拒否
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私は硬直していた。
その数字を見たとき、息が止まった。
動けない。ショックで、動くことができない…
「4キロ増えてる…!」
ああっと頭を抱える。
ここ最近、なんだか腰回りがふっくらした気がした。あまりに気になったからワタリさんに体重計を用意してもらったんだけど…
まさか、ここまで増えているとは思わなかった。
しかし思えば、私は外出もせずただ立って料理をしてるだけ。
しかもお菓子中心、味見もしたりする。
食事もワタリさんが用意してくれたケータリングだったりで…
太る要素は、ありすぎた。
「L気付いてるかな…」
昼間、隣に月くんがいるにも関わらず充電タイムです、と言って私を抱きしめる彼。
あれほど密着していれば気づくだろう。なんてったって4キロ!4キロの肉の塊とかどんだけよ!
「痩せよう…!」
そして、あまりLには触らせないでおこう。嫌味なくらい太らなくて細身の彼に、こんなの知られたくない。
「ゆづき、ちょっと来てください」
竜崎が私を呼ぶ。この呼び方は分かっている。隣の月くんも、またか、と呆れ顔。
いつもは仕方なしに彼に言われる通り近づき、抱きしめられたまま時間が過ぎるのを待っていた。
しかし私は手元を忙しそうに動かしながら言った。
「今無理です。」
「………」
竜崎に呼ばれれば必ず彼優先で動いていたため、竜崎はこちらを見て驚く。
数分たって声がする。
「ゆづき」
「まだ無理です」
「…ゆづき」
「ちょっと手が離せません」
「ゆづき…!」
「すみません」
そう、私は彼と一定距離を保ち続けた。
夜。
私はそろそろ上がらせてもらう時間になった。
なんとか今日を乗り越えたことに満悦しながらキッチンを片付け始める。
すると、鎖で繋がれた月くんが、気まずそうにこちらに歩いてきた。
「あの、ゆづきさん…」
「はい?」
「あれ、なんとか出来ないかな…」
言われて指差す方を見れば、ソファに倒れ込んでる竜崎がいた。
「へ…」
「いや、もうずっとあれで…」
なるべく忙しそうに振る舞うため、彼のことは見ていなかった。私は慌てて彼の側へ行く。
「あの、竜ざ…」
「私は終わりです…」
彼が何やらぶつぶつ呟いている。
「ゆづきに嫌われました…今日一度もゆづきに触れていない…」
「りゅ、竜崎!嫌ってないですって!」
「ではなぜ私を避けるんですか…私の事が嫌いになったんですね」
「ちがっ、違いますから!!」
だめだ完全に拗ねている。
「竜崎、本当に嫌ってないですよ!」
「嘘です。でなければここまで私を避ける理由がありません。もう私は終わりです…世界も終わり…キラの世界…私はもうウジ虫になりたい…」
この人は!子供かってーの!
私はワナワナと震えながら叫んだ。
「ふ と っ た ん で す よ !!!」
私の声が響き渡る。
竜崎ががばっと上半身を起こした。目をまん丸にしている。
「4キロも!太ったんですよ!竜崎にバレたくないから、戻すまで避けていたかったんです!」
ああ、言ってしまった。しかもこんな形で、こんな場所で。
竜崎は素早く起き上がり私の正面にたつ。
「ゆづき…!私はあなたが相撲取りになろうと気持ちは変わりません…!」
「縁起でもないこと言わないで貰えますか」
「あなたは元々細すぎたんです、いまぐらいで十分健康的です、とても魅力的です」
「あ、ありがとうございます…」
「それ以上痩せては時々楽しめる胸の感覚が減」
私は無言で思い切り竜崎の頭をはたいた。いい音がした。
彼は痛そうに頭をさすりながら、つづけた。
「ともかく、私はまるで気にしてません。あなたに触れられない事が拷問です。いつも通り充電させてください」
…なにこれ、なんで私恋人にこんなに懸命に抱きしめさせてくれってお願いされてるの…
シュールすぎるでしょ…
私が複雑そうな顔してると、隣でことの始終を見ていた月くんが言った。
「ゆづきさんに頼るのはどうかと思うけど…ごめん、僕からもお願いしていいかな…」
「ら、ライトく…」
「今日一日、捜査にならないんだ…」
はっと周りを見れば、捜査員みなが大きく頷いた。
…もう、なにこれ…
私はがくっと項垂れた。
こうして、再び竜崎の腕の中へもどされた。
彼は生き生きとしながら捜査内容を話している。
私は今日、男性しかいないこの場で、
4キロ増えたことを高らかに宣言しただけであった。
(……痩せよ……)
