メルティクルーシブル

そこから先は……口に出すのも憚る程にフルボッコだった。無自覚とはいえ地雷を踏んだ羽原には同情せざるを得ない程にフルボッコだった。バッキバキに折られた彼の心の傷とプライドが少しでも早く回復することを祈りたい。
泣き叫びながら敗走していった羽原に向けてかどうかは不明だが、天音さんが空に十字を切ってから拝みのポーズで悟りを開いた顔で祈りを捧げていた。色んな奴に喧嘩を売りそうなことを平然とやってのけるあの人のメンタルはオリハルコンだな、間違いない。

『あれがプロの実力……』

「………………」

「名倉、どうした?具合でも悪いのか?」

「えっ、あっいや、何でもないです!ちょっと緊張しちまって……」

「緊張するのは仕方ねぇか。大勢の前でヴァンガードするとか滅多にないだろうし……まあ、いつも通り自分のファイトをすればいいんだ。それだけでいい」

『神谷先輩……』

「そ、そうですよね!俺頑張ります!!」

『…………………』

名倉の兄貴って、もしかして……否、憶測でモノを言うのは止めよう。かえって混乱するかもしれないし。

そしてトーナメント表が発表された。……うっそ、あたし達第一試合?対戦相手はチームスリードラゴン?草野球チームにいそうな名前だな。


「一試合毎にファイトを行い、回数は全部で先鋒、中堅、大将戦の3回。先に二勝した方のチームが勝ち上がるってことか。……一応、大将戦は俺が出るぞ」

「じゃあ先鋒は俺な!で、中堅は誰が……」

『あっ、あの、あたしが出てもいいですか?記憶喪失だけど、大会出てるっぽいんで』

「うーん、確かに記憶喪失前の詠導さんは、大会によく出場していたって聞いているけど……やる気と勝ちたいって思いに満ちているみたいだし、中堅は任せるわ!存分に暴れてください、詠導さん!勿論、ここにいるみんなもよ!!」

「『……はいッ!!』」

小早川先生の激励に元気よく答えるあたし達。やってやる、目指すは優勝まっしぐらだ!!!


第一試合の先鋒戦、チームスリードラゴンからはフレイムって奴が出て来た。クランはかげろう……どうやら使うクランのイメージがニックネームらしい。
かげろう特有の退却で盤面で更地にされても、シャドウパラディン特有の展開力で立て直した綴木先輩が難無く勝った。次はあたしか……やってやるわい、行くぞみんな!!

あたしの対戦相手はゴースト……グランブルーか?言うてグランブルーにドラゴンって、スカルドラゴン位しか居ないような……あっ、もしかしてアイツのクラン……アレか?

「おい、さっさとカード選べよ!どんだけ待たせる気だよ、このノロマ女!!」

「ゴースト!対戦相手への侮辱的な発言は止めろと何度言えば分かる!!礼儀を重んじない者に、カードは応えないぞ!!」

「チッ!正論振り翳してクソうぜぇ……ただまぐれで勝ち続けているだけの熱血馬鹿が、リーダー気取るんじゃねぇよッ」

リーダーは良い人なのにコイツは態度悪いなおい。まあ、言われたらムカつくのは事実だが……コイツ枸幹より態度悪いな。
メルティクルーシブル、意外に治安悪め?まあ、前世でもこういったマナーや態度の悪いアホプレーヤーいたから耐性はある程度ついていたりする。


「これより、第一試合中堅戦を開始とします!」

≪闇に潜む破壊の黒竜を操るゴースト選手に対するは、嘗て稀代のエンジェルフェザー使いと注目されていた想天の令嬢こと詠導ミク選手!表舞台に舞い戻った彼女は、どんなファイトを見せてくれるのかァァ!!?≫

≪にっちもさっちもどうにもファイトじゃぁぁぁぁ!!!≫

『「スタンドアップ・ヴァンガード!!」』


あたしはペヌエル、ゴーストはフルバウ。やっぱりシャドウパラディンだったか……じゃあ素直にファントムやスペクターとかにした方がよくねぇか?分かりやすいし。

シャドウパラディン……いつだって自分の信念を貫き、ヴァンガードという自由を愛していたあたしの戦友を思い出すクラン。対して目の前のコイツには、そんなのが微塵も感じられない。横暴だとは思うが、こんな奴にこのクランを使って欲しくないと思ってしまう。

