小春日和の今日もギアステーション近くの公園に陣取っていると変わったお客さんが来た。どこかで見たことがある気がする2人組だ。金髪のイケメンが真っ赤なアフロの男のひとに肩を貸している。
「すまないが、何か炭酸とコーヒーを貰えないか」
努めてにっこりと笑って返す。
「……うちは紅茶屋さんですので、炭酸はあってもコーヒーはないですね」
「悪い。じゃあ、炭酸の2つ」
イケメンが少しすまなそうな表情をしながら肩を貸したひとをスツールに座らせて自分も座った。
ストローを刺したスパークリングティーを2つ出すと金髪のお客さんはまず赤い髪のお客さんに飲ませた。今更だが、半ば茫然自失としているひとに炭酸を飲ませて大丈夫なのだろうか。
「…………ハッ！またオレは燃え尽きてたのか。悪いな、デンジそれに店員さんも」
「謝るならその癖をどうにかしてくれないか、オーバ」
どうやら赤いアフロのオーバさんが燃え尽きて？金髪のイケメンデンジさんがお世話することがよくあるようだ。
「いえ、私はなにもしていないので」
「店員さんも聞いてくれよ、サブウェイマスターとバトルしたんだけどすごく熱かった！」
「ああ、痺れたな。お前が燃え尽きなかったらあと3周ぐらいしたかった」
2人はスーパーマルチトレインを49戦して下りてきたみたいだ。あと3周したいというのはなかなかタフだ。
「スーパーマルチトレインにお乗りだったんですね」
バトルの話に釣られたのかキュウコンが耳をぴこぴこと動かしながら足元から顔を出す。
「お、よく育ったキュウコンだ」
オーバさんがわしわしとキュウコンを撫でる。
「コイツ、シンオウの炎タイプの四天王なんだ」

デンジさんが言う。最近やたらと四天王と縁がある気がする。どこかで見たことあると思ったらシンオウ地方の有力トレーナー特集の動画だ。説明するデンジさんも電気タイプのジムリーダーだった筈だ。
「ありがとうございます」
「たまには紅茶もいいな……」
やっと自分のスパークリングティーを一口飲んだ推定するにコーヒー派のデンジさんの一言にカウンターの下で小さくガッツポーズをした。