悪女が掘った墓穴
ダメージゾーンに置かれたのはトリガーじゃなかった。よって俺の勝ち……ふぅ、良かった。俺は……ちゃんと、部長らしいこと出来たんだよな?
「やったなユタ!お前ホントスッゲーよ!!」
「ッ、いきなりじゃれつくな!暑苦しいっての!」
「すごいよ神谷君!あの状況から逆転勝ちしちゃうなんて!」
「神谷先輩カッコよかったッス!」
「流石ユタ君!略してさすユタ!」
『月下、流石にその略称は止めとけ。色々アウトだ』
「い、い、いや、いやーーー!巫山戯んな、巫山戯んなよ!!かわいくて最強の主人公であるこの私に無能なデッキ使わせやがって!私は悪くない!こんなゴミデッキのせいで負けたんだ!こんなデッキ、踏み潰してやる!!!」
「っ!やめろ!!」
負けたことに逆上し、乱暴にデッキを掻き集めて踏みつけようとした枸幹。咄嗟のことで反応が遅れた俺達よりも前に出てきたのは……詠導だった。
詠導はデッキを庇うように手を伸ばし、その手は枸幹によって踏みつけられた。デッキは守ることに成功したが、同時に鈍い音がした。恐らく無傷ではないだろう。
『ッ……!』
「詠導!」
「「「詠導(さん)!!」」」
「ミクちゃん!」
「な、何で……!」
『ぐっ……いっってぇな……テメー、何しようとしたッ』
「な、何って……こんなデッキ、ゴミでしかないもん!ゴミはゴミらしく、無様にのたうち回っていればいいのよ!!」
『っ……テッメーー!!』
手を踏まれた痛みに目も暮れず、詠導は枸幹に掴み掛かる。その迫力と怒気に、流石の枸幹もたじろぎ怯えを見せる。
ヴァンガードファイターにとって、デッキは自分自身といっても過言じゃない。枸幹はそれを乱暴に扱った。しかも他人のデッキを借りていた分際で、だ。
負けたのは自分の実力不足が原因であるのは火を見るよりも明らかなのに、それをデッキや作った奴のせいにする。
今ので確信した。枸幹アカネはヴァンガードファイターではないと。
『いい加減にしろよテメー!デッキも自分でマトモに作ろうとしねぇ奴が勝てる程、ヴァンガードは甘くねぇんだよ!この舐めプクソ女!』
「く、クソ女!?アンタ私に向かって―」
『他人にデッキ作らせといて、負けたらソイツのせいにする奴をクソって言って何が悪いッ!あたしは勿論、神谷先輩達は本気でヴァンガードやってんだよ!本気でやっている奴を鼻で笑って、その癖自分の思い通りにいかないのを周りや他人のせいにする……そんな奴に周りの人が優しくしたり、テメーを信用すると本気で思ってんのか?!現実はそこまで甘くねぇんだよ!!』
「う、うるっさい!私は主人公なのよ!この世界は私の為に回っているの!私だけの為に存在するの!なのにアンタみたいな色白ドブスのモブキャラが出しゃばるせいで台無しよ!何でアンタみたいなドブスが周りに頼られたり、暫定イケメンの集団に好かれるのよ!!私は主人公なの!周りから愛されて、イケメン達は私をチヤホヤして、ずーーっと人生イージーモードの筈なのに!!」
「…………その理由は、貴方が一番良く御存知ではありませんか?」
「はあっ!!?」
『リリアちゃん……』
「枸幹様。先程から貴方様の言い分を傾聴していましたが、聴くに堪えない醜聞でございます。何故自分が愛されないのか。それは……貴方様が周りの人々を愛さない からですよ」
「は、はぁっ?」
「周りから愛される存在は、周りの人々が困っていたら手を差し伸べ、見返りを求めずにその人々に尽力する。勿論、考え無しに無闇に助けるのは美徳とは言えませんが。詠導様は損得勘定や保身など考えず、自分に出来る限りのことを遂行する。現に各務原様と綴木様が貴方様達に因縁をつけられている場面で見て見ぬ振りをせずに助け、名倉様に売られたファイトも二つ返事で受け取り、生徒会からのいちゃもんも正々堂々と返り討ちにし、そして……貴方様のデッキを、身を挺して守った。それを見てどうお考えですか?」
