レアイベ発生!?
毅然と、それでいてハッキリとした言葉で宣言したミク。それを控え室から聞いていたユタは静かに拍手をする。彼に続くようにコウ、ツツジ、サユ、イズモ、そしてサトミも拍手をしていく。
すると観客席から1人、また1人と彼女を讃えるような拍手が聞こえる。ルインはそれに対し「よく言ったね!流石私の可愛い後輩!!」と彼女をベタ褒めし、エリーとヨスガは「今の演説聞いて反省しろ!!」と先程締め上げた永蓮翠華を叱咤していた。
だがしかし、正論が必ずしも全ての人の心を掴む訳では無い。現に永蓮翠華の1人がミクに吠えた。綺麗事をほざくなと。
「お前にヒワ様の何が分かる、詠導ミク!ヒワ様がこの日の為に、どんなに血の滲むような努力をしたか!生まれ持った天賦の才能に胡座を掻いて、物珍しい容姿ってだけで周りからチヤホヤされて、苦しみや悩みなんて知らないでぬるま湯に浸って運よくイージーモードで生きてこれただけの運ゲー女の戯言なんて、重みも価値も何にもないんだよ!!」
『…………ふーん。じゃあ、アンタはあたしの何を知っているって言うの?』
「へっ???」
『コッチが大人の対応として黙って聞いてれば、調子乗って好き勝手言いやがって……人生ぬるま湯に浸ってイージーモード?はぁ〜、随分言ってくれんな。じゃあさそんなに言うなら、蒼森とあたしの人生交換してくんない?あたしは別にいいよ』
「えっ、あ、そ、いや……僕は別にそんなつもりで―」
『現在進行形でイカれた野郎共に集団ストーカーされていて、自分のことをこの世界の主人公だと思い込んでいるあたおか女とその取り巻き共に毎日喧嘩売られて毎日ファイトでソイツ等ボコって、昨日その集団ストーカーの1人に連れ去られ、あわや監禁エンド待った無しの運命辿りかけたあたしと、アンタが異性として好きで好きで好きで堪らない蒼森ヒワの人生交換してくんね???』
「ひっ……!!」
ニッコリと、それでいて「逃げるなよ?」と重圧を掛けに掛けまくる「笑顔」を作るミク。その笑顔はゴーストへ向けた例の笑っていない笑顔を5倍くらい濃縮した程の怒りで満ちている。
それを間近で見ていたヒワの顔は顔面蒼白からの灰白色からの土気色に変化し、彼女を庇っていた永蓮翠華の少年はあまりの恐ろしさに腰が抜けて鼻水と涙でグチャグチャの顔に、ルインとエリーは「ゲス野郎は赦さぬ!!!」と地獄の底から閻魔大王を強制的に呼び寄せ自身に憑依。ヨスガは大欠伸をしていた。
「しゅ、集団ストーカーだと!?け、警察には被害をちゃんと言ったか詠導殿!!」
『自宅への贈り物や危害を加えない監視だけでは派手に動けないらしい。一応巡回の強化はしてくれている……お巡りさんって大変だよな』
「よっしゃ、実力行使やったろ」
「エリーちゃん待ちなさい。その釘バット、何処から?」
「ロキメデコンビから!!」
「よーしロキメデコンビは後で説教ね!」
「「げげっ!!」」
「コーヒー美味え」
「ここだけ世紀末の倫理観なんですか、栗花落さん」
「春秋、もう考えるな。ルインはな、俺達の想像の斜め上からスコーピオントラップから何かやべぇシュートぶち込むイカれた存在なんだよ!!」
「ブ◯ロ面白いよな。因みにおれの推しはお嬢だ」
「栗花落先輩は何の話してんだ春秋」
「さ、さぁ?俺にもさっぱり……」
一方ミクの身の上話を聞いた観客席からは様々な声が聞こえてきた。
「あの子、ストーカーされているの?」
「それなりに有名人だったもんな」
「記憶無いのにやっかまれるとか災難だよ〜」
「強いからってあんな風に馬鹿にするのは違うだろ!!」
「詠導さん、嫌がらせに負けないでね!!」
「「「俺達、ミクちゃんのこと応援するから!!」」」
「詠導ちゃんは詠導ちゃんだいね!私、詠導ちゃんのこと一生応援するにゃーで!!」
「ミクちゃーん!私やレナちゃんは、何時だってミクちゃんの味方でいますからねぇぇぇ!!」
