先輩の矜持、狐面の暗躍
「そんな……!」
『実質トリプルドライブじゃねぇか!!』
「1回目!1枚ドローして、パワーはヒミコに!2回目!1枚ドロー、パワーはシタテルヒメに!3回目!1枚ドロー、パワーはヒミコに!白筆の魔女 アーティクをコール!アーティクのスキル、登場時山札の上から2枚見て、1枚をソウルに置き、1枚を山札の上に置く……フフフッ」
手札:7枚 ソウル:4枚
ヒミコのパワー:33000
シタテルヒメのパワー:20000
山札:21枚 ドロップ:10枚(トリガー3枚)
「ッ……!」
意味深な笑みを零すルリカに警戒心を強めるツツジ。彼女の手札は7枚、内1枚は幻夢の六花。だが目の前の相手の猛攻を凌げるのだろうかと、何処か心許ない表情になってしまう。
「あがががが!!!」
「各務原先輩ッ!」
「さあ、断罪の時間よ!スアデラのブースト、神託の女王 ヒミコで…夢幻の風花 シラユキにアタック!アーティクのスキル、グレード3以上のVがアタックした時、V1枚と自身のパワー+5000!合計パワー48000!!」
ヒミコのパワー:48000 ☆2
アーティクのパワー:13000
山札:21枚
「ッ……!」
ヒミコのアタックが宣言された直後、ツツジの脳裏に浮かんだのは……信頼していた仲間に手酷く裏切られた「苦い記憶」。
1年前のこと。ツツジは咲神高校サッカー部のマネージャー志望として部室のドアを叩いた。マネージャーとしての仕事を熟し、次第にサッカー部にとって、ツツジは無くてはならない存在になっていた……その堅い信頼が、跡形もなく崩れる日が来ることを知らぬまま。
ある日サッカー部の部費が盗まれる事件が発生。部員達から集めた部費を指導者に渡す係はマネージャーであるツツジであった為、疑うのは自然なことであった。
だがツツジは部費が入った封筒はロッカーの中に入れ、鍵を掛けてからその場を離れたと証言。顧問の先生も彼女のアリバイと無実を証言するも、部員達は一方的にツツジを糾弾することを止めなかった。
「嘘を吐くな」
「仲間を疑うのかよ!」
「管理を怠った君が悪いだろ!」
「マネージャーの癖に口答えすんのかよ!」
「だから俺は女子のマネージャーなんて入れるの反対したのに!!」
サッカー部の面々から無実の罪を着せられ、謂れのない言葉を浴びせられ続けた日々。それでも彼等の所業を受け流し、仲間として支えようと頑張れたのは……自分の無実を信じ続け、彼等から身を挺して護ってくれた
それでも滔々心が限界に達してしまい、部活に顔を出せなくなってしまった。これ以上彼に迷惑を掛けられないと、退部届を顧問の先生に提出。顧問からは「君は賢い選択を、いいえ…最善の選択をしたと思います。自分を守る為の行動を、自分で決められたんですから」と優しい声で励まされ、顧問の隣にいたコーチからは「お前が罪悪感や後ろめたさを感じることは一切ない……指導者としても、大人としても……助けてやれなくて、本当に済まないッ」と震える声で謝罪された。
大人である2人も又、自分の無実を信じてくれたんだと知れただけでも充分だった。
すると突然、職員室の引き戸が勢いよく開かれる。そこに現れたのは、少々息遣いが荒く、額から汗を流しているコウだった。
「綴木!!お前何で?!」
「綴木君!廊下を走ってはいけないとあれ程―」
「コーチ!先生!一身上の都合で、俺は今日限りでサッカー部を辞めます!明日から咲神高校ヴァンガード部に入ります!そんでもって、各務原をヴァンガード部のマネージャーに……えっ、各務原ッ!?」
「あの、綴木君……サッカー部を、辞めるの?」
「そう!辞める!退部する!明日からヴァンガード部の子になる!」
「お前みたいな息子は要らねぇよ」
