4
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
夜中になっても眠れなかった。
当たり前だがメリーのお見舞いなど行けず、どこでどう漏れるかもわからないため電話も出来なかった。
謝りたかったのに。私のせいでごめんなさいと。
きっと彼女は笑って、これが私の仕事よ、と言うのだろう。
「…何で、私なんだろう…」
ベッドで寝転がったまま呟いた。
未だわからない、私がJに執着される理由。果たして、Jと私になんの接点があったんだろう。
『人に執着される覚えは』
2度も竜崎に聞かれた。
私は2度とも答えた。
ありません、と。
嘘つきめ
あれはJなんかと関係ないと勝手に判断していた。今でもその可能性は低いと思ってはいる。
でもそれはやはり素人である私が判断すべきことではない。
調べてみたら、何かわかることもあるかもしれない。
ため息をついた。顔を手で覆う。
分かってる。言うべきなんだ、竜崎に。
もし白だったらそれはそれでいいんだから。疑惑があることがよくない。
メリーが犠牲になった今、私の感情で隠し事なんかすべきではない。
分かってるんだよ。
意を決して体を起こした。時計を見れば、午前2時だった。
メリーにあんなことがあった今日、竜崎は絶対寝ないだろうと確信してる。捜査してるに違いない。
私は何度か大きく深呼吸をした。無駄に心臓は高鳴る。
覚悟を決めろ。自分。
自分に叱咤し、ベッドから立ち上がった。
真っ暗な部屋から出、明かりの漏れるリビングへ歩く。
扉の前で再び深呼吸をしたあと、私はそのドアを開けた。
明かりが眩しい。つい反射的に目を細めた。
ソファの上には、やっぱりというかいつもの体制のあの人はいた。
「どうしましたこんな時間に」
いつもの声、いつもの調子。なのに胸が苦しい。それは私がいつもと違うから。
ゆっくりと足を踏み出した。何も言わずに近寄る私を、竜崎は不思議そうに見た。
ソファから少し離れたところで、竜崎に言った。
「…竜崎に、隠してたことがあるんです」
私が言うと、彼はすぐに察したようだった。
無言でパソコンを閉じ、身の回りに散らかっていた資料をざっとひとまとめにする。
竜崎は荷物を適当に机の上に重ねると、自分自身もソファの端にズレた。
「どうぞ」
3メートルルールがあるせいで、初日以来ソファには座っていなかった。それも竜崎の隣など。
やや気後したが、せっかくスペースを開けてくれたのだ。私は勇気を振り絞って彼に近づいた。
少し距離を持ち、竜崎の隣に座る。
彼は無言で紅茶を飲んだ。私は竜崎を見ることができず、膝の上に置いた自分の拳を眺めていた。
「あの、Jとは無関係の可能性が高いんですけど」
「それはまた私が判断いたしますので」
ですよね。
もっともな意見に、私は頷く。
「以前…私に執着しそうな人、いないかって聞いたじゃないですか」
「ええ」
「…執着されてるかどうかも、分からないんですが…」
どう切り出そう。
どう話そう。
心を決めてきたはずなのに、私の頭は混乱した。
竜崎は先を促すことはしなかった。ただ無言で、私の言葉を待っている。
それがなんだかとてつもない優しさに思えて、つい泣きそうになる。
過去に怯えてるわけじゃない。どちらかと言えば、もう乗り越えてる。
じゃあ、なんで
私はなんで泣きそうなんだ。
「…私が、施設にいて…そのあと親戚に引き取られたのは…ご存知と思いますが…」
「はい」
「…本当に遠い親戚らしくで、伯父、と呼ぶのか…一応そう名乗ってましたけど…」
「はい」
竜崎の相槌がなんだか苦しい。優しいのに苦しい。
私は一度強く目を瞑った。
「私を引き取ったのには…理由があったと、のちに言われて…」
彼は私を見ない。私も、彼を見れない。
見られないでよかった。今あの目に見られれば私は頭が真っ白になってしまう。
「…高校卒業したとき…」
まだ、その伯父と共に暮らしていた時。
今でも鮮明に思い出せる、春。
「………
私は、
その人に…」
蘇る不快さ。
力の強さ。
熱気。
何とか逃げ出したけど、あの時ー
「月島さん」
竜崎の低い声が響いた。
はっと隣を見る。
彼はいつのまにか体ごとこちらを向いていた。
鋭い目で、私を見ていた。
「それ以上言わなくていいです」
続きを察しました。そう顔に書いてある。
手が痺れるような感覚に陥っていた。頭は熱い。
「言ってくれてありがとうございます。」
竜崎はそう短く言った。
……ああ
とうとう彼に、バレてしまった
