メルティクルーシブル

ミク視点

ヴァンガード甲子園の代わりに開催される大会・メルティクルーシブルに出場したあたし達、咲神高校ヴァンガード部。幸いにもあたしのお手々は打撲や骨折等はしていなかかった。よかったー。枸幹は後で頭の中でボコボコにしよう。
どんな奴等がいるんだろ……わくわく。

時間に余裕を持って行動する。どんなことにも誠実さが無ければいけない。



『(早く来すぎたかな……あっ、神谷先輩と小早川先生だ。)おはようございます!小早川先生、神谷先輩!』

「ん、詠導か。お前が一番乗りだな」

「おはようございます、詠導さん。時間前行動が出来るのは良いことですよー」

10分後

「おはよーユタ!小早川先生!」

『綴木先輩!おはようございます!』

「わっ、詠導が一番乗りかよ!かー、負けたー!」

「別に勝ち負けとかねぇだろ、アホか」


更に5分後

「おはようございます…」

「3番乗りは各務原か!おはようさん!」

「お、おはよう綴木君!」

『(滅茶苦茶アオハルの気配が強まっていく……)あれ?名倉と月下は?集合時間まで後2、3分しかないのに……そういえば、大神田先生は何処に?』

「ああ、ミツナリ君のこと?実はね……」

小早川先生曰く、大神田先生は何故かモフモフ仮面としてメルティクルーシブルの解説役に抜擢されてしまったらしい。えっ?主催の人アホなの?一教師に解説役任せるのもそうだけど、咲神高校の歩く対戦車用ミサイルと呼ばれている大神田先生が大人しく解説役に徹する訳ないと思うぞ。現に色々暴れているの見ているし……先が思いやられる。他人でいようかな。

「おはーよーーごーざいまーーす!!」

「おせーぞサユ。また寝坊しやがったな」

「寝坊じゃないもん!ちょっと起きる時間が遅れただけだもん!」

『人はそれを寝坊と呼ぶ』

「す、すいません!遅れました!!」

「ビリは名倉かー。まあ謝っただけヨシとすっか」

『なんで遅刻したんだよ』

「こ、興奮して、寝れなくて……」

「遠足前の小学生かよ」

神谷先輩は呆れ、綴木先輩はおちょくり、各務原先輩は「今度から気をつけてくれればいいからね!」と励ます。月下は神谷先輩から拳骨貰ったのか痛そうに頭を擦っていた。従兄妹とて容赦せぬらしい。

「あっ、みんな久しぶり〜」

『天音さん!!』

「久しぶりね、天音さん……あら、貴方1人なの?」

「リッカ達はちょっと都合が合わないみたいなんですよね〜。まあ決勝戦の日には来れるって言ってましたし」

この人、あたし達が決勝戦に進むこと前提で話進めていない?プレッシャー掛けてない?

「まあ、存分にやりまくれ後輩達!私の作った咲神高校ヴァンガード部の看板は伊達じゃないってアピって来い!信じてるよ、みんな!」

『「「…………はい!!」」』



≪レディースエーンド、ジェントルメェェン!此度はヴァンガード普及協会主催のヴァンガード大会・メルティクルーシブルにようこそ!今年はヴァンガード甲子園の中止というハプニングがありましたが、その熱量に負けないオーディエンス達の熱量が、会場を包みこんでいます!!!≫

見たことある実況の人……思い出した。アクセラレーションとか言って、バイクに乗りながらカードゲームするとんでもねぇアニメのMCそっくり。

≪実況はワタクシ・エクリプス、そして解説には期待の新人・モフモフ仮面が電撃参戦だァァァ!!≫

「あっ、モフモフ仮面?」

「何かダサくね?」

「それな〜」

「つーかショボそう!」

ガヤガヤしてきた……と同時に会場の出入り口の一つからスモークが上がり、仁王立ちのモフモフ仮面が現れる。BGMは某「1つのレギュラーより1つの伝説」をモットーにしている某芸人の入場曲のあの曲。
近くのスタッフだけでなく、さっき自分を小馬鹿にしていた出場者まで小突いていくモフモフ仮面。トドメは何故かいたホムちゃんの部下である三馬鹿トリオを3匹纏めてドロップキックで蹴散らす。今日もカオス。