「酷ッでぇ言い草だなユタ!マネージャーはいた方が色々都合良いだろ!」
「…………本当にサッカー部を辞めるんだな、綴木」
コーチが厳しくも悲しそうな声色で告げる。それに対し、コウは力強く頷いた。
マネージャーのツツジだけでなく、フィールド外では明るいムードメーカー、試合では優秀な
2人の退部を無かったコトにしたいという考えが無いと言えば嘘になる。だがそれは、部員達の愚行を止められなかった責任から逃げる行為でしかない。
自分が彼等にしてやれるのは唯一つ―彼等の選択を、これから歩いていく未来を、陰ながら見守り支えることだと結論づけた。
だからこそ、彼はコウとツツジに笑顔で告げた―「新しい部活でも、楽しむコトを忘れるなよ!」と。
サッカー部を退部してから数日後、コウやユタと一緒に帰ろうとした時、部費を盗んだ真犯人―サッカー部の1人から謝罪された。父親が交通事故で入院し、それとは別の事情で今直ぐにでもお金が必要な状況になってしまい、「魔が差して」盗んでしまったことを告白。このことは顧問やコーチは勿論、サッカー部の皆や家族にも全て包み隠さず話したことも告げられた。
許されるつもりはない。どんなに詰られようと罵られようが、それ相応の罪なんだと覚悟している。
それでも自分へのケジメとして、無実の罪を着せてしまったことへの謝罪をしたい。
そう告げた後、彼は3人の前で土下座をした。嗚咽を漏らしつつ、辿々しくもハッキリと謝罪の言葉を口にする。
それに対しコウは「今更謝るのかよ……遅えんだよ、何もかも」と複雑そうな顔をし、ユタは「どうせ自己保身だろ。帰るぞ各務原」と此処から離れることを催促してくる。
彼を今直ぐ許そうとは思えない。理由は同情出来るが、自分が受けた傷が彼1人の謝罪で打ち消せるモノでもない。それでも……
ツツジは徐ろに土下座している男子生徒に近付く。足を止めてしゃがんだ後、男子生徒に手を差し伸べる。
「謝ってくれてありがとう。だから……顔を上げて」と優しい声を添えて。
各務原ツツジは……彼を「赦すこと」を選んだ。
その選択をコウは頬を掻きつつ苦笑いをし、ユタは呆れた様な顔で見届けていた。
「(最後まで私を信じてくれた綴木君。退部を選んだ私を一切責めずに見送ってくれた顧問の先生やコーチ。真実を話して、私に謝罪することを選んだ■■君。私や綴木君を受け入れてくれたヴァンガード部の皆。そして……見ず知らずの私達を助けてくれた詠導さん。私は、周りの人に沢山助けられてきた。だから今度は―)」
私が、みんなを助ける番なの!!
「リーブスミラージュで完全ガード!」
手札:5枚 捨てたカード:ジャコツガール
ドロップ:8枚(トリガー2枚)
「ぐっ、まだよ!ツインドライブ!ファーストチェック、ゲット!ヒールトリガー!パワーはラモニスに、ダメージ1枚回復!セカンドチェック……ゲット!ドロートリガー!パワーはラモニスに、1枚ドロー!」
手札:10枚 ドライブチェック:アスクレピオス、クシナダ
ダメージ:3→2 回復したカード:アスクレピオス
ラモニスのパワー:30000 ☆2
山札:19枚 ドロップ:11枚(トリガー4枚)
『ダブルトリガー!?』
「シタテルヒメでアタック!」
パワー:20000
「(受けるなら、ココ…!)ノーガード!」
ダメージ:4 ダメージ:レディ・シルエッタ
山札:30枚
「はあ、はあ、よく耐えたわね……でもこれで終わりよ!アーティクのブースト、ラモニス!スキル発動!ソウルのククリヒメを選び、そのトリガー効果を発動する!効果は全てラモニスに!パワー53000、クリティカル3のアタックを食らいなさい!!」
パワー:53000 ☆3 裏にしたカード:シタテルヒメ