7
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
エルの優しい笑顔を見て、思い出した。
熱い日差しの入る窓際のベッド。
沢山の点滴と、酸素チューブで繋がれている。
抗癌剤の影響で抜け落ちた髪のために被った帽子。
ベットサイドで泣きそうになる私を見て言った。
『光…自分を責めないで…
あなたは…何も…悪くないのよ』
もう上半身すら起き上がらない母は、力を振り絞るように手を差し出した。
その手は痩せ細り、私の知ってる母の手じゃないように思えて、泣いた。
でも。
……ああ、なぜ忘れてたんだろう。
あの時母は、とても幸せそうな、優しい笑顔だった
音を立てて、自分の呪縛が壊れた気がした。
自分自身で縛り付けていた。
差し出された腕ばかり思い出して、お母さんの笑顔を忘れていた。
お母さんは最期まで私を愛し、幸せそうにしていた。
「エル…」
ぽろぽろと涙を溢す。
「私…あの時死ななくてよかった…生きててよかった…
あなたに出会えて幸せを知ったから…
過去と向き合えて、前を向けたから…」
エルはわたしを抱きしめた。
私も彼を抱きしめた。
「あなたを愛しています…光さん…
生きててくれて、ありがとうございます…」
あなたの鼓動が聞こえる。
息遣いが聞こえる。
生きているというだけで、こんなにも幸せ。
生きていこう。前を向いて。
歩いていこう。あなたと共に。
もう私たちを脅かすものなどないから。
私たちはそのままずっと抱き合っていた。
互いの命を感じ、幸せを噛みしめるように。