同時に…信念も、敬意も、自分の強みもないコイツには負けられないと強く思った。


≪先鋒戦の先攻後攻は試合開始前のシステムで決まり、中堅と大将は先鋒戦で敗北したチームの先攻となります!敗北したのはチームスリードラゴンなので、先攻はゴースト選手となります!≫

「最初に言うぞ。想天の令嬢でもないお前なんざ、俺の敵じゃねぇんだよ!ドロー!瞬斬の騎士 グリーテにライド!フルバウのスキルで1枚ドロー!更に髑髏の魔女 ネヴァン、哀慕の騎士 ブランウェンをコール!ブランウェンのスキル、手札から登場した時、山札の上から5枚見て、グレード3を1枚まで公開し手札に加える……ケッ、ツイてねぇな。グレード3はないからシャッフルだ。ネヴァンのスキルで自身をレスト、山札からパワー5000を1枚コール!山札から氷結の魔女 ベンデをコール!ターンエンドだ」
手札:4枚 ソウル:1枚
山札:41枚

『あたしのターン。尖針の守護天使スパイン・セレスティアル イオフィエルにライド。ペヌエルのスキルで1枚ドロー、クイックシールドを得る。イオフィエルでアタック』
手札:7枚 ソウル:1枚
山札:42枚

「ノーガードだ!」

『ドライブチェック…ノートリガー』
手札:8枚 ドライブチェック:天罰の守護天使ワイルドショット・セレスティアル ラグエル
山札:41枚

「ダメージチェック…ノートリガーだ」
ダメージチェック:ブランウェン
山札:40枚

『ターンエンド!』
手札:8枚 山札:41枚

「俺のターン!ブラスター・ダークにライド!ベンデのスキル発動!俺のVが「ブラスター・ダーク」ならSB1と自身を退却、山札から「ファントム・ブラスター・ドラゴン」1枚にスペリオルライドだ!」
手札:4枚 ソウル:1枚
SBしたカード:フルバウ 
山札:38枚 ドロップ:2枚

『いきなりグレード3だと!?』

「恐れ慄け!弱者を喰らう漆黒の槍に敵は無し!スペリオルライド!ファントム・ブラスター・ドラゴン!イマジナリーギフト・フォースⅠをVに!ベンデのスキルで起動能力は使えないが問題ねぇ!ネヴァンのスキル、山札から完遂の騎士 ディラエルトをコール!ディラエルトのスキルでSC1!ブチのめしてやれ!ファントム・ブラスター・ドラゴン!」ソウル:3枚 フォースの配置:中央前列×1
パワー:23000(フォースⅠ込み)
山札:36枚

『ノーガード!』

「ツインドライブ!ファーストチェック、ゲット!クリティカルトリガー!パワーはディラエルト、クリティカルはVに!セカンドチェック……来たぜ、クリティカル!パワーはブランウェン、クリティカルはVだ!」
手札:6枚 ツインドライブ:デスフェザー・イーグル、厳格なる撃退者グリム・リベンジャー(☆×2)
ディラエルトのパワー:15000
ブランウェンのパワー:18000
Vの☆:3
山札:34枚

『……………』
ダメージ:3 ダメージチェック:聖火の守護天使キャンドルライト・セレスティアル サリエル、ベリフルメッズ・エンジェル、イオフィエル
山札:38枚

「ディラエルト!」
パワー:15000

『ミリオンレイ・ペガサスでガード。スキルでシールド+5000』
手札:7枚 シールド:18000

「ブランウェン!」
パワー:18000

『ノーガード。ダメージチェック……ノートリガー(ヨシッ、良いタイミング!)』
ダメージ:4 ダメージチェック:団結の守護天使ソリディファイ・セレスティアル ザラキエル
山札:37枚 ドロップ:1枚

「(何だアイツ……ダメージ4なのに笑ってやがる?事故の後遺症で頭がイカれたんだな。)ターンエンド!もうダメージ4、勝ちは決まったも同然だなッ!」
手札:6枚 山札:34枚
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