エイプリルフール
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「あ…今日4月1日だ」
私はカレンダーを見て呟く。
4月1日と言えば、エイプリルフール。嘘をついても許される日。
「なんかLについてみようかなぁ…」
私はちょっとニヤニヤしながら考える。
が、個人的にこういうのはとことんバカらしいものがいいと思ってる。
中途半端に現実味があるものより、ぶっ飛んだ内容を言って「何言ってるんですか」とLに呆れられるくらいでいい。
相手が傷ついたりするものはもってのほか。あくまでジョーク。
「うーん、何があるかなぁ。」
私は頭を捻って考えた。
捜査室ではいつも通り竜崎が床で紅茶を飲みながらパソコンを見ている。
まだ朝早く、捜査員の方達は来ていない。
やるなら今がチャンスだ。
「おはようございます竜崎」
「おはようございます」
普段ならすぐにキッチンへ入る私は、その日は真っ直ぐに竜崎へ近づいた。
彼もそんな私に気づき顔を上げる。
「あの、竜崎」
「どうしました」
「ずっと隠してたことがあります」
「はい」
「私、本当は男なんです!」
私は演技がかった声で言った。
なんとくだらない嘘。自分でも笑っちゃう。
竜崎は呆れたように眉を潜めて、「なんですか急に。ああ、エイプリルフールでしたね」って…
言う、だろうけど…??
竜崎は私を見上げたまま停止した。
口は少し開いて閉じない。
「…竜崎?」
私が呼びかけた途端、彼はゆらりとゆっくり右に倒れていった。
ドサっと鈍い音が響く。
瞬きすらせず目を見開いて、わたしを見つめている。
「…あの、竜崎」
声をかけるけどびくともしない。
「…そう、ですか…」
小さく呟く。そして力なくよろよろと体を何とか起こした。
「正直に言ってくれて…ありがとうございます…」
「え、あの」
「勇気がいることだったでしょう…」
「竜崎、エイ」
「だから私の誘いをずっと断っていたのですね…」
「あの、竜崎、エイプ」
「手術は全てお済みなんですか?」
え。
え。
え。
何を言ってるのこの人…
竜崎は私をじっと見つめながら続けた。
「もし望むなら世界中の病院を探して一番良いところを紹介します。腕がよくて安全な病院にしましょう。だだ、大丈夫です、私は受け入れています」
竜崎が噛むとこ初めて見た。
彼は爪をいつもより強く噛んで目を泳がせた。
「そう…私は、あなたの性別などで幻滅したりしません。あなたがその気がないなら手術も受けなくて結構です、愛する気持ちに変わりはありません」
意を決したように高らかに言ってくれたL。
ぼかんとそれを見る私。
時間を刻む時計の音。
流れる沈黙。青い空。
「………竜崎……」
彼は真剣に私を見てくれている。
「……エイプリルフール、です……」
私の悲痛な声。
それを聞いた瞬間、竜崎はまたしても停止した。
「…冗談、です…」
「………」
「私は、女です…」
「……」
「……」
「……」
まさかこんな展開になるとは夢にも思ってなかった私は一気に申し訳なくなった。
だって、アホらし過ぎる嘘だと思ったのに。
「すみません…まさか信じるなんて思ってなくて…」
私が謝った途端、竜崎は私の手を強く引いて胸の中に収めた。
「騙したんですね私を」
「す、すみません!ほんのジョークだったんです!」
「私の愛を試したんですね」
「本当にそんなつもりなかったんです!!何言ってるんだって呆れられて終わりだと思ってたんです!」
「はあ…光さん」
「ご、ごめんなさい」
「この胸の感触が本物で安心しています」
「竜崎!」
私は赤い顔して彼から離れる。しかし竜崎はすぐにまた私の手を引いて抱きしめた。
「あなたに拒否する権利はありません」
「わ、悪かったですけど!でも…」
「この私を騙すとは」
「普通信じないでしょ…」
「しかしこれで私の愛があなたに伝わったかと思います」
「そ、そうですね…ありがとうございます…」
疑り深い世界一の名探偵、なぜこうなった。
そもそも私のことは出会った当初全て調べ上げてたはずなのに…
ああ、竜崎にエイプリルフールは通用しない。
二度と竜崎に嘘はつかない。
私は心の中で固く誓った。
