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「お断りだね」
その顔は、狂気そのものだった。
「リューク…どこにいる!」
月くんが叫ぶ。瞬時に、黒い死神が降りてきた。
私ははっとした。
だめ、月くん
その未来は…!!!
Lがすぐに叫んだ。
「いけない月くん!その死神に助けを求めては!彼はあなたの名前を書きます!!」
しかし、狂気に埋もれた彼の耳には届いていないのか、自分以外の事は信じられないのか。
黒い影に、いった。
「もっと面白いものを見せてやる…だから殺せ。ここにいる全員…今すぐ全員殺すんだ!!!」
夜神さんの悲痛な呼び声が聞こえた。
私はLに言われた言葉も忘れ、そこから立ち上がり、部屋から飛び出した。
遠くで、銃撃の音が何発も鳴り響いている。
私は長い廊下をひたすら走った。
階段を下りる。
死なせたくない。
月くんを、死なせたくない。
私は知っている。彼が本当は優しい人間だったことを。
確かに多くの人を殺した。でもきっとそれは、デスノートという悪のノートのせいだと思いたい。
じゃなきゃ、記憶を失ってる時の人格に説明がつかない。
月くん。
月くん。
キラじゃなくて、夜神月くん。
あなたが、友達として、大好きだった。
私は足を滑らせて転ぶ。膝を擦りむいたみたいだが、痛みも何も感じなかった。
私はすぐに立ち上がってまた走り出す。
リューク、書かないで。
月くんの名前を書かないで!
決戦の地への扉が見える。
私はその扉のドアノブを掴み、思い切り開く。
「月くん……!!!!」
そこにいたのは、息絶えた血だらけの息子を抱く、夜神さんの姿だった。
まにあわ、なかった。
「月、くん…」
私は震える足で彼に近寄る。
「ゆづきさん…」
模木さんの声が背後からきこえた。
みな、銃をしまって俯いている。
「…なんで…こんなことに…」
夜神さんが泣いていた。私は彼に近寄ると、膝から崩れ落ちる。
「月くん…救えなかった…」
ああ、月くん。あなたを救いたかった。
全て忘れて、一人の人間としてまた笑い合いたかった。
「こんな…ノートのせいで…どうして…ここまで…」
彼はただの人間に戻ることを拒んだ。そこにいる黒い影に心酔し、助けを求めた。
「本当は月くんは…あんなに優しかったのに…!」
私は床に顔を押し付け、泣き崩れた。
私の泣き声と、夜神さんが月くんを呼ぶ声だけが、響き渡る。
はっと気配を感じて頭を上げ振り返ると、レムがそこに立っていた。
無言で、私を見ている。
「…ごめん、レム…約束、守れなかった…あなたは協力してくれたのに…
あなたの気が済むなら…私の名を書いて構わない…」
私がいうと、松田さんが焦ったように私の名前を呼んだ。
その時私とレムの間に、Lが立ちはだかる。
珍しく、ポケットに手も入れず、親指を噛むこともせず、
その手を強く握りしめて立っていた。
「月くんとの交渉に失敗したのは私です。私のせいです。書くなら私の名前を。」
力強く言った。
レムはじっと私とLを見ている。
張り詰めた空気が、捜査室に流れた。
しかしレムは何も言うことなく、ゆっくり私に背を向けると、なんとそのまま壁を擦り抜け、部屋から出ていってしまったのだった。