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エルに言われるがまま、私たちはスーツケースを持って移動した。
私がいた11階のエレベーター前には男が2人気絶したように眠っていた。武器は取り上げられてしっかり手足は縛られている。
…一体どうやってこんな事を。たった3人で。
聞きたかったけど他にもたくさん聞きたい事があって追いつかない。私はとにかくエルに続いて足を進めた。
「階段で11階まできました。エレベーターが稼働すれば怪しまれますのでね。さすがに階段には見張りがいないことは確認済みです」
ジェシーが重そうな扉を開けた。非常階段だった。
ワタリさんは銀色のスーツケースを持ち、私たちに続く。ジェシーはソマディア達から奪い取った銃を所持していた。中々重そうなのに、彼女は平然としている。
とりあえず、ほかの階の見張りに気づかれないよう、私たちは言葉を発さずに足音にも留意しながら階段を降りていった。
どこかで人に見つかったらどうしよう、そんなドキドキが止まらないまま足を進める。
なぜエルが4階と言ったのかも理由を尋ねてはいなかった。
4階までようやく辿り着くと、エルは人差し指をそっと口に当てる。静かにしてろ、という事らしい。そして私の腕を掴んで壁に背をつけた。
一度スーツケースを置いたワタリさんとジェシーがさっと私たちの前に出て、非常階段の扉をゆっくりと開く。ワタリさんは銃を構えていた。
高鳴る心臓でその光景をみていたが、扉を開けても何も反応はなかった。
すぐにジェシーとワタリさんがゆっくりと中に入り、無駄のない動きで辺りを見回す。
どうやら人はいないようだ。
エルはじっとその光景を見、私の腕を引いてゆっくり扉をくぐった。
広々とした廊下が見える。今テロリストに制圧されているとは思えないほど静かで綺麗だ。
客室はなく、何やら大きな扉がいくつか見えた。ここもパーティー会場みたいなものだろうか。
ジェシーとワタリさんはその扉も一つ一つ開きながら中に人がいないか確認してるようだった。エルは私の手首を握ったまま鋭い目でそれを見ていた。
数分経ったところで、ジェシーとワタリさんが寄ってくる。
「人はいないようです」
「やはりですか。では上下の階も確認してきてください。私の予想通りならどちらも人はいないはず」
「はいL」
ジェシーとワタリさんはまた非常階段の扉をゆっくりと開け、そこから出ていった。
エルは何も言わず、銀色のスーツケースを置くと、またそれをゆっくり開いた。
とりあえず私もそれを覗き込む。
「4階と5階は主に結婚式の控え室だったりの会場でした。3階はレストランの集まりです。この辺の者も1階の光さん達が集められていた所に移動させられたのだと思います。1箇所に集めた方が制圧しやすいですからね」
「そっか…」
エルは何やら素早い指先で色々いじっている。いつのまに用意したのか、ポケットから工具まで取り出す始末。
…はて、これは解除し終えた爆弾のはずですが…
「…それでエル…今何をしているの…?」
「この爆弾を爆破させるんです」
「…はいい??」
素っ頓狂な声が出てしまった。解除したのに!?というか、これが爆弾しては、みんな吹っ飛ぶのでは!?
エルは作業を進めながら淡々と言った。私には彼が今何をしているのか全然分からない。
「改造して小規模の爆破にします」
「…そ、そんなことできるの…?」
「私を誰だと思ってるんですか」
「…Lです」
「ここ周辺に人がいないか確認してもらってるのはそのためです。被害が出るのは3.4.5階くらいだと思うので」
「そんな細かく被害の大きさ分かるの?」
「私が計算するのだから間違いないです」
どうしよう、なんかもう現実離れして震えてきた。カイドウの前ですら震えるなんてなかなかしなかったのに。
この人は沢山の人がいる中で爆弾を爆発させようとしてる。それは勿論みんなを助けるためなんだけど。
…Lが違法な事をたくさんしてるのは知ってたけど、まさか爆弾を改造して爆発させるなんて…
「カイドウと通信が取れなくなり異常を仲間に知られては色々と厄介なので時間がありません。」
「……」
無言でエルの手元を見つめることしか出来ない。
ふと、エルが顔を上げた。
「…怖いですか」
「…え」
エルの大きな瞳に私が映る。
ああ、この人は、世界のLなんだ。
なんだか時々忘れちゃってるけど、カイドウの居場所を割り出し、ボスの誕生日も調べ、爆弾も解除したひとなんだ。
「…ちょっとね。でも、エルを信じてるから」
微笑んで言う。エルも少しだけ口角を上げた。
どうせね。このままじっとしてても私たちみんな死んでたから。
だったらあなたに命ぐらい預けたいよ。
エルはまた視線を下げて手を動かす。
「光さんには笑っていてほしいので」
「え」
「あなたの大切な人は私にとっても重要な人です。あなたの友達を助け出しましょう」
「…エル」
がたんと音が響いた。非常階段からジェシーとワタリさんが戻ってきた音だった。
「L、誰もいませんでした。確かです」
「夜神さんに連絡してください」
「…え、夜神さん?」
私が驚いて目を丸くする。エルは答えた。
「彼はこのホテルのすぐ前にいるのですよ」
なんと!そうだったのか!
ジェシーは電話を取り出して連絡する。手を動かしているエルのそばに、スピーカーで近づけた。
「夜神さんですか」
『竜崎』
「爆弾は止めました。ゆづきも保護しました」
『そ、そうか…!』
「カイドウも捕獲しています。11階の客室で縛っています。ですが問題はその他の多くのソマディアたちと人質です。」
『こちらは突入の準備は出来てるが、なんといってもどこから入ろうか…入っても人質が…』
「そこで一つこちらに案があります。小規模な爆弾を今から爆発させます」
『…なんだって?』
「小規模ですがそれにより落下物が来るかもしれません、下にいる者達は細心の注意を。この爆発によってソマディアたちを屋上に誘導させようと思っています」
『ど、どうやって…』
「説明してる暇はありません。いいですか、唯一無事な裏口に見張りがいると言いましたね。爆発が起こって少ししたら、その見張りが慌てていなくなると思います。そしたら中へ入り人質を保護してください」
『あ、ああ…』
「それから、屋上に警察やSATを。犯人たちは混乱した様子で飛び出してくるはずです、隙をついて確保を。武器は持ってますから注意してください。催涙ガスなどの準備を」
『待ってくれ、頭がついていかないんだが…』
「正直なところ成功率は60%ほどと見てますが。よろしくお願いします。人質保護の際も、もしかするとまだソマディアは残ってる者もいるかもしれないので細心の注意を払ってください」
まるで夜神さんの言葉を聞かずに、竜崎は会話を切り上げた。ジェシーも携帯の通話を切ってしまう。
…少々夜神さんが不憫だ。でもきっと…彼は出来る人だから大丈夫だろう。
「完成です」
ゆらりとエルは立ち上がった。そしてワタリさんに言う。
「ワタリ、頼んだ」
「はいL」
ワタリさんは頷くと、そのまま非常階段へといってしまう。
「わ、ワタリさんは??」
「最も重要な役割を頼んでます」
「…私未だに全然計画が見えないんだけど」
爆発が起きて、それでソマディアはみんな屋上にいくって、なんで??
エルはじっと親指の爪を噛んだ。
「一芝居うつ、ということです」
「一芝居…」
「さてここを繋げればあと5分の時限式で稼働します。警察達は準備が整うといいのですがね」
いいのですがって。そこ一番重要なんじゃ。
頭が混乱してるけれど、私はもう何も聞かずに深呼吸した。
きっとエルが考えた事は私には理解しきれない。
ただわかってる事は一つ。
エルのやることは全て信じられる。
これだけだ。
「私たちも安全な場所に避難します。というわけでまた11階へ登ります」
「!…承知した」
「なぜ急に時代劇風ですか」
実は今日色々あって体力的にはヘロヘロなんだけど。7階分の階段を登るとはちょっと気が引けるけど、そんなこと言ってられる場合じゃない。
私は気を引き締めて銀色を見る。
これが、爆破して。それで…よくわからないけどみんなを助けてくれるかも知れない。
私は信じてる。
「さ、では繋げますよ。11階までたどり着かなくても少し上がってれば被害は受けないでしょう。いきます」
エルはそういうと気怠そうにしゃがみ込んだ。
私とジェシーは非常階段の扉をあける。
エルは何やらゴソゴソといじっている。そして振り返った。
私たちは急ぎ足で、そこから離れた。
