寝てる時のいたずら
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あの人の隣に寝ることを許されるようになって、どれくらい経つか。
捜査本部にいた頃は、気持ちが通じ合っていながらもキスより先に進ませてもらえず、悶々とする日々。時折マスターキーを使っては夜に忍び込み、その隣でこっそり寝るのが精いっぱい。ちなみに翌朝は、勝手に入ったことをしこたま叱られた。
あの人の隣で寝るのは心地よくて好きだった。無論、男としての熱がこみ上げて寝るどころか覚醒してしまうという問題もあったが、隣に寝転がって少し経つと心地よさの方が勝ち、すっかり熟睡出来ていた。
人のぬくもり? 規則的な吐息? それとも好きな人の香り?
何が原因かわからないが、とにかく一緒に寝るのが好きだった。
キラ事件が解決して一緒にイギリスへ来た頃には、もうマスターキーを使う必要ななくなったし、自然と一緒に寝るのが当たり前になっていった。さすがにもう叱られないし、彼女から『そろそろ寝ませんか』と誘ってくれるほどになったので、レベルがかなり上がっている。
私は少しの時間でも彼女と一緒に寝るように調整したし、それに関してはワタリも喜んでいる。たった一時間や二時間だけでも、彼女とベッドの上で寝ると驚くほど頭がすっきりするし気分が違う。魔法のような時間だ。
だが時々、私は寝たふりをしていることがある。
「うう……ん」
その唇から小さな声が漏れ、彼女は軽く眉を顰めた。私はそれをただただじっと見ている。
すっかり眠り込んだ午前二時。二人で寝室に来たのが零時。かれこれ二時間、私はその寝顔を眺め続けている。彼女は隣で気持ちよさそうに寝息を立てたり、時々寝言らしきことを言ったり、はたまたごろんと寝る位置を変えたり、なんとも気持ちよさそうである。
私はそれを見ながら小さく笑う。
実は、元々何日も寝ない生活を続けていたため、寝ようと思っても眠れない夜がある。体がそうなってしまったのだろう。それでも、私はこの人と並んでベッドに入る。
眠れなくてもいいのだ。仕事は頭の中で出来るし、あとはこの温かな布団に入りぬくぬくとしながら好きな人の寝顔を眺める。こんなに贅沢な時間はないと思っている。
前はこっそり入り込んでいたけれど、今は堂々と隣にいられるし、この幸せな時間を噛みしめている。
「……世界のLが、こんな普通の生活を送るなど」
そう一人で呟き、こっそり彼女の頬に触れる。起きる様子はない。次にその黒髪に手を伸ばし、遊ぶように指先でくるくると丸めてみる。私よりずっと柔らかでさらっとした髪質で、触るだけで気持ちいい。
時々その額にキスを落としてみたり、手を握ってみたり、私は結構彼女に触ってしまう。だが案外起きないので、眠りは深い方らしい。ちなみに時折、彼女が知ったら怒るような場所も触ることがあるが……まあもう一夜を越えている関係なので、さすがに許されるだろう。
次はそっとその唇に触れてみる。柔らかで可愛らしい唇に、ついこちらの口角が持ち上がってしまう。
「……んん」
しまった、さすがに起こしたか。
「……ぐう」
セーフだった。
起こすつもりはないが、一体どこまでしたら起きるのかを試すような形になっており、つくづくこんなくだらないゲームを楽しんでいる自分に失笑する。起きませんように、と思いながらも、起きそうになったら少しわくわくしている。子供か。
「案外、寝たら起きないタイプなんですよね」
小さな声で呟き、その頭を優しくなでた。愛しい、という感情はこういう時に使うのだと思う。この人と出会わなければ、そんな言葉一生に口にすることはなかっただろう。
そろそろ仕事の方に戻りたい。でも、もう少しここにもいたい。
好きな人の寝顔を隣で眺めるというだけのことが、これほど幸福だと教えてくれた彼女にお礼を言いたい。明日も、明後日も、こうやってあなたの隣にいられる。きっとこれからもずっと続くのだ、この優しい時間は。
