悪女が掘った墓穴

ルイン視点

えー皆様、大変不味いことになりました。まさか枸幹アカネにグレちゃまが憑依するなんて思いもしなかった……ヨスガちゃんマジでどうしてくれんの。何で仏手柑を剛速球ストレートしちゃったの?えっ?蜘蛛は柑橘類の匂いが大嫌いだから、駆除に最適そうだから投げた?確かに事実だけど当たったのは枸幹だよ!!
「俺、また何かやっちゃいました?」系の主人公か!!


「ふむ、これが人間の肉体か……見るからに脆そうじゃの。後、変に臭くて堪らん」

「……臭い?」

「此奴、味見が趣味らしいぞ?」

「…………それ以上は聞かねぇからな」

ああああ、枸幹の目の色が薄藤色に……ヤバいヤバいヤバい!グレちゃまが憑依するとか聞いてない!こうなったら私でも無理!ユタ君、絶対に勝ってーーー!!

「察しの良い者は嫌いじゃないぞ。さて、ダメージチェック……ゲット、ヒールトリガー。ダメージ1枚回復。パワーはVに」
ダメージ:3→2→4 ダメージチェック:ウォータリング・エルフ(治)、ケラ
回復したカード:パドミニ
パワー:23000
山札:31枚 ドロップ:4枚(トリガー1枚)

「……プラント・トークンのブースト、オリヴェルでVにアタック」
パワー:30000

「フルーツバスケット・エルフでガードじゃ」
手札:6枚 シールド:33000


「……ターンエンド」
手札:7枚 山札:30枚

「わらわのターン……その程度で出し抜けると思おうっておるなら…そなたとその植物達ごと、食い尽くしてやろう」
手札:7枚 山札:30枚

「ッ……!」

「フッ…面白いカードを持っておるの。退屈凌ぎにはなりそうじゃ。ライド。メイデン・オブ・チラリア」
手札:6枚 ソウル:4枚

何あのユニット…見たことないカードなんですが……黒百合の、花乙女?
ゾッとするような妖艶さを醸し出す金色のメッシュ入り黒髪ロングの乙女……黒百合って、虫さん集める為に強い臭いを放つって本で読んだ事ある。枸幹に対する皮肉か?

「何であんなユニット入れているんだよ!?」

「ヒヒッ、愚女にしては少しはやる方ですね……ああ、デッキを作った人に言うべきことでした」

「イマジナリーギフト・フォースⅠをVに。チラリアのスキル発動。CB1、手札を1枚捨て、Rを1枚以上望む枚数退却させ、退却させた枚数分、プラント・トークンを1枚コール。3枚以上退却させたなら、コールされたプラント・トークンと自身のパワー+10000。5枚退却させたなら、代わりにパワー+20000、自身のドライブ+1」
手札:5枚
フォースの配置位置:中央前列×2
裏にしたカード:ウォータリング 捨てたカード:スタンドピオニー
チラリアのパワー:53000(フォース込み)
プラント・トークンのパワー:25000
ドロップ:8枚(トリガー1枚)

「なっ……」

「あんなカードアリかよ!?」

「インチキ効果も大概にしろーー!!」

左右縦列のパワーは50000。チラリアは53000にブーストが付けば73000……デッキ作った奴、どんなルートでこんなカード手に入れやがった!!

