれどその感覚は、小さい頃から何度も感じたことのあるものだった。

「(……マリオに何かあったのかも)」


ルイージは読みかけの本を閉じて、マリオを探しに向かった。



この広い屋敷の中、兄がどこにいるかなんてわからない。

けれどルイージの足は、何かに導かれるかのように、迷いもなく進んでいく。


そして……


「……マリオ」

ルイージはその視界に兄の姿を捉えた。

誰もいない廊下の隅で、右腕を押さえ座り込んでいる。

「……ルイージか……」

「……また感じたんだ。マリオが怪我してるかも……って」

「そっか……」

「……大丈夫?」

「ドジって強打しちまったよ」

「……見せて」

マリオは袖をめくり上げ、ぶつけた箇所をルイージに見せる。

そこは痛々しく青い痣になっていた。


「……軽い打撲だね……痣になってる」

「マジかよ……」

「……でも、マリオならこのくらい平気だよね」

「そんなことねーよ!かなり痛いって」

「……いつも冒険ばっかりして沢山ケガしてきたくせに」

「でも痛いもんは痛いんだって」

ルイージはため息をつくと、マリオの右腕に優しく手を当てた。


「……こうしてたら良くなる?」

「……うん。少し良くなった……
ルイージの手は魔法の手だな」

「……ホントに魔法が使えたら苦労なんかしないよ」

「へへっ……」

「……でも……マリオに何かあった時すぐ気づいてあげられるのは……僕だけだ」

「俺もな。
……だって俺達は……双子だもんな」

「……うん」


双子にしかわからない

双子にしか通じない


特別なテレパシー
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