レアイベ発生!?


「満月の女神のスキル発動!CB1、手札を1枚捨てて3枚ドロー!山札の上から5枚見て、2枚を山札の上、残りは山札の下に望む順に置く……漸く、届いたッ!!」
手札:7枚 ソウル:7枚
裏にしたカード:テトラ 捨てたカード:プロテクト
山札:18枚(戻した枚数:18枚) ドロップ:10枚(トリガー3枚)

≪ここで春秋選手の山札が一周!チーム永蓮翠華に、確定された未来の脅威が振り注ぐッ!満月の女神が戦場の運命を支配していくゥゥゥ!!!≫

≪運命と勝利は、我が手にィィィ!!≫

「あ、あ、あああ……!!!」

「やってやれ、春秋!!」

「はいッ!半月の女神、テトラ、レクタングル、ぱねとーね、ジェミニをコール!レクタングルのスキルでCB1とSB1、山札の上から2枚見て、望む順に置いて1枚ドロー。ぱねとーねのスキル、自身をソウルに置き、山札の上から2枚見て、1枚を山札の上、もう1枚は下に置き、次のトリガー効果のパワー増加を更に+10000!」
手札:3枚 ソウル:7枚
裏にしたカード:フヨウ SBしたカード:満月の女神
山札:17枚(一周済み) ドロップ:11枚(トリガー3枚)

「うそ、うそ、嘘よッ!こんなことが……こんなこと、あるわけがないのですわ!!」

「サエをコール!サエのブースト、満月の女神 ツクヨミで、鬼百合の銃士 イラーリアにアタック!!」
手札:2枚 パワー:20000

「ヒスイ様の前で、無様な負けを晒すものかァァァ!!ダニエル、ミルッカでガード!サウルでインターセプト!」
手札:3枚 シールド:43000

「こちらからはシェルター・ビートルとマンティスでガードだ!」
手札:2枚 シールド:63000

シールド63000。例えトリガーを2枚引いて効果を全てツクヨミに与え、ツクヨミのスキルでパワーを上げてもパワーは60000。どう足掻いても届かない。それでもギンジは笑っている。


その顔は……己の勝ちを信じて止まない顔だ。

「ツインドライブ!ファーストチェック、ゲット!クリティカルトリガー!効果はすべてレクタングルに!セカンドチェック、ゲット!クリティカルトリガー!効果はすべて半月の女神に!レクタングルのスキル、ドライブチェックでトリガーが出たなら自身のパワー+5000!同じスキルをもう一度!ツクヨミのスキル、前列3枚のパワー+10000!」
手札:5枚 ツインドライブ:じんじゃー、サイキック・バード
レクタングルのパワー:49000 ☆2
半月の女神のパワー:29000 ☆2
山札:15枚 ドロップ:11枚(トリガー3枚)

「どう、して…このわたくしがッ!!」

「………………」

「ジェミニのブースト、半月の女神でVにアタック!半月の女神のスキル、更にパワー+3000!いっけぇぇぇ!!!」
パワー:40000 ☆2


≪月の宝剣の名の下に……散りなさい、銃士を模した「憑き物」よッ!!≫


『(……模した憑き物?)』

「あ、あ、あああ……!レンゲェェェ!私を援護しなさぁぁい!」

「ヒワ……俺の手札をもってしても、レクタングルのアタックはおろか、半月の女神のアタックを防ぐのは不可能。俺もまだまだ未熟。ヒスイ様は……本当に遠い御方だ」

「何を意味の分からないことをほざくのですか!私を援護しろ!こんな、こんな無様な終わり方――」



認められませんのよぉぉぉぉ!!!


潔く敗北を受け入れ天を仰ぐレンゲ。それとは対照的にヒワの絶叫が会場に響き渡る。だがファイトは彼女の意思とは関係なく滞り無く進む。

双子のやんちゃな天使の力を受けた半月の女神が神鷹と共に鬼百合の銃士目掛けて突進。
神の宝具の1つである黄金に輝く宝剣が、鬼百合の銃士を定め一振り。鬼百合の銃士は斬られたことを自覚しないまま、その場で緩やかに膝を折った。


ダメージゾーンに置かれたのはレベッカとヴェラ。トリガーではなかった。永蓮翠華のダメージは9……勝者が誰なのかは一目瞭然。


大番狂わせジャイアント・キリングがそこにあった。

「……勝者、チームワイルドカード!栗花落ヒサメ、春秋ギンジ!」

≪決まったーーー!!!正にジャイアントキリング!セットアップ!大物食い!番狂わせ!初出場にしてチームワイルドカード、強豪と名高い永蓮翠華を下し、決勝戦進出だァァァ!≫

