片翼の転生者

小南によって校舎を案内されて終わった1日目。2日目、3日目と何ら代わり映えのない日常を送っていたあたし。……まあ、休み時間にちょこちょこ色々聞かれたけど。

『さーて、我が家に帰るか……?』

何か廊下が騒がしいな……薄茶色のショートヘアにターコイズブルーの瞳(縁の色がバーガンディーのウェリントンタイプの眼鏡を掛けている。)の男子生徒と灰桜色のサイドテール(正面から見て左側。)に紅紫色の瞳の女子生徒に5人組が屯していた。
カップルに因縁付けている僻み集団か?……あれ?ピンク色のセミロングにアクアの瞳……何かどっかで見たことある奴がいる。

「何よ、見せもんじゃな……あっ!あんたこの前の色白ドブス!!」

『げっ、この前天音さんにボコられた痛女じゃねぇか。確か名前は……小物アカネ?』

「枸幹アカネだよ!!」

『あー、そうそう。そんな名前だったな……で?お前何やってんの?取り巻きだが下僕だか何か知らねぇ男子達引き連れて、リア充に因縁つけるのがマイブームか何かですかコノヤロー。』

「そんなんじゃないわよ!何よ、あんたも私の逆ハー展開邪魔する気!?」

『する気もねぇし興味もねぇ。とりあえず退け。邪魔だ。』

「おい!アカネちゃんになんて口聞いてやがる!」

「アカネちゃんの邪魔するな!」

『みんなの廊下で屯して通行妨げているアホ共に言われたくはねぇわ。』

「あ、あの……助けて下さい!!」

『ん?』

「頼む!コイツ等どうにかしてくれ!」

『えぇ……お宅等、どちらさん?』

「俺は綴木コウ!2年だ!」

「私は……各務原ツツジ。綴木君の隣のクラスで2年生。」

『ほうほう……あたしは詠導ミクっていいます先輩方!!』

あー、巻き込まれてしまった……コレはもしや、やれやれ系主人公?ってポジになるのかあたし。
詳しい事情を聞くと、枸幹アカネは自分の逆ハー軍団(バチクソダセェ名前)に男子生徒を勧誘してきて、それをキッパリ断るも今の今まで軍団に入るように迫られていたようだ。
しかもその逆ハー軍団の1人はサッカー部の部員で、綴木先輩達をサッカー部に連れ戻そうとしているとか。綴木先輩曰く、「マネージャーだった各務原の言い分も聞かずに濡れ衣着せて、追い出した部員達に背中を預けられるか、バーカ!」だそうで。

ええ……自分達の手で追い出した癖に、今更戻れって?馬鹿なの?自己中じゃん、ジコチュー。
サッカー部に限らず、マネージャーって目茶苦茶体力や精神力を使うのに……誠心誠意尽くしていた各務原先輩を信じないで、勝手に犯人扱いしていた癖に、今更だけど戻って来て……ってコトっ!?
いやぁ……彼奴等マァジで馬鹿なの?ここはバカの見本市なのかなー?知らんけど。


『事情は良く知らんが、拒否の姿勢を取っているんだから、大人しく散れ。諦めろ。他探せ。』

「うるせぇ!俺やサッカー部の皆だって、一方的に各務原を疑ったのは悪いと思っているんだよ!それに各務原や綴木がいなくなってもやっていけると思っていたのに―」

『自分達が2人に頼り切っていたっていう事実を嫌でも知ったってか?』

「なっ……!」

『さっきから黙って聞いてりゃ、テメー等の勝手な都合で綴木先輩達追い出しといて勝手なこと言いやがって!追放もののポンコツ勇者パーティーかッ!!』

「いやポンコツ勇者パーティーとか滅茶苦茶的確過ぎだわ!アーハハハッ!」

「綴木君笑い過ぎ……。」

「ほむーー!!」
訳:何しとんじゃワレーー!! ヽ(`Д´)ノ

「ぐべあぁぁ!!」

高速移動をしたホムちゃんが枸幹アカネを廊下の突き当りまで叩き飛ばし、枸幹アカネはギャグ漫画の如く壁に叩きつけられ目を回す。ホントにここギャグ路線の世界で良かったな。な◯う系や異能力バトルものだったら死んでいた。

「アカネちゃぁぁぁん!!」

「ほむ、ほむほーむ。」
訳:なんだクソビッ◯の三文お遊戯会か。ケッ、つっまんね。 (`・д・)、ペッッッ 

ホムちゃんさっきとは違って口悪くない?顔がそのまんまなのも又別の意味で怖いんだけど……。後クソビッ◯はお下品だからやめなさい!


「この私にこんな辱めをさせるなんて……絶対に赦さない!!そこの色白ドブス!私とファイトしなさい!!私が勝ったら、綴木先輩は私の逆ハー軍団の一員にしてあんたは奴隷よ!」

『ならあたしが勝ったら、潔く綴木先輩と各務原先輩に付きまとうのを止めろ!!』

「フン、いいわよ!どうせ私が勝つんだから!!」

「お、おい、勝手にそんな―」

『上等だコラ!テメーの腐った根性叩き治してやる!!』


こうして、あたしは転生してから初めてのファイトをすることになった。しかもな◯う系に有りがちな勘違い女と。
まあ……肩慣らしには丁度いいか。やるぜエンジェルフェザーのみんな。そして……絶対に迎えに行くからな、ファヌエル!!


続く
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