「ふふふ、そこで見ているが良いルイン。お主の後進の1人が、無残に踏み躙られる様をな」

「……随分言ってくれんじゃん。私が作った咲神高校ヴァンガード部にいてくれる後輩達は、ちょっとやそっとじゃへこたれないんだから!」


……どうすればいい?ここを防いだとしても、この手札じゃ……。俺は咲神高校ヴァンガード部の部長だ。俺に居場所を作ってくれた、守るべき場所……。


≪神谷君って冷たいよね。いつも素っ気なくて嫌な感じ≫

≪綴木君も嫌々付き合っているんじゃない?幼馴染みだからさ≫

≪植物しか興味無いってお高くとまっていててムカつくよね〜!≫

≪ホントホント!綴木君や各務原さん居なかったら、ヴァンガード部なんてとっくに潰れていたのに!≫



「(……嫌な記憶が、こんな時に蘇る。ガキの時からずっとこうだった。他人に期待しないことで自分を保っていた。今だってそうだ…………俺が負けたって、どうせ―)」




「しっかりしろユタ!お前はお前のファイトをすれば良い!何時だってそうだっただろうが!!」

「コウ……?」

コウ君の叱咤が飛ぶ。目を見開いて固まったユタ君。続けてツツジちゃん達もユタ君を応援する声が上がる。
そうだよユタ君……君は独りじゃない。君のことを信用してくれる「仲間」がいる。それだけで、何でも出来る力が湧いてくるの!
大切な人が一人でもいるだけで、人は何だって出来る、そんな無限の可能性を秘めた生き物なんだから!!


「……ハッ、ハハハハハッ、下らない。今更この圧倒的不利な状況を、たかが声援如きで引っ繰り返せると思っているんですか?根拠も確証も何も無い、無駄な足掻きですよ」

「無駄なんかじゃねぇ!!」

「あなたの勝手なイメージで、神谷君を馬鹿にしないで!!」

「そうだそうだ!ユタ君を馬鹿にすんな!ばーーか!」

「陰険なテメーに神谷先輩の何が分かるんだよ!ばーーか!」

『無駄かどうかなんてお前に言われたくねぇわ、ばーーか!』

「「ばーーか、ばーーか、ばーーか」」

「なしてみんな馬鹿のオウム返ししとーと?罵倒の語彙力が小学生レベル?」

「お決まり……ですかね?」


「(そうだ……彼奴等が、疑い深くて無愛想な俺を、部長らしくさせてくれる。小さい頃から植物だけが支えで心の拠り所だった俺に、ヴァンガードを教えてくれた幼馴染みのコウ。昔の俺に似ていて放っておけなかった各務原。植物に対して同じ考えを持つクラスメートの桃井。俺に部長とは何たるかを説いてくれた環鳥さんと紅園さん。俺を、信用してくれる詠導達……俺は簡単に人を信用出来ない。この性格は多分一生変わらない。それでも俺は、俺を信用してくれる奴等の為に……勝ちたいッ!!)」

「さて、このアタックはどうする?」

「ブロッサムレインで完全ガードだッ!!」
手札:5枚 捨てたカード:フルーツアソート
ドロップ:4枚(トリガー2枚)


トリプルドライブで引いたのはブロッサムレイン、ダニエル、パドミニの3枚。トリガー効果は全て左前列のプラント・トークンに与えられる。左のパワー70000とクリティカル2のプラント・トークンのアタックはノーガード。
ダメージチェックでトリガーは出なかったけど、右のパワー50000のプラント・トークンのアタックはオリヴェルとトークンのインターセプト、クイックシールドとダンガン・マロンで守り切った。

「凌ぎおったか……ターンエンド。そしてチラリアはアタックされた時、プラント・トークンを2枚まで退却させることで、退却させたトークン1枚につき、自身のパワー+10000。つまりシールド20000も可能。この守り……お主の植物達で、突破出来るかえ?」
手札:9枚 山札:26枚

「ッ……」
手札:3枚 
山札:28枚 ドロップ:7枚(トリガー3枚)

「ゆ、ユタ君……!」

「ユタ……やってやれ!ぶん殴ってやれ!」

確かにユタ君は耐えた……でもその代償は大きい。グレちゃまの手札は9枚。しかもチラリアのスキルで、パワーの底上げは大前提。
その上完全ガードまである……それでも私はユタ君が勝つって信じるよ。なんたってユタ君は咲神高校ヴァンガード部の部長なんだから!!
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