メルティクルーシブル

ガスト・ブラスター・ドラゴンに憑依(ライド)しているゴーストの目の前にいるのは、自分同様メタトロンに憑依しているミク。その表情は……火を見るよりも明らかだ。

『メタトロンのスキル、グレード3からライドした時CB2、ダメージゾーンから1枚Rにコール!ダメージゾーンからフェザーパレスをコール!メタトロンのパワー+15000!メタトロンのスキル、ダメージゾーンから1枚山札の下に置き、Vに1ダメージ!ダメージチェック、ゲット!ドロートリガー!1枚ドローして、パワーはフェザーパレスに!』
手札:6枚 ダメージ:5→4
ダメージチェック:恋の守護者(バトルキューピッド) ノキエル(引トリガー兼守護者)
裏にしたカード:スケーリング、フェザーパレス
山札の下に置いたカード:スケーリング
メタトロンのパワー:27000
フェザーパレスのパワー:22000
山札:26枚

「(ま、まだ防げる……!)」

『イオフィエル、ケアマイン・ナース、ザラキエルをコール!イオフィエルのスキル、CB1と自身をバインド!山札の上から1枚をダメージゾーンに!ザラキエルのスキル、前列全てにパワー+3000!』
手札:3枚 ダメージ:4→5
裏にしたカード:ミリオンレイ
山札から置かれたカード:メタトロン
メタトロンのパワー:30000
フェザーパレスのパワー:25000
ザラキエルのパワー:15000
山札:25枚

「お前、馬鹿か!?ケアマインはグレード2、ブーストのないユニットを後列にコールしたって―」

『ケアマインのスキル知らねぇの?自分のダメージゾーンが5枚なら、このユニットはブーストを得て、パワー+20000だぞ?』
ケアマインのパワー:29000

「はっ?……えっ?」

素っ頓狂、鳩が豆鉄砲を喰らったような、呆気にとられる。そんな言葉が出てくるような顔をするゴースト。そしてケアマインがコールされたのはフェザーパレスのいる左後列……勘の良い読者なら、お分かりいただけただろう。この後の結末を。

『メタトロンでVにアタック!』
パワー:30000

「け、ケイラウトとアビス・ヒーラーでガード!ケイラウトのスキル、VかRに「ブラスター・ダーク」がいるなら、自身のシールド+10000!更にダンプフッドでインターセプト!」
手札:5枚 シールド:53000

『ツインドライブ!1枚目……2枚目……ノートリガー!』
手札:4枚 ツインドライブ:サリエル、ケアマイン
山札:23枚


トリガーが出なかったことに安堵するゴースト。ザラキエルのアタックはノーガードしてダメージ4、残るアタックはフェザーパレスのみだ。

『……ケアマインのブースト、フェザーパレスでVにアタック!スキル発動!アタック時G3をSB2、ダメージゾーンのカードを全て裏にし、そのバトル中自身のパワー+20000、クリティカル+1!』
SBしたカード:ザラキエル、レミエル
パワー:74000 ☆2

「ハハハハッ!!そんなの通すかよッ!暗黒の盾 マクリールで―」

『そしてこのアタックを、相手は手札から守護者でガード出来ない!!』

「………………えっ???」

自分がやった守護者で防がなければいけない心理を逆手に取る戦術を、目の前の相手にやり返される。
何とも皮肉な光景であろうか。完全ガードでしか防げない攻撃に対し、何も出来ないことを悟ったゴーストは絶叫しながらノーガードを宣言。

フェザーパレスの左腕から射出された緑色の超電磁砲がガストブラスターに直撃、ケアマインが天高くからばら蒔いた沢山の爆弾が傷口に塩を塗りたくる。悪意の化身である暗黒竜は、その巨体を地面に伏した。

ダメージゾーンに置かれたのはガストブラスターとファントムブラスター。トリガーではない。よってミクの勝利となった。

≪勝者、詠導ミク選手!よって咲神高校ヴァンガード部、第二回戦に進出だぁぁ!!≫

『ッ、しゃあぁぁぁ!!!』

≪最速でグレード3にライドしたり、クリティカルを上げて完全ガードを出さざるを得ない状況を仕掛けたゴースト選手も中々でしたが、それを逆手に取って自分の流れにした詠導選手もお見事でしたね〜!流石は想天の令嬢……いいえ、これからは彼女のことをこう呼びましょう!想天の令嬢改め―≫


クラージュ・メディックと!!