観客席のどこかからレナのツッコミが聞こえた気がするがスルーしよう。

「子猫の可愛さは、宇宙一ィィィィ!!!」

…………他人のフリしよう。そうしよう。

目にも止まらぬ速さで実況解説ブースへ移動し何事も無かったかのように着席するモフモフ仮面。エクリプスは唖然呆然としていたが、気を取り直して実況へ意識を向けた。

≪さあ皆様、大変お待たせ致しました!!メルティクルーシブル出場チームの入場です!≫

緊張するなぁ……やっぱドキドキする。
……ホムちゃんがプラカードを持つのね。日常的に持っているからしっくり来る。


≪最後のチームは、咲神高校ヴァンガード部!昨年のヴァンガード甲子園では惜しくも3位という成績でしたが、今年こそ優勝を飾ることが出来るのか!?≫

「ちょっと、あれ……想天の令嬢じゃない?」

「嘘だろ、ヴァンガード辞めてなかったのか!!」

「というか、あんな容姿だったか?」

「記憶失ったから自分のこと分かんないんじゃねぇの?」

「つーかファイトの腕大丈夫か?記憶無いんだろ?楽勝じゃねーか!」

「ちょっとは手加減してやれよなー」

「お゙ぃ゙、アイツ等今何つった?馬鹿にしてんだろ、潰すか?」

『何でメンチ切ろうとしてんだよ、お前がキレてどうすんだよ。あたしは気にしてねぇから抑えろ名倉、暴力沙汰はみんなモフモフ仮面で腹一杯なんだよ』

「「「(アレ暴力沙汰って解釈なんだ…)」」」


≪尚、第一試合の前に、エキシビジョンマッチを開催しますので、出場チームの皆様、一旦控え室に移動願います!≫

エキシビジョンマッチ?一体誰が出るんだろ……。



控え室

「あー、緊張した〜!」

「俺的にはいつもの大はしゃぎが無くて助かったけどな」

「う〜、ユタ君の意地悪〜!!」

「綴木先輩達は流石ですね。緊張とか全然無くて堂々としていたし」

「まっ、俺や各務原はサッカーの試合とかでああいう空気は慣れているってのもあるけどな」

「ヴァンガード甲子園じゃないけど、去年の冬の大会なら出たことあるからね」

『去年の冬?』

「高校生限定のヴァンガードの大会があったんだよ。俺の友達にコレ出てみないかって誘われたのもあったし、色々あったけど優勝したんだよ」

「えっ?神谷先輩ってぼっちじゃないんですか?」

直後に神谷先輩から怒りの拳骨を貰った名倉。お前高確率で要らないこと言うよな。うっかりが過ぎるぞ、チヨちゃんレベルで。


≪只今より、エキシビジョンマッチを開催しまぁぁす!!挑戦者は、次元ロボと共に正義を愛し、正義を貫く新米ファイター!羽原シューヤ!≫

エクリプスに呼ばれて入場したのは金色のショートヘアにカフェオレ色の瞳を持った青年。ぱっと見大学生かな。

≪対するは、常にプロファイターを輩出している名門の一員にして、無敗を誇る恐るべきファイター!果たして今回も、勝鬨の雷を轟かせるのか!?人は彼を、雷導の軍師と呼ぶ!≫




栂芽ヒスイ!!!

『栂芽ヒスイ?』

エクリプスの紹介の後、会場に現れたのはアイボリーのショートヘアに翡翠色の瞳の男の人。菫色の着物を纏い、徐ろにファイトテーブルへ向かう。その間にも観客席から黄色い歓声が所々聞こえる。クソデカボイスのファンって何処にでも居るんだな。まあ、端正な顔付きではあるけど……モフモフ仮面は「猫ちゃん連れてこいや!!」とまぁぁったく無関係なシャウトをぶちまける。出禁フラグが立っている。

「よろしくお願いします、羽原君」

「あ、ああ、あの!こ、こここコチラこそ、よ、よよ宜しく、お願いします!!!」


≪両者ファーストヴァンガードをセットし、互いに睨み合い!さあ皆様!!ファイトの開始を告げる、あの言葉をご一緒に願います!!≫

≪よっしゃー!せーので行くぞ、皆の衆!!せーの!!!≫




「「『スタンドアップ!ヴァンガード!!』」」
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