≪個々の力が強く完成度の高いファイトを進めていた永蓮翠華。互いが互いを補いながらここまで進んできたチームワイルドカード。甲乙つけがたいチームですが、勝利を掴んだのはチームワイルドカード!モフモフの神様が選びし存在がそこにいたーーー!!!≫

『(……大神田先生、モフモフに洗脳されてない?スパーコナ大丈夫か???)』

内心お節介を焼きながらファイトを見届けているミク。無事に決勝戦に進めれば彼等とファイトすることになる。そうなった場合、彼等に勝てるのだろうかと少し後ろ向きな考えになる。
自分らしくないと言われればそうだが、この世界での相違による「不安」は拭えない。

ふと後ろから自分を呼ぶ声が聞こえた。振り返ればそこにサトミがいて、ミクへ柔らかい笑みを向けていた。

「詠導さん、不安になる気持ちは分かります。だからこそ、私は教師としてこの言葉を送ります。詠導さん……あなたはあなたの良さを生かして進んでください」

「なーに独りセンチメってんだよ詠導!ここまで来たら決勝戦進出して優勝旗持ち帰って、旭野の間抜け面拝んでやろうぜ!!」

「最後のはお前の願望だろうが」

「あはははは……詠導さん、あとちょっとだからがんばろう!」

「あーー!!何がなんだかーー!!」

『まだ続いていたのかよ……あれ?名倉は?』

「さっきトイレ行ってくるって言ってたぞ。三馬鹿トリオ連れて」

「まさかの連れション!つーか三馬鹿トリオ、人間のトイレで用足せんの?」

「綴木君、そういうことは話さないのがマナーですよ!」

「そうだよ綴木君、流石にお下品だよッ」

「す、すいませんでした……(各務原の膨れっ面、可愛い)」

『(天音さんから一人にならないようにって言われたから連れて行ったんだな……あの三馬鹿トリオ、役に立つのか?良くて囮、悪くてちょっとした足止め程度な気がする)』


刹那明るくもイカれた声が会場に響く。会場に再び視線を戻すミクが見たのは………カウガールとクラシカルメイドの格好をしたヨスガとルインがジャージー牛に跨がりヒワに凸している場面だった。


『マジで一体何があったァァァ!!?』

「(詠導さんも隠れツッコミ属性だったの!?私は絶対に違うけどッ!!)」

「(小早川先生ってツッコミ属性だよな?)」

「(だよな〜)」

「え……ヨスガ、ちゃん???」

「(タッグファイトのルールが分からずに屍の顔をしている)」

渾沌としてきた咲神高校ヴァンガード部の控え室。そこに丁度トイレから戻って来たイズモと三馬鹿トリオは会場の状況を見て理由のわからない顔をしている。

「えっ、あ、あの……これ、どういうことだ、です?」

≪≪≪ヨスガちゃんがジャージー牛を手懐けているーーッ!!≫≫≫


数分前のファイト会場。勝利を知ったギンジは体を震わせ拳を突き上げ雄叫びを上げる。その数秒後にヒサメが「やったな、春秋!!」と肩を抱き寄せじゃれ合う。それをチームワイルドカードの控え室で見ていたチームメイト達は燥ぎ、ヒイロは「やっぱりギンジはスゲーな!!」と親友の勝利を喜ぶ。

レンゲは己の未熟さを痛感し「己を省みること」を、そして憧れの人に近付くことを諦めないと固く決意。

ただ一人、ヒワだけは敗北げんじつを否定していた。

「ありえない、ありえない、ありえない……何で、何で、永蓮翠華のわたくしが……あああああああ!!!」

「「ッ!?」」

「やめろヒワ!!」

「なんでぇぇ!お前達みたいな三下ファイターに負けるのよぉぉぉぉ!!!」


自暴自棄になったヒワはギンジを逆恨みし暴力を振るおうとした。その姿こそ、彼女が最も嫌う「悪足掻き」だということすら怒りで忘れて。しかし、ここで予期せぬ事態が発生する。

「車とアオハルは急に止まれねぇッ!!!」

「ヒーハーー!!!」

カウガールとクラシカルメイド服を着たヨスガとルインがジャージー牛に跨がりヒワへ衝突。そのお陰でギンジは無事だ。そしてヒサメは2人をメジェド神のような目で呆れて見ていた。
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