ルイン視点

クラージュ・メディック……直訳すると「勇敢なる衛生兵」かな?しかもフランス語と英語の造語ときた。
大神田先生って普段の行いで隠れがちだけど大学首席で卒業したんだから人って見た目じゃないんだよね〜。まあ頭の良さ=品行方正ってモンでも無いんだけど。モフキチなのは周知の事実らしいし。

「ぬんぬぬ〜ん……ん?」

「久しぶりだね、ルイン」

うげっ、一番会いたくない奴……無視しよう。

「無視はいけないよ?」

肩を掴むな、セクハラで訴えるぞ。

「…………なんの用なのヒスイ。よくもいけしゃあしゃあと私に話し掛けられるよね。つーか……今の私(・・・)は嫌いなんでしょ、あんた」

「…………………」

「私もだよ……今のあんた(・・・・・)は大嫌いッ」

吐き捨てて観客席へ戻って行く。知るかボケ。あんな奴知らないし興味も無い…………自由になったイズモ君を、今更栂芽の家に戻そうとしている馬鹿に構っている暇はない。まあ、どれだけ悪巧みしようと……全部叩き折ってやる。




イズモ視点

「ふう……」

一人で落ち着きたいと断りを入れて、一人自販機のベンチに座ってさっき買ったペットボトルの水を飲む。冷たい水が喉に沁みていくのを感じつつ一息吐いた。

……やっぱり詠導は凄い。記憶喪失というハンデを負っていても尚、ファイトを卒無く熟していた……なのに俺は、そんな彼奴に勝手に嫉妬して、嫌な奴だと決め付けて酷いこと言って……こんなの彼奴等と―俺を扱き下ろしていた奴等と同じじゃねぇかッ。

「(あの時は勢いで言ったけど…やっぱり俺は…………詠導が、異性として好きだ)」

……もっと強くなりたい。もっと、もっと、もっと…周りから馬鹿にされない、自分の大事なモノを奪われないような力が欲しい。アイツを…………詠導を、護れる力が欲しい!!!


「その願い……叶えてあげようか?」

「ッ!?」

顔を上げた先にいたのは、目が血みてぇに真っ赤で髪と肌が真っ白いガキ。無表情に俺だけを見ている……何だコイツ、迷子か?気味が悪い。早く此処から立ち去ろうとするが、先回りしていたのかアイツが立っていた。


「何だよ……邪魔だから退け」

「おにいちゃん……あの子が…詠導ミクが、大事?」

「ッ……だったら何だよ。テメーには関係―」

「これ……あげる」

ガキが俺の手に置いていったのはデッキケース。もしかしてアイツのか?要らねぇよ、こんなの。突き返そうとしたが、何時の間にかガキは消えていた…………何なんだよ、ホント。




≪力が欲しいのかい?≫

「ッ!?」

押し付けられたデッキケースを開け、一番上にあったのは「海賊貴公子 ピノ・ノワール」。グランブルーの、ユニット……まさか、このカードが俺に話し掛けているのか?

そう考えていたら、俺の目の前に映ったのはオンボロそうな海賊船の看板。えっ、なんだコレ!?俺、夢でも見ているのか?

≪夢じゃないよ≫

「ッ!!」

≪脅かすんじゃねぇよバカ!!≫

≪いった!相変わらず手厳しいなぁ……≫

≪テメェと何百年航海していると思ってんだボケ船長!!≫
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