彼女を心配する声、彼女の今を鼓舞する声、そして記憶を喪った自分を慕ってくれる「友達」の声が響く。ここにミクを異物と扱う者は……観客の中には誰一人としていない。
『…………(この世界は、今のあたしを受け入れてくれないかもしれないって心の何処かで割り切ろうとしていた。万人に好かれるなんて有り得ねぇってことは、前世でよく知っている。それでもあたしを受け入れてくれる人がいるってことを知れただけでも、不思議と力が湧いてくる……)』
「………………」
『(なあ、この世界のあたし。どっかで見ていてくれよな。お前がやり残したことはよく分かんねぇけどあたしは…この世界であたしを、詠導ミクを貫くぞッ!!)』
俯きながらも左手で胸の心臓辺りで拳を握り、右手の拳を天高く突き上げるミク。彼女に歓声と賛美を送る観客達。正義を掲げる勇者を讃え祀り上げる群衆。力を失いながらも前に進む美しき勇者。そんな勇者の姿を傍観しているモノ達。
それを見たルインは「最初から仕組まれていたような気持ち悪さ」を覚える。彼女の為だけの舞台装置が、見えない間に糸を引いていたのかと。
「(これもアイツの…栂芽ヒスイ の掌の上ってか。巫山戯んな。あの子は見世物でもアンタの所有物でもない。詠導ミクは何処にでもいる1人の女の子であり、エンジェルフェザーが大好きなヴァンガードファイターなんだよッ!)」
どこまで彼奴等は「己の理想 」にしがみつくのだろう。自分が信じていた仲間の本性に怒りを通り越して呆れが生まれた。
……上等だ。そんなに楽しい楽しい喜劇をお望みとあらば、自分は「花形スター 」に楯突く「小物 」や好き勝手に引っ掻き回す「愚者 」にでもなってやる。
そして彼奴等の望む未来を禿鷹のように喰らい尽くし、暴君の如く踏み躙り、気紛れな神様 のように自分 の望む未来に作り替える。
ビターエンドにも、バッドエンドにも、況してやメリーバッドエンドにもしてやるもんか。
そう思い立ったルインは声を高らかに宣言した。身の程知らずの女の挑発を。
「ねぇーーー!こん中に、破滅の申し子とクラージュ・メディックのエキシビションファイト、見たくない人っている?さっさとタッグファイトはじめろよって、思っている人いる?いないよねぇ!!?」
『はえぇっ???』
「「「みたーーーい!!!」」」
「マジかよ!破滅の申し子の生ファイト、見れるとかやべぇ!!」
「俺、絶対忘れねぇ!!」
「見てぇに決まってらァ!!」
「絶対みたーい!!」
『…………えっ???』
「はあぁぁぁぁ!!?」
≪な、な、なんと!!これはとんでもないサプライズだ!破滅の申し子・天音ルインから詠導ミクへの宣戦布告!!タッグファイトそっちのけで大丈夫なんでしょうか!!?≫
≪ヴァンガード普及協会の会長から「やってよし!!」とお墨付き速達で送られてきたのでOKです!!≫
≪流石懐が広くて大きいと有名な普及協会会長!よってこれより、待機時間を経てエキシビションファイトを開始しまーーす!!≫
≪俺、ワクワクが止まらねぇ!!≫
「つーわけで、私正装に着替えてくるね!覚悟しろ!!」
『えぇ…………』
ギャグ補正の範疇を大幅に超えた唐突な展開にミクが戸惑う中、自由と書いて「イカれている」破滅の申し子は出入り口へ猛ダッシュ。
残された面々はそれぞれの控え室、ヨスガはリッカ達のいる観客席へ戻っていった。
メルティクルーシブル会場外。レルヒェが造った超小型カメラ搭載の小鳥を模したドローンが撮影したライブ中継動画をタブレットで鑑賞しているテュールがいた。彼の耳には骨伝導イヤホンが装着され、動画に見入っている。
彼の隣には黒いフードを目深に被り死神が振るうような大鎌を手に持つ青年が守護霊のように浮遊しながら立っていた。
青年の口元はチェシャ猫のように三日月型に歪んでおり、これから起こる戯れを心の底から楽しもうとしている。