「意味不明なんですけど!そんなの知らないし分かんなーい!色白ドブスのやったことと、私のやっていることの違いなんて興味無い!私は私がやりたいことやるんだもん!それに賛同しない馬鹿共なんて、私には必要ないもん!!」
「…………可哀想な方」
「はぁ゙っ?」
「所詮貴方様は自分しか愛せない人。自分しか愛せない人を、周りの人々が手を差し伸べるとでもお思いですか?」
「うるっせぇんだよクソがぁぁぁぁ!!巫山戯んな巫山戯んな!もうアッタマきた!!絶対にここにいる奴等、ぶっ潰してやる!私のこと虚仮にしたアンタ達なんて絶対に潰してやる!」
『テッメー……!!』
「先ずは詠導ミクとその馬鹿共をボロ雑巾みたいにしてやる!私にメロメロなコイツラは勿論、パパとママに頼んで、一族郎党滅茶苦茶にしてやるんだから!あーーっはははははは!!!」
「そうやって他人を使うことで、自分の手を汚さずにいるおつもりですか?本当に浅見短慮な御方」
「くくく、貴方みたいなラトゥン・アップルに誑かされている彼等に同情してしまいますよ。腐り切って何も生み出さない穢れた土壌なのに、馬鹿正直にせっせと水と養分を明け渡しているんですからねぇ」
「無駄な言い訳乙〜!こんなブスで鈍間な雑魚男達なんて、使い走りで十分なの!私みたいな可愛い子に貢げるなんて有り難いでしょ?普通なら見向きもされない奴等に愛想振り撒いているんだから、感謝してもらいたいくらい!使い勝手がよくて都合の良い馬鹿な駒!それしかコイツラに存在意義は無いも〜ん!!」
「……えっ、あ、アカネちゃん?何、言っているの?」
「アカネちゃん……今の言葉、何?」
「俺達のこと……都合の良い駒って、思っていたの?」
「…………………」
「へっ?えっ…あ、あの……えっ?」
漸く夢から醒めたみたいだな。おっせぇけど。つーか、もう帰って良いか?真面目に帰りたい。あっ、ゼクトが縄解いた。自由を手にした取り巻き達はどういうことか枸幹を詰める。
言い繕うにもヨスガがICレコーダーで録音していた音声と小型カメラで撮影していた動画によって言い逃れは出来ない状況。
……今度叶音に持ち運びに便利な録音機や小型カメラ無いか相談しようかな。自衛は大事だし。
「なあ、アカネちゃん!さっきの話どういうことだよ!!」
「俺のこと、愛しているって言ってくれたよね?それも全部……嘘だったの!?」
「君へのプレゼントの為にバイト沢山したのに……巫山戯んなよこのアマ!!」
「ねえ…アカネちゃんに渡したダークイレギュラーズのデッキ覚えている?それに似ているの、近所のカードショップに売られていたんだ……ねえ……アカネちゃん、僕のデッキ売ったの?お小遣いやお年玉はたいて、丹精込めて作ったデッキだったのに……酷いよ!酷い!僕達のこと弄んだの!?」
「ち、違うの、違うんだって!私はただ―」
「何が違うか言ってみろよ!!」
「俺達のこと都合の良い存在としか見てないんだろうが!!」
「言い訳すんなよ、このクソ女!!」
「許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない…!!」
『……うーわー、THE・修羅場』
「はっ…詠導様、早く病院に行きましょう。ファイターにとって、お手々は大事な商売道具でございます。大事があってはいけません。さぁ、早く行きましょう」
「リリアさんの言う通りだよ!行きましょう詠導さん!」
「(あれ?今あの人、お手々って言ったよな?)」
「(お手々……)」
「お手々を合わせて南無三」
「なーむー」
「枸幹に対する皮肉かな?」
リリアさんと各務原によって急かされる詠導。それに続くように俺達も倉庫を後にする。これ以上の面倒事は沢山だ。
天音さんとヨスガとヒビキは枸幹達が逆恨みしないように釘を差す為に残るそうだ。……あれ?ゼクトの奴、何処行った?逃げ足の早い奴だ。
