悪女退治は突然に

ユタ視点

何か騒がしいな……クラスメートから「大変だぞ神谷!綴木と各務原さんがあたおか女に付き纏われている!!」と言われた神谷ユタこと俺。
体育館で俺が見たのは、誰かがヴァンガードファイトをしている。コウと各務原の前にいるファイターは……!


「詠導、ミク……。」

ヴァンガードの情報雑誌に載っていた「稀代のエンジェルフェザー使い・想天の令嬢」としてプロ入りも約束されていた女子ファイターだった。
雑誌では下ろしていた長い赤髪はツインテールにしており、金色と水色の異色の両目ヘテロクロミアからは、包容力ではなく燃え滾る闘志が溢れていた。

「(事故の後遺症で記憶が全部すっ飛んでプロ入りがパァになった。って雑誌には載っていたけど、まさか性格まで変わっているとは……。)」

「あれが詠導ミク?何つーか…イメージ違くない?前は大人しくて控えめなイメージだったのに……元気っ娘っていうか、じゃじゃ馬?それっぽくない?」


叶音お前いつの間にここに来たんだよ……というかコイツ、詠導のファンなのか?

「ファンって程じゃないけど知ってはいるよ。俺の兄さんエンジェルフェザー使いだから、デッキの回し方の参考として彼女のファイト動画や情報一緒に見ていたから知っているだけ。」

叶音って兄貴いるのか……俺やサユは一人っ子だし、兄貴がいるのはコウだけだな。各務原は……確か姉貴が2人だったか。
対戦相手は枸幹アカネ……前にホムちゃんが「確か枸幹アカネと書いてクソビッ◯って読むんだろ? (゜∀。)ワヒャヒャヒャヒャヒャヒャ」といきなり下ネタぶっこむ程の悪い噂がある女子生徒じゃねぇか。アイツこの前はロイヤルパラディン使っていた気がするんだが……やっぱり「噂通り」か。

「想天の令嬢なんて、私の敵じゃないのよ!私のターン!エンブレム・マスターにライド!エンブレム・マスターのスキル、登場時CB1、ユニット1枚を選び、山札かドロップからそれと同名カードを3枚まで選びソウルに置く!ヴァリアンツ・キラーテイルを選択!キラーテイルのスキル、自身を【レスト】することで、ドロップかダメージゾーンから1枚選びソウルに置く!裏にしたデーモンイーターをソウルに置き、山札の上から1枚をダメージゾーンに裏で置く。ソウルに同名カードが3枚あるなら、CCカウンターチャージ1と自身を【スタンド】!」
手札:6枚 ソウル:6枚
ダメージゾーン:ドリーン、ヴァリアンツ・シャットアーム

『ダメージゾーンからソウルに置くだと!?』

「ダメージゾーンに干渉出来るのはあんたのエンジェルフェザーだけじゃないんだから!あーっはははは!」

「いいぞーアカネちゃーん!」

「ああ、僕の作ったデッキをアカネちゃんが使っている…!この上なく嬉しいよッ!!」

「チクショー!なんて羨ましいんだ!!」

「アカネちゃん!今度は俺のデッキ使ってよ!!」

「え〜、どうしようかな〜?」

『うっわ、絶望的にイテェ女。』

「あ゙ぁん!?今なんつったよ色白ドブスが!!」

『(あっ、ヤベ。本音出ちゃった。)……で?展開終わりか?』

「あんた馬鹿なの?まだ行くわよ!純愛を後列に移動、デモンテッド・エクセキューショナー、2枚目の純愛をコール!純愛のスキル、山札の上から5枚見て……やっぱり私こそ主人公よね!グーリッシュ・ディスポイラーを手札に加える!手札から捨てるのはクイックシールド!デモンテッドのスキル、登場時CB1してSCソウルチャージ3!この時トリガーユニットをSCしたなら1枚ドロー!」
手札:5枚 ソウル:9枚
捨てたカード:クイックシールド 裏にしたカード:ドリーン


「これで枸幹さんのソウルは9枚……。」

「ダークイレギュラーズのスキルの有効範囲内に到達したか。」

「……まあ、及第点ってところじゃない?」

「言っていること結構キツいぞ叶音。」

「そう?兄さんの友達にダクイレ使いいるけど、あの人ならもっと効率的にソウルを溜められるし。」

コイツ、ズケズケいうタイプか…まあ、俺も同じこと考えていたけど。

「純愛のサキュバスのスキル、カードの能力でソウルにカードが1枚以上置かれているなら、自身のパワー+5000!純愛のサキュバスでアタック!」
パワー:13000

『ノーガード。』
ダメージ:3 ダメージゾーン:ノキエル、ハイジーニスト、スケーリング

「キラーテイルのブースト、エンブレムでVにアタック!」
パワー:15000

『サリエルとピンキー・デンチュリストでガード。』
手札:5枚 シールド:29000

「ドライブチェック、ゲット!ドロートリガー!パワーはデモンテッドに、1枚ドロー!トリガー出ないと思った?残念ねぇ!!」
手札:7枚 ドライブチェック:悪夢の国のマーチラビット(引トリガー兼守護者)
エグゼキューターのパワー:19000

『………………。』

「純愛のブースト、デモンテッド!身の程知らずの色白ドブスに、4枚目のダメージを与えるのよ!」
パワー:32000

『……ノーガード。』
ダメージ:4 ダメージゾーン:ノキエル、ハイジーニスト、スケーリング、秀逸なる執刀バスカーサ―ジャン アスファエル

「ターンエンド!グレード3に乗る前にダメージ4とか、何やったって負けじゃない!これ以上頑張ったって無駄だし、諦めなよ。アハハハハ!」

コイツ……舐めプにも程あんだろ。それに枸幹の後ろにいる奴等も口々に「そうだそうだ!」、「どうせアカネちゃんに負けるんだから今すぐやめろ!」、「モテないからって僻むなよな!」、挙げ句には「エンジェルフェザーなんか負けクランだろ!!」とかほざきやがる……むかっ腹が立っていると詠導が深呼吸した後、静かに言い放った。



『黙ってみてろよ、ノータリンのトーシロー共。』

言い放った瞬間、詠導の背後からとんでもねぇ重圧と怒りが枸幹とそのガヤ共に襲い掛かる。怖っ。後輩だけどあまり怒らせないようにしとこ。

『そんなに見てぇなら見せてやるよ!エンジェルフェザーが負けクランとか、つまんねーイメージぶっ潰す位のあたしのファイトを!』

「ムカつく……!」

『あたしのターン!揺るがない信愛を胸に、悪鬼羅刹を叩き斬れ!神託の守護天使プロフェシー・セレスティアル レミエルにライド!イマジナリーギフト・プロテストワン!』
手札:6枚 ダメージゾーン:ノキエル、ハイジーニスト、スケーリング、アスファエル

「グレード3に乗ったくらいで調子に乗らないでよね!私のダメージは2、アンタは4!どう見ても私が―」

『黙ってろ。』

「ひっ……!」

『(ワニゾーから貰った転生者特典がこんな所で活かされるとは……。)ラグエルをコール!手札から登場時CB1、ドロップゾーンからスケーリングをコール!スケーリングのスキル、ダメージゾーンのノキエルをソウルに置き、ドロップゾーンからイオフィエルをダメージゾーンに!更にイオフィエル、ベリフルメッズ・エンジェルをコール!イオフィエルのスキルは使わねぇ!』

「ダメージゾーンをちょこまか入れ替えやがって……うっぜんだよ!」

『ベリフルメッズのスキル、自身をソウルに置き、ダメージゾーンのアスファエルと手札のラグエルを入れ替える!』
手札:4枚 ダメージゾーン:ハイジーニスト(裏)、スケーリング、イオフィエル、ラグエル

ダメージゾーンをRの同名カードにしていく……何を仕掛けるつもりなんだ?
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