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朝食を終えて私はまたいつもの様に紅茶を飲みながら読書に励んでいた。
竜崎は相変わらず、ワタリさんも離れたところで何やら書類の整理をしていた。
時間忘れて没頭し、数時間が経った頃。
竜崎のパソコンが高い音を響かせた。反射的にそちらを見る。
竜崎は手早くイヤホンとマイクを準備し、何か英語で話し始める。
(英語全然わかんないや。何気に竜崎すごいよなぁ、いや、むしろそっちが母国語?)
日本語もペラペラだから忘れてたな。
そんな事を思いながらまた小説に視線を落とした瞬間、竜崎の声のボリュームが何段階か上がった。
はっとし彼を見る。
竜崎はやや険しい表情で何かを話している。いつも淡々と話す彼ばかりだから、その様子に少し胸が騒めいた。
さらにはワタリさんも席から立ち上がる。表情が少し暗い気がした。
竜崎はそのままコンタクトを取り続け話している。しばらく経ってから、ワタリさんがほっとした様な表情に変わったのを見逃さなかった。
…なに、なんだろう。
私は聞くわけにもいかず、じっと待つ。竜崎は強く親指の爪をかじると、少し考えたあと何か指示を出した。
そしてイヤホンをやや乱暴に取り外した。考え込む様に爪を噛み続けている。
私はしばらくその様子を見ていたけれど、さすがにどうしても聞かずにはいられなかった。
「何か…ありましたか」
声が震えていたのがわかる。竜崎は何も言わない。
無視してるのではなく、考えているというのが分かった。だからこそ、ああ、私も関係してることなんだと理解できる。
催促はしなかった。私はじっと彼を見ながら言葉を待った。
しばらくして竜崎は観念したように口を開く。
「メリーが狙撃されました」
息が止まる。
「……え」
笑顔で手を振るメリーが思い浮かんだ。
竜崎はすぐに言葉を続けた。
「安心してください、軽傷です」
「…あ」
「言ったと思いますが彼らはかなり腕の良いプロですので。肩をかすめたようですが、まるで命には別状ありません」
「ま、さか…Jが?」
声はさらに震えた。
「…でしょうね」
竜崎は悔しそうに言った。
「狙撃した犯人はまだ捕まってないそうです、マイクもメリーの介抱についたので仕方ありません。何がなんでも突き止めます。ワタリ」
竜崎から静かな怒りを感じた。ワタリさんはすぐに頷き、部屋から出ていく。言葉なくても伝わる仕事なんだろう。
先日アジトを襲撃した犯人は一人は捕まっていない。…そいつがメリーを見つけて、狙撃したのだろうか。
でも、なんで…?
「な、なんでメリーを…?私を守ってたからですか?」
「……」
「竜崎?」
「…先ほど彼らは腕がいいと言いましたが、今回軽傷で済んだのはそれだけではないです」
「え?」
「多分、犯人は殺すつもりはなかったのだと思います。初めから怪我だけ負わせるつもりだった。メリーの顔は以前見られています。今回血眼になって探すJに見られたのでしょう。凄い執着心です」
「な、なんのために!?」
「…月島さん」
竜崎はソファから立ち上がり、こちらへ近づいた。
ゆっくり一歩ずつ私に近寄ると、しっかりと目を見ながら言った。
「少々酷な事を言います」
「…はい」
ごくりと唾を飲む。竜崎のあの真っ直ぐな黒目が、私を追い詰める。
「あなたに、見せしめてるんだと思います」
想像以上の酷さだった。
頭が真っ白になる。また、メリーの顔が浮かんだ。
「あなたの居場所は確実に奴らにバレてません。中々突き止められなくてイラついてるのでしょう。そこへたまたまメリーを見つけた。以前あなたを守っていたメリーを」
「……」
「彼女はかなりの者だと、プロ同士Jもわかってるはずです。メリーをさらってあなたの居場所を吐かせるなんて無理だと。そうなればメリーの使い道は一つ」
「…私に、『出てこい』と言ってるんですね…」
今回は軽傷で済ませたけれど、このまま出て来なければ次は本気を出す。
Jは、そう私に伝えているんだ。
手が震える。目の前が涙でボヤけた。
私のせいで。
「…メリーは帰国をやめ日本で療養しています。これからの彼女の安全は私が保証します。」
「…軽傷で、よかったです…」
「すみません、やはりあなたには言うべきではなかった。辛い事をいいました」
いつもあんな風に失礼な事ばかり言ってるくせに、竜崎は少し戸惑ったような優しい声をしていた。
私は強く首を振る。
「私が聞いたんです。一人知らないなんて絶対いやです。」
「…あなたはそう言うと思いましたので。」
「ありがとうございます。隠されるより何倍もいい」
私はきっと竜崎を見た。
「…今回の襲撃の犯人を、必ず捕まえます」
竜崎は私の目を見たまま、強く言った。