「(メルティクルーシブル……どんな奴が来ようと、俺は俺のファイトをする。俺を頼って慕ってくれる仲間の為に……絶対優勝してやる!!)」
続く
「やったなユタ!お前ホントスッゲーよ!!」
「ッ、いきなりじゃれつくな!暑苦しいっての!」
「すごいよ神谷君!あの状況から逆転勝ちしちゃうなんて!」
「神谷先輩カッコよかったッス!」
「流石ユタ君!略してさすユタ!」
『月下、流石にその略称は止めとけ。色々アウトだ』
「い、い、いや、いやーーー!巫山戯んな、巫山戯んなよ!!かわいくて最強の主人公であるこの私に無能なデッキ使わせやがって!私は悪くない!こんなゴミデッキのせいで負けたんだ!こんなデッキ、踏み潰してやる!!!」
「っ!やめろ!!」
負けたことに逆上し、乱暴にデッキを掻き集めて踏みつけようとした枸幹。咄嗟のことで反応が遅れた俺達よりも前に出てきたのは……詠導だった。
詠導はデッキを庇うように手を伸ばし、その手は枸幹によって踏みつけられた。デッキは守ることに成功したが、同時に鈍い音がした。恐らく無傷ではないだろう。
『ッ……!』
「詠導!」
「「「詠導(さん)!!」」」
「ミクちゃん!」
「な、何で……!」
『ぐっ……いっってぇな……テメー、何しようとしたッ』
「な、何って……こんなデッキ、ゴミでしかないもん!ゴミはゴミらしく、無様にのたうち回っていればいいのよ!!」
『っ……テッメーー!!』
手を踏まれた痛みに目も暮れず、詠導は枸幹に掴み掛かる。その迫力と怒気に、流石の枸幹もたじろぎ怯えを見せる。
ヴァンガードファイターにとって、デッキは自分自身といっても過言じゃない。枸幹はそれを乱暴に扱った。しかも他人のデッキを借りていた分際で、だ。
負けたのは自分の実力不足が原因であるのは火を見るよりも明らかなのに、それをデッキや作った奴のせいにする。
今ので確信した。枸幹アカネはヴァンガードファイターではないと。
『いい加減にしろよテメー!デッキも自分でマトモに作ろうとしねぇ奴が勝てる程、ヴァンガードは甘くねぇんだよ!この舐めプクソ女!』
「く、クソ女!?アンタ私に向かって―」
『他人にデッキ作らせといて、負けたらソイツのせいにする奴をクソって言って何が悪いッ!あたしは勿論、神谷先輩達は本気でヴァンガードやってんだよ!本気でやっている奴を鼻で笑って、その癖自分の思い通りにいかないのを周りや他人のせいにする……そんな奴に周りの人が優しくしたり、テメーを信用すると本気で思ってんのか?!現実はそこまで甘くねぇんだよ!!』
「う、うるっさい!私は主人公なのよ!この世界は私の為に回っているの!私だけの為に存在するの!なのにアンタみたいな色白ドブスのモブキャラが出しゃばるせいで台無しよ!何でアンタみたいなドブスが周りに頼られたり、暫定イケメンの集団に好かれるのよ!!私は主人公なの!周りから愛されて、イケメン達は私をチヤホヤして、ずーーっと人生イージーモードの筈なのに!!」
「…………その理由は、貴方が一番良く御存知ではありませんか?」
「はあっ!!?」
『リリアちゃん……』
「枸幹様。先程から貴方様の言い分を傾聴していましたが、聴くに堪えない醜聞でございます。何故自分が愛されないのか。それは……貴方様が周りの人々を
「は、はぁっ?」
「周りから愛される存在は、周りの人々が困っていたら手を差し伸べ、見返りを求めずにその人々に尽力する。勿論、考え無しに無闇に助けるのは美徳とは言えませんが。詠導様は損得勘定や保身など考えず、自分に出来る限りのことを遂行する。現に各務原様と綴木様が貴方様達に因縁をつけられている場面で見て見ぬ振りをせずに助け、名倉様に売られたファイトも二つ返事で受け取り、生徒会からのいちゃもんも正々堂々と返り討ちにし、そして……貴方様のデッキを、身を挺して守った。それを見てどうお考えですか?」
