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「寂しいですか」
Lがたずねる。
「ええ、やっぱり寂しいですよ…でも、いいことなんですよね、事件が終わったってこと」
「そうですね…後味の良い事件なんてありませんからね」
この中にいた、月くんを思い出す。
もう一人の、仲間。
「……光さん」
Lは私を呼ぶと、正面に立ち、ゆっくり頭を下げた。
ワタリさんに続き、私は驚き慌てふためく。
「え、L…!?」
「あなたのおかげで私は死をまぬがれた。…ありがとうございました」
頭を下げるLなんて、きっと世界中探しても見れるのは私だけなんじゃないだろうか。
とゆうか、世界のLに頭を下げさせるのは申し訳なさすぎる。
「も、もういいですL!」
垂れ下がった彼の頭を起こす。
「さっきワタリさんにも深々お辞儀されて…申し訳ないですよ。てゆーかワタリさんに言わないでって言ったのに、言いましたね?」
「真実を全て伝えただけです。あなたは恩を着せまいと思ってくれたのでしょう。あなたらしいです」
Lが微笑む。
二人以外いなくなった広すぎるビルで、声が響き渡る。
「…L、新しい仕事が入ったのですか?」
私が聞くと、Lはいつものようにポケットに手を入れた。
「はい、イギリスに拠点をうつし、次の仕事へ移ろうと思ってます。ワタリはその準備のためにイギリスへ行っています」
「…イギリス!?」
思っても見ない言葉に、私は驚きを隠せなかった。
まさか、海外へ行くなんて。このビルを拠点どころの話じゃなかった。
…いや、そもそもLは元々海外にいたんだっけ。キラ事件のために日本に来たんだった。
私はどんと気持ちが落ちる。
このビルの一室を借りよう、なんて浅い考えだった。Lに甘えていたな。
…私はどうするんだろう。
多少の貯金はある。それで安いアパートを借りて、仕事を探さねばならない。もっと早く動くんだった…
「イギリス…遠くに行っちゃうんですね…」
遠距離恋愛、ってやつだ。
まさか自分がイギリスの人と遠距離恋愛をするとは夢にも思っていなかった。
私は落ちる気持ちをぐっとあげる。
Lを救えた。私たちは生きている。
距離があっても、会えなくなるわけじゃない。
あなたへの気持ちは、距離ごときで邪魔されない。
Lの目を真っ直ぐに見つめた。
Lが生きててくれる。それだけで、私は幸せだ。
「私はもちろん、もう死のうなんて思ってないです。あなたにふさわしい女性になれるよう、頑張ります。死のうとまで思ってた。これから何があっても乗り越えられます」
胸を張って言える。私は、もう死なない。
生きるから。
Lはじっと私の瞳を見続けた。そしてポケットから手を出すと、そっと私を抱きしめる。
私もそれに答えて、強くLを抱きしめた。
Lの匂い。Lのぬくもり。
あなたは、生きてる。
ただそれだけで、私は嬉しい。
「…光さん」
私を抱きながら、彼は言う。
「一緒に来てくれませんか」
驚いて、彼の体を離した。
真剣な顔で、私をみている。
「え…私…いいんですか…一緒に行っても…?」
Lは人差し指で頬をポリポリ掻く。
「と、いうか…私はそのつもりだったのですが、あなたが遠くに行っちゃう、などと言うので…」
「…ええ!」
驚きで涙が引っ込む。
じゃあ、Lは初めから、私を一緒に連れて行ってくれるつもりだったってこと!?
驚いた私の顔を見て、Lがふっと笑う。
「私はもう…あなたなしでは生きられません」
「…L…」
「返事は?」
「わ、私…捜査も何も出来ないけど…予知だってまた見えるのか…いいの?」
「あなたの存在が必要なんです。というか、あなたを一人置いてくと思いますか?私の独占欲を舐めないでください」
「…L…」
「返事は?」
にこりと笑うLを見て、私は嬉しくて思い切り抱きついた。
「はい…!嬉しいです、あなたのそばにいたい…!」
Lが再び私を抱きしめる。
あなたとなら、どこへ行っても怖くない。
私はどこまでもついて行きたい。
「イギリスへ渡る前に…行っておきたいところがあります」
「どこですか?」
「あなたのお母様の、お墓参りに」
てっきりどこかのスイーツ店を言うのかと思っていた私は、そっと顔をあげた。
「…L…」
「あなたをイギリスへ連れてってしまうので。きちんとご挨拶をしなくては」
「…ありがとう…私も、紹介したい…この人が、私の好きな人だよって」
ほら。Lって、こういう人。
何にも興味なさそうにして、本当は優しさに溢れている。
「…Lには言ってませんでしたが…あの予知を見た時、最後に母の姿が見えたんです。両手広げて、私を受け止めてくれた…」
「…あの予知は、お母様が見せてくれたものかもしれませんね。そのお礼もしなくては」
Lが私の頬を触る。
「そしてもう一つ…光さんをこんなにも、優しく…温かい人に育ててくれたことにも」
真剣なLの表情に、私はどきっとした。
「そ、そんな…」
「あなたに出会い、あなたを愛したこと。私の未来を変え、命を救ってくれたこと。私はあなたに感謝してもし尽くせない。」
1年前の記憶が蘇る。
私は死のうと冬の街を歩き回り、あなたと偶然の出会いを果たし、あなたの未来を見た。
死の未来から救おうと躍起になりつつ、無愛想なLに困っていた。
そこから徐々に分かったあなたの優しさ。
あなたは不器用で、強引で、真っ直ぐに私を愛してくれた。
私こそ…お礼を言わなくてはならないのに。
「光さん。
生まれてきてくれて、ありがとうございます」