「精々失望させないでくれよ、詠導ミク。お前はボスが、俺達が唯一と認めた「存在」なんだからなァ」
「相変わらずしつこいなぁ、テュール君は」
「ああっ?」
「ルインちゃんが言うとったこと、何にも分かってへんのやな」
「……裏切り者のテメーがほざくなよ」
マーレ。
続く
すると観客席から1人、また1人と彼女を讃えるような拍手が聞こえる。ルインはそれに対し「よく言ったね!流石私の可愛い後輩!!」と彼女をベタ褒めし、エリーとヨスガは「今の演説聞いて反省しろ!!」と先程締め上げた永蓮翠華を叱咤していた。
だがしかし、正論が必ずしも全ての人の心を掴む訳では無い。現に永蓮翠華の1人がミクに吠えた。綺麗事をほざくなと。
「お前にヒワ様の何が分かる、詠導ミク!ヒワ様がこの日の為に、どんなに血の滲むような努力をしたか!生まれ持った天賦の才能に胡座を掻いて、物珍しい容姿ってだけで周りからチヤホヤされて、苦しみや悩みなんて知らないでぬるま湯に浸って運よくイージーモードで生きてこれただけの運ゲー女の戯言なんて、重みも価値も何にもないんだよ!!」
『…………ふーん。じゃあ、アンタはあたしの何を知っているって言うの?』
「へっ???」
『コッチが大人の対応として黙って聞いてれば、調子乗って好き勝手言いやがって……人生ぬるま湯に浸ってイージーモード?はぁ〜、随分言ってくれんな。じゃあさそんなに言うなら、蒼森とあたしの人生交換してくんない?あたしは別にいいよ』
「えっ、あ、そ、いや……僕は別にそんなつもりで―」
『現在進行形でイカれた野郎共に集団ストーカーされていて、自分のことをこの世界の主人公だと思い込んでいるあたおか女とその取り巻き共に毎日喧嘩売られて毎日ファイトでソイツ等ボコって、昨日その集団ストーカーの1人に連れ去られ、あわや監禁エンド待った無しの運命辿りかけたあたしと、アンタが異性として好きで好きで好きで堪らない蒼森ヒワの人生交換してくんね???』
「ひっ……!!」
ニッコリと、それでいて「逃げるなよ?」と重圧を掛けに掛けまくる「笑顔」を作るミク。その笑顔はゴーストへ向けた例の笑っていない笑顔を5倍くらい濃縮した程の怒りで満ちている。
それを間近で見ていたヒワの顔は顔面蒼白からの灰白色からの土気色に変化し、彼女を庇っていた永蓮翠華の少年はあまりの恐ろしさに腰が抜けて鼻水と涙でグチャグチャの顔に、ルインとエリーは「ゲス野郎は赦さぬ!!!」と地獄の底から閻魔大王を強制的に呼び寄せ自身に憑依。ヨスガは大欠伸をしていた。
「しゅ、集団ストーカーだと!?け、警察には被害をちゃんと言ったか詠導殿!!」
『自宅への贈り物や危害を加えない監視だけでは派手に動けないらしい。一応巡回の強化はしてくれている……お巡りさんって大変だよな』
「よっしゃ、実力行使やったろ」
「エリーちゃん待ちなさい。その釘バット、何処から?」
「ロキメデコンビから!!」
「よーしロキメデコンビは後で説教ね!」
「「げげっ!!」」
「コーヒー美味え」
「ここだけ世紀末の倫理観なんですか、栗花落さん」
「春秋、もう考えるな。ルインはな、俺達の想像の斜め上からスコーピオントラップから何かやべぇシュートぶち込むイカれた存在なんだよ!!」
「ブ◯ロ面白いよな。因みにおれの推しはお嬢だ」
「栗花落先輩は何の話してんだ春秋」
「さ、さぁ?俺にもさっぱり……」
一方ミクの身の上話を聞いた観客席からは様々な声が聞こえてきた。
「あの子、ストーカーされているの?」
「それなりに有名人だったもんな」
「記憶無いのにやっかまれるとか災難だよ〜」
「強いからってあんな風に馬鹿にするのは違うだろ!!」
「詠導さん、嫌がらせに負けないでね!!」
「「「俺達、ミクちゃんのこと応援するから!!」」」
「詠導ちゃんは詠導ちゃんだいね!私、詠導ちゃんのこと一生応援するにゃーで!!」
「ミクちゃーん!私やレナちゃんは、何時だってミクちゃんの味方でいますからねぇぇぇ!!」
彼女を心配する声、彼女の今を鼓舞する声、そして記憶を喪った自分を慕ってくれる「友達」の声が響く。ここにミクを異物と扱う者は……観客の中には誰一人としていない。
『…………(この世界は、今のあたしを受け入れてくれないかもしれないって心の何処かで割り切ろうとしていた。万人に好かれるなんて有り得ねぇってことは、前世でよく知っている。それでもあたしを受け入れてくれる人がいるってことを知れただけでも、不思議と力が湧いてくる……)』
「………………」
『(なあ、この世界のあたし。どっかで見ていてくれよな。お前がやり残したことはよく分かんねぇけどあたしは…この世界であたしを、詠導ミクを貫くぞッ!!)』
俯きながらも左手で胸の心臓辺りで拳を握り、右手の拳を天高く突き上げるミク。彼女に歓声と賛美を送る観客達。正義を掲げる勇者を讃え祀り上げる群衆。力を失いながらも前に進む美しき勇者。そんな勇者の姿を傍観しているモノ達。
それを見たルインは「最初から仕組まれていたような気持ち悪さ」を覚える。彼女の為だけの舞台装置が、見えない間に糸を引いていたのかと。
「(これもアイツの…
どこまで彼奴等は「
……上等だ。そんなに楽しい楽しい喜劇をお望みとあらば、自分は「
そして彼奴等の望む未来を禿鷹のように喰らい尽くし、暴君の如く踏み躙り、気紛れな
ビターエンドにも、バッドエンドにも、況してやメリーバッドエンドにもしてやるもんか。
そう思い立ったルインは声を高らかに宣言した。身の程知らずの女の挑発を。
「ねぇーーー!こん中に、破滅の申し子とクラージュ・メディックのエキシビションファイト、見たくない人っている?さっさとタッグファイトはじめろよって、思っている人いる?いないよねぇ!!?」
『はえぇっ???』
「「「みたーーーい!!!」」」
「マジかよ!破滅の申し子の生ファイト、見れるとかやべぇ!!」
「俺、絶対忘れねぇ!!」
「見てぇに決まってらァ!!」
「絶対みたーい!!」
『…………えっ???』
「はあぁぁぁぁ!!?」
≪な、な、なんと!!これはとんでもないサプライズだ!破滅の申し子・天音ルインから詠導ミクへの宣戦布告!!タッグファイトそっちのけで大丈夫なんでしょうか!!?≫
≪ヴァンガード普及協会の会長から「やってよし!!」とお墨付き速達で送られてきたのでOKです!!≫
≪流石懐が広くて大きいと有名な普及協会会長!よってこれより、待機時間を経てエキシビションファイトを開始しまーーす!!≫
≪俺、ワクワクが止まらねぇ!!≫
「つーわけで、私正装に着替えてくるね!覚悟しろ!!」
『えぇ…………』
ギャグ補正の範疇を大幅に超えた唐突な展開にミクが戸惑う中、自由と書いて「イカれている」破滅の申し子は出入り口へ猛ダッシュ。
残された面々はそれぞれの控え室、ヨスガはリッカ達のいる観客席へ戻っていった。
メルティクルーシブル会場外。レルヒェが造った超小型カメラ搭載の小鳥を模したドローンが撮影したライブ中継動画をタブレットで鑑賞しているテュールがいた。彼の耳には骨伝導イヤホンが装着され、動画に見入っている。
彼の隣には黒いフードを目深に被り死神が振るうような大鎌を手に持つ青年が守護霊のように浮遊しながら立っていた。
青年の口元はチェシャ猫のように三日月型に歪んでおり、これから起こる戯れを心の底から楽しもうとしている。
「精々失望させないでくれよ、詠導ミク。お前はボスが、俺達が唯一と認めた「存在」なんだからなァ」
「相変わらずしつこいなぁ、テュール君は」
「ああっ?」
「ルインちゃんが言うとったこと、何にも分かってへんのやな」
「……裏切り者のテメーがほざくなよ」
マーレ。
続く
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