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「ちゃん##NAME3##の退院にかんぱ〜い!」

松田さんの声が響き渡る。

それぞれの飲み物を軽く当たらせて乾杯した。

慣れたホテル最上階、スイートルーム。

退院したその日の夜、忙しいにも関わらず捜査員の人たちがみんな集まってくれた。

ワタリさんが用意したケータリングで食事をとりなが、退院を祝ってくれたのだ。

私は感謝の気持ちを込めて、デザートだけ用意した。

2年ぶりの光景に、懐かしさが溢れかえった。

「無事退院できてよかったな。一時はどうなるかと思ったが」

夜神さんが笑って言ってくれる。

「ありがとうございます。思ったより長引いてしまいました」

「そんな退院日にキッチンに立って…無理しなくていいのに」

「でも##NAME3##ちゃんのケーキ久しぶりですね!うーんやっぱり美味しいなぁー」

「松田、メインの前にもうケーキ食べてるのか」

呆れた様子で模木さんがいう。

「何言ってるんですか〜##NAME3##ちゃんのケーキがメインですよ!」

そう言いながら、松田さんは美味しそうに口に運んだ。そんなに喜んで貰えるとは、嬉しい。

「まあ、確かに今日はこれを目当てに来たのはある」

「ほらー相沢さんもそうなんじゃないですか」

「懐かしくなるよな、2年前を思いだす」

「2年は早いですねぇ…イギリス生活どう?」

私は苦笑しながら答える。

「英語中々上達しないんですよ…あまり外出もしてなくて」

「ははーん。竜崎が許可しないんだろ」

模木さん、正解。

しかし外出して誘拐などされた私は文句なんか垂れる立場ではない。

「もう少し今後は英語、頑張ろうと思って。ジェシーにテキスト貰ったし、連絡先も貰ったから英語の話し相手になってもらおうかと」

「ああ、ジェシーな。映画に出てきそうな美女のな」

相沢さんが唸りながらいう。

「あんまり関わらなかったが、仕事は早くて的確だったな。さすが竜崎の補佐だ」

「今日もこれたらよかったんですけどねーいつの間にか帰っちゃったとは。残念」

夜神さんと松田さんが言ったのを聞いて、つい微笑む。褒められてたことをジェシーに伝えてあげよう、と思った。

そんな松田さんはふと、少し離れたいつものソファに座るエルを見た。

「…ええ?!竜崎、普通のご飯食べてるじゃないですか!」

他の人たちも驚いたようにエルを見る。彼は気にせずフォークで少しずつブロッコリーを食べている。

「##NAME3##に散々叱られたので、イギリスでは少しは通常の食事を取ってます」

「うわー凄いね、さすが##NAME3##ちゃん」

感心する松田さんに私は答える。

「まあ、まだまだ甘いもの中心ですけどね。前に比べたら人間らしくなりました。」

しかし私がいない時は戻ってたようですがね。

心の中で呟く。

しかしそれはもう問い詰めるのはやめておいた。

助けてくれたんだしね。

相沢さんが笑って言った。

「でも二人とも変わらず仲がいいみたいで安心した。竜崎は全然変わらないけど、##NAME3##さんは綺麗になったな」

「老けたって言ってくれていいですよ…自覚してます…元々老け顔なのに…」

「そ、そんなことないよ##NAME3##ちゃん!」

「でも皆さんも変わってないですよ!2年ぶりに会えて本当嬉しいです!」

みんなそのままで変わってない。松田さんは少し大人っぽくなった気はする。

たった2年、されど2年。あのキラ事件からあっという間だった。

恐ろしいノートの死神の物語は、…なんだか夢のように思える。

「イギリスなんてとこに行っちゃったからな。中々帰ってこれないよな」

腕を組んでしんみり言う夜神さんに、エルは突然言った。

「日本に家を買いました。」

は?とばかりにみんながエルを見る。

私も然り。

初耳の内容に、きょとんとしてしまう。

エルは未だ小さなブロッコリーを少しずつ食べながら言う。

「今後はもう少し日本に帰って来ようかと。毎回ホテルも面倒なので家を買いました。」

「え…竜崎?私初耳ですよ!」

ばっと背後に立つワタリさんを見ると、優しく笑ってる。

「昨日買ったので。イギリス以外にも何軒か家はあるのですが、日本には無かったので買っておきました。」

買っておきましたって、トイレットペーパーのストックみたいなテンションで!

驚く私を見もせずにエルは続けた。

「あなた方や弥と会っている##NAME3##は特に楽しそうなので…また帰ってこれるように調整します」

どきっとした。

まさか…私のために?

相沢さんが感嘆したように言う。

「竜崎は##NAME3##さんに関わると本当に人が変わったようになるな」

「愛されてる証拠だな、##NAME3##さん」

模木さんに言われ、小っ恥ずかしくなる。

でも、否定はしない。

彼はいつでも全力で私を愛してくれる。

感謝が追いつかないほどに…。

「ありがとうございます、竜崎…」

私がポツリというと、彼はちらりとだけ私を見た。

ほんの少しだけ、口元が笑う。

そんないつも通りの表情に、なぜか私は胸をときめかせた。

「じゃあ、また近いうち会えるかもね##NAME3##ちゃん!」

「はい…そうだと嬉しいです」

私は微笑みながら、みなさんの顔を見渡す。

「本当に…今私の命があるのは、ここにいるみなさんのおかげです。…ありがとうございます」

しっかり、頭を下げた。

「みなさんが突入してきた時…本当に嬉しくて、本当にホッとしました」

年も性別も違う人たち。

でも、私たちは確かに誰よりも濃い時間を過ごした。

そんな自分にとって大切な人たちが私のために懸命になってくれたことが、心から嬉しい。

慌てて松田さんが私の顔をあげさせた。

「##NAME3##ちゃん顔あげて!そんなこと気にしなくていいんだよ!」

「そうだぞ。俺たちは##NAME3##さんにただ会いたかっただけだ。君がそうして笑っててくれればそれでいい」

優しい笑み。心が温かくなった。

夜神さんが笑いながら言った。

「##NAME3##は私の第二の娘だからな。」

いつだか、彼に第二の父親だと言ったのを思い出した。

そう、私の家族。

私の居場所。

離れても中々会えなくても、こうしてまた笑い合える仲。

ちょっと変わった関係だけど、私にとってかけがえのない人たちだから。

「…ありがとうございます…」

「ほら##NAME3##ちゃん食べて!病み上がりは食べて治さなきゃ!」

「そ、そんなに食べれないですよ」

賑やかな笑い声に少し離れて食べるエル。優しそうに見守るワタリさん。

この形はきっと、永遠に変わらない。






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