「意味不明なんですけど!そんなの知らないし分かんなーい!色白ドブスのやったことと、私のやっていることの違いなんて興味無い!私は私がやりたいことやるんだもん!それに賛同しない馬鹿共なんて、私には必要ないもん!!」
「…………可哀想な方」
「はぁ゙っ?」
「所詮貴方様は自分しか愛せない人。自分しか愛せない人を、周りの人々が手を差し伸べるとでもお思いですか?」
「うるっせぇんだよクソがぁぁぁぁ!!巫山戯んな巫山戯んな!もうアッタマきた!!絶対にここにいる奴等、ぶっ潰してやる!私のこと虚仮にしたアンタ達なんて絶対に潰してやる!」
『テッメー……!!』
「先ずは詠導ミクとその馬鹿共をボロ雑巾みたいにしてやる!私にメロメロなコイツラは勿論、パパとママに頼んで、一族郎党滅茶苦茶にしてやるんだから!あーーっはははははは!!!」
「そうやって他人を使うことで、自分の手を汚さずにいるおつもりですか?本当に浅見短慮な御方」
「くくく、貴方みたいなラトゥン・アップルに誑かされている彼等に同情してしまいますよ。腐り切って何も生み出さない穢れた土壌なのに、馬鹿正直にせっせと水と養分を明け渡しているんですからねぇ」
「無駄な言い訳乙〜!こんなブスで鈍間な雑魚男達なんて、使い走りで十分なの!私みたいな可愛い子に貢げるなんて有り難いでしょ?普通なら見向きもされない奴等に愛想振り撒いているんだから、感謝してもらいたいくらい!使い勝手がよくて都合の良い馬鹿な駒!それしかコイツラに存在意義は無いも〜ん!!」
「……えっ、あ、アカネちゃん?何、言っているの?」
「アカネちゃん……今の言葉、何?」
「俺達のこと……都合の良い駒って、思っていたの?」
「…………………」
「へっ?えっ…あ、あの……えっ?」
漸く夢から醒めたみたいだな。おっせぇけど。つーか、もう帰って良いか?真面目に帰りたい。あっ、ゼクトが縄解いた。自由を手にした取り巻き達はどういうことか枸幹を詰める。
言い繕うにもヨスガがICレコーダーで録音していた音声と小型カメラで撮影していた動画によって言い逃れは出来ない状況。
……今度叶音に持ち運びに便利な録音機や小型カメラ無いか相談しようかな。自衛は大事だし。
「なあ、アカネちゃん!さっきの話どういうことだよ!!」
「俺のこと、愛しているって言ってくれたよね?それも全部……嘘だったの!?」
「君へのプレゼントの為にバイト沢山したのに……巫山戯んなよこのアマ!!」
「ねえ…アカネちゃんに渡したダークイレギュラーズのデッキ覚えている?それに似ているの、近所のカードショップに売られていたんだ……ねえ……アカネちゃん、僕のデッキ売ったの?お小遣いやお年玉はたいて、丹精込めて作ったデッキだったのに……酷いよ!酷い!僕達のこと弄んだの!?」
「ち、違うの、違うんだって!私はただ―」
「何が違うか言ってみろよ!!」
「俺達のこと都合の良い存在としか見てないんだろうが!!」
「言い訳すんなよ、このクソ女!!」
「許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない…!!」
『……うーわー、THE・修羅場』
「はっ…詠導様、早く病院に行きましょう。ファイターにとって、お手々は大事な商売道具でございます。大事があってはいけません。さぁ、早く行きましょう」
「リリアさんの言う通りだよ!行きましょう詠導さん!」
「(あれ?今あの人、お手々って言ったよな?)」
「(お手々……)」
「お手々を合わせて南無三」
「なーむー」
「枸幹に対する皮肉かな?」
リリアさんと各務原によって急かされる詠導。それに続くように俺達も倉庫を後にする。これ以上の面倒事は沢山だ。
天音さんとヨスガとヒビキは枸幹達が逆恨みしないように釘を差す為に残るそうだ。……あれ?ゼクトの奴、何処行った?逃げ足の早い奴だ。
「(メルティクルーシブル……どんな奴が来ようと、俺は俺のファイトをする。俺を頼って慕ってくれる仲間の為に……絶対優勝してやる